撮影:山口真由子

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2036年の東京・渋谷を舞台に、デジタル社会となった世の中の底辺で生きる若者の日々を描いたHuluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』(全6話)が11月26日より配信となる。

【金子大地×醍醐虎汰朗】ドラマ『未来世紀 SHIBUYA』インタビュー&場面写真をさらに見る

主人公は元気とバカが売りの“WeTuber”「正義マン」として活動するミツル(金子大地)とカケル(醍醐虎汰朗)。孤児として育ち、学もお金もない二人は、ある日、マネキンを抱えた挙動不審な男性、通称“マネキンおじさん”に出会い、その動画を投稿したことで再生数をアップさせる。それから、視聴者からさまざまな依頼が届くようになり、人気も高まるが、同時に不可解な事件に巻き込まれていく。

基本ベースはコメディで、「未来にこんなものがあったら」と想像するものが当たり前にある世界での物語は、単純に観ていて面白い。だが一方で、デジタル社会の中での“人間”の在り方を問う場面もあり、興味深いという意味での面白さも与えてくれる。

さらに、物語が二人のYouTube番組の配信の中で進んでいくため、俳優たちは常に画面の向こう側の視聴者を意識していて、観ているこちらも常にYouTubeを観ているような感覚になる。

いろんな意味で斬新な手法で作られた本作に、金子と醍醐がどのように挑んでいたのか。お互いのことを「好き」と明言する二人に、それぞれの魅力などに触れつつ、語ってもらった。

1シーン一発撮り、長回しでスマホ撮影の斬新な映像作品

――本作に出演する際に惹かれたポイントはどこでしたか?

金子:ワンカットで、しかもスマホで撮影する、というのが初めてだったので、まずそこが楽しみでした。実際にやってみると、スムーズなときはホントに早く終わりますし、逆にちょっと上手くいかないときはものすごく時間がかかる。1シーンを長回しで一発で撮るからこその良さと難しさを感じました。

醍醐:僕もワンカットとスマホでの撮影は楽しみでした。あとは瞬間移動です。

金子:好きだね、瞬間移動(笑)。

――実際はゆっくり動いているのに、カメラのスピードで速く動いているように見せる手法ですよね。

醍醐:(冗談で)いや、違いますよ。ホントに瞬間移動しています(笑)。

金子:でも、(実際に醍醐は)ものすごく運動神経がいいんです。壁を走るというようなことも出来てました。

醍醐:体を動かすのは得意なんです。

――今回、脚本と出来上がった映像との両方を見させていただいたのですが、意外と脚本に書いてることは少ないな、と感じました。例えば、“正義マンポーズ”はどうやって決めたのかな?とか。

金子:実は正義マンのポーズは7パターンくらいあったんですが、覚えるのが難しかったのでその日のノリでやらせていただきました(笑)。

醍醐:あははは(笑)。ホントにノリでした。このシーンは“正義マンポーズ4”とかって決められてはいたんですけど、大地くんがずっと同じポーズをするから、僕もそれに合わせました。ミツルマンが先にポーズを決めるので、僕はいつも「何をやるんだろう?」って(笑)。

金子:ホント(撮影が)楽しかったよね。

醍醐:楽しかったです。大地くんと仲良くなれて良かったです。

――お二人は以前、ドラマ『バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間〜』(テレビ東京)でも共演していますよね。

醍醐:でも一緒のシーンはほとんどなかったので。

――では、今回の共演で気付いたお互いの魅力を教えてもらえますか?

金子:(醍醐は)ホントに気持ちがいいくらい良い人なので、好きです(笑)。役者としては頭がやわらかくて、感覚的なセンスに長けています。僕が何度か聞いてようやく理解するようなことも、一回で理解していて、「すごいな」と思いました。

年齢は僕より下ですが、頼れる存在で、何度も助けてもらいました。(醍醐に向かって)ホントにいろいろ迷惑をかけてごめんね。

醍醐:いやいや、何の迷惑もかけられてないですよ。

金子:こういう返しも優しいです。

――醍醐さんが金子さんについて気づいたことは?

醍醐:いい匂いがする。ミルクの匂い。それに気付きました(笑)。

金子:それ、メイクさんとか、他の現場でもよく言われるんですけど……そのエピソードいる?(笑)

醍醐:あははは(笑)。

――残念ながら視聴者の方には伝わらないかと(笑)。

金子:そうだよ、全く伝わらないよ。

醍醐:(笑)。あとは“男・金子大地”ってところです。弱々しいところがゼロなんです。僕もどちらかと言うと、中性的というよりは男っぽい方なので、大地くんとは一緒にいて楽でした。取り繕わないでいられるというか。家で料理をするときはフライパンで作って、そのまま食べるらしいです。

金子:部屋にテーブルがないので基本的に立ち食いなんです(苦笑)。フライパンで作って、その場で食べて洗っています。めんどくさがりなので洗い物を増やしたくないんです。

――機能的と言うか……。

金子:未来的?(笑)

醍醐:(即座に)いや、未来ではないです。逆にいろいろ進化しているものを使ってないですから(笑)。でも、そういうところが僕はとっても好きです。

お芝居のことで言うと、さっき大地くんは僕のことを褒めてくれましたけど、僕からしたらあのミツルという難しいキャラクターを成立させた大地くんはすごいと思います。

本来の大地くんとミツルとはかけ離れているけど、かといってやり過ぎてもダメだったり。今回、フェイクドキュメンタリーという手法で撮っているので、基本はナチュラルでなくてはいけないんですけど、ナチュラルにし過ぎるとキャラとして立たなくなってしまったり。

そこのあんばいは正解が少ないだろうな、と思っていたら、大地くんは撮影初日からバチンと決めてきてました。そのおかげで、僕は大地くんが作ってきたミツルに合わせていこう、というスタンスでやることができました。

女性的なキャラクターに苦戦「僕もミツルも男だし」

――金子さんはこのミツルというキャラクターをどのように作っていったのでしょうか?

金子:最初の本読みの時点で、白石(晃士)監督から、少しでも僕の話し方みたいなものが出ると「男っぽい、それダメ」と言われて。

「僕もミツルも男だし」って思ったりしもしましたが(苦笑)、白石さんの中にはこれ、というものがあったので、それに合わせていくのはすごく難しかったです。

あとは「明るくバカにやってくれ」と言われましたが、本読み以降は好きなようにやらせてくださいました。

――衣装やメイクも中性的というか、独特ですよね。

金子:最初はあの衣装も違和感しかなくて(苦笑)。鏡を見て「俺はミツル、俺はミツル」と言ってなじませようとしていました。

醍醐:そのせいか(金子が衣装を)脱いでるとき、すごく気持ちよさそうで(笑)。着替えて、髪をかき上げながら眉間にしわを寄せている瞬間が僕は大好きでした。「きっと、いろんな葛藤があるんだろうな」と思いながら見ていました。

金子:「やっと自分に戻った!」ってね(笑)。

――醍醐さんはカケルというキャラクターをどのように作っていきましたか?

醍醐:とりあえずバカっていうのはありつつ、ミツルのことが好きというのを軸に置いて、そこから派生させながら作っていきました。愛されるキャラクターでもあるので、嫌味みたいなものが出ないように、変な計算はせずにわかりやすく演じることは考えていたかも知れないです。

―― 白石監督の演出で印象的だったことはありますか?

金子:最初から少し変わった演出方法でした。物語自体が未来の話ということもあって、求められるお芝居もこれまでやってきたことと違いました。フェイクドキュメンタリーとはいえ、白石さんの中には正解があったんです。

醍醐:フェイクドキュメンタリーと聞いて、僕らはできるだけナチュラルにした方がいいのかな、と思っていたんですけど。

金子:ナチュラル過ぎると、わりと「そこは違います」ってなる。

醍醐:「ここでこのセリフの言い方なんだ」と思うこともあって。どういうふうに感情をつなげていけばいいか、悩んだこともありました。でも僕には想像できない範疇の考えを持っている方なので、そこに触れられるのは楽しかったです。新鮮でした。

――本作にはいくつかの未来的なエピソードが出て来ます。脳内チップ、記憶の再生・移植、AI恋人などもありましたが、気になるものはありましたか?

醍醐:カケルが体験するバーチャルセックスは気になりました。実際には何もせずに脳に刺激を与えるだけで体験したかのように感じるって。

金子:要は何だって脳ってことなんだろうね。例えば、手で何かを触って、触ってると脳が感じるから、触ってるとわかるわけで。身体を動かさなくても、最初から脳をいじればすべての感覚を体験できるってことだよね。

――AI恋人もそれに近いものがあるというか。自分の一番好みのタイプに作ることができますからね。

醍醐:僕は他人がAI恋人と付き合うのは人それぞれなので良いとは思うんですけど、自分って考えたらちょっと嫌かもしれないです。

金子:ちょっと寂しいよね。

醍醐:脳ではいると感じているからいいのかも知れないけど。共有できないものがあるのは寂しい気がしますね。

――本作はコメディなのですが、そうやって想像すると考えさせられてしまう事柄も描かれています。演じるときはどんな想いだったのでしょうか?

醍醐:演じるときはもうそれが当たり前の世界だったので、その設定に違和感を持つことはなく、シンプルに「お金持ちになって、脳内チップを入れたい」と思ってやってました。今以上に貧富の差が大きくなっているとか、そういう複雑なことは考えてなかったです。

金子:そういうことよりも、ミツルにとってはカケルと二人で正義マンをやれていることが楽しくて。お金持ちになりたい、という気持ちもあっただろうけど、ミツルはカケルと一緒にいられるだけで幸せだったんじゃないかなと思います。

自分が好きな人と一緒に自分たちが好きなことを配信して、それで周りの人たちも幸せな気分になってくれたら嬉しい。ミツルはそういう人だから。

YouTube番組をやるならサウナで悩み相談

――ミツルとカケルは“WeTuber”ですが、いわゆるYouTuberを演じる上で意識したことはありますか?

金子:二人は人気WeTuberではないので(苦笑)、YouTuberとして意識したことはないんですが、カメラ目線でお芝居をするのは初めてだったので、そこは参考にさせてもらいました。普段のお芝居ではカメラを意識しないことを求められるので。

――全編YouTubeの番組の一部として物語が進んでいきますからね。視聴側からすると、ずっとYouTubeの番組を観ているような感覚なんですよね。

醍醐:その発想はすごく面白いですよね。

――ちなみにお二人でYouTubeの番組をやるとしたら、どんなことを配信しますか?

金子・醍醐:(声を合わせて)サウナかな〜。

――この話題はもうどこかで一度話しましたね(笑)。

金子:はい(笑)。

醍醐:でも撮影期間中、ホントによく二人で一緒にサウナに行っていたので。

金子:やるならサウナだよねって。ゲストを呼んで、サウナに入っている間だけ、その人の相談を聞く。

醍醐:マックスでも15分以内の番組(笑)。

金子:熱いから(相談を)聞いてあげられないかも(笑)。

醍醐:結果、シンプルに僕らがサウナに入りたいだけなんですよね。

――最近、俳優の方でもYouTubeチャンネルを持つ方が増えていますが、お二人にとってYouTuberはどんな存在ですか?

醍醐:僕は知り合いもいないし、ホントに画面の中の人って感じです。

金子:僕らはいただいた台本があって、それに沿ってお芝居をしますが、YouTuberの方は自分たちでやりたいことを発信していますよね。そこはすごいなと思います。

そういうのを見ていると、これからは自分から発信しなくてはいけない世の中になっていくのかな、と思いますが、自分には少し難しそうだな、とも。だからこそやっている人たちは戦っているんだな、と思いますし、カッコイイなと思います。

――最後にお互いの見どころを紹介しながら、本作のアピールをお願いします。

金子:この物語のカッコイイ担当はカケルです。見た目もそうですが、本当にいいヤツで、それを(醍醐が)見事に演じています。そんなカケルとミツルの掛け合いは、すごくバランスがいいな、と僕自身も思うので、そこもぜひ観てもらいたいです。

あとは最初に言っていたカケルの瞬間移動もぜひ(笑)。これは後半に出てくるシーンなので、最初から最後までしっかり観ていただけたらと思います。

醍醐:これは大地くん自身も言っていたのですが、これまで大地くんがやってきた役とは全然違っていて、新境地だと思います。

――でもそれを生き生きと演じているように見えました。

金子:ホントですか? 安心しました(笑)。

醍醐:(金子に向かって)そう見えていたらなら良かったですね。撮影中、大地くん「大丈夫かな?」が口癖だったら。

金子:そうだったね(苦笑)。

醍醐:そんなふうになりながらも、大地くんは見事にこの世界観を体現していたので、普段は見られない大地くんをぜひ観てほしいと思います。

あとはところどころ(金子の)リアクションが面白い瞬間があって(笑)。それはどこか具体的には言いませんが、観ていただけたらわかると思います。大地くんの面白さも詰まっているので、ぜひご覧ください。


インタビュー中はもちろんのこと、写真撮影の合間にも楽しそうな笑顔を見せながら話をしていた金子さんと醍醐さん。劇中だけでなく、現実でも仲の良い二人だからこそ作り上げられたものが作品の中に散りばめられていると思います。

YouTubeの番組を観るような感覚で気軽に観ることができるので、ちらっと導入だけでも観てもらえたら、お二人の作る世界観にハマるはずです!

作品紹介

Hulu オリジナル『未来世紀 SHIBUYA』
(全6話)
2021年11月26日(金)より⼀挙配信