【業界に問う】未来の人事はどう変わる?サイバーエージェント人事部長が投げかける3つの質問
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ただ、これまであった通常のお題にくわえ、より専門ジャンルに限定したハイレベルなものも見てみたい…と思うようになりました。たとえば、あるジャンルでのトッププレイヤーが“最近、業界に問うてみたいテーマ”は何か?
ということで今回は、株式会社サイバーエージェントの現役人事部長であり常務執行役員CHO・曽山哲人さんに「人事というジャンルで、世に問いたいこと」をきいてみました。
「Z世代で活躍するリーダー像はこれまでとどう変わっていくと思いますか?」
「未来の人事の仕事はどう進化していくと思いますか?」
「人事担当者が経営者と対等に話せるようになるにはどうすればよいと考えますか?」
という3つ。
それぞれの質問の意図は? そして、曽山さん自身はどう考える? 記事を読みつつ、皆さんもぜひ考えてみてください。
〈聞き手=天野俊吉(新R25副編集長)〉
曽山さん:
天野さんありがとう。とっても面白い取材で、いろいろ考えてきちゃったよ!
出典 Youtube
めっちゃ偉い人とは思えない快活さ。人と組織のお悩み解決YouTuber「ソヤマン」としても活躍中です
曽山さん:
まず、僕が問いたいテーマはこれですね。
面接で「愛情」という言葉を使う若者が増えた。曽山さんが感じる変化とは
天野:
曽山さんは毎年いろんな若者と接してると思いますが…
「価値観」っていうのはそんなに変わっていくものなんですか?
曽山さん:
ずーっと変わってるんですよ、毎年。
天野:
毎年! そうなんだ。
曽山さん:
そのときの世相によってものすごく変わるんです。ここ最近の変化でいうと、人の感情に注目してる人がものすごく増えてるんですね。
たとえば面接で、「愛情が伝わるような仕事に関わりたい」と言うんです。
仕事で「愛情」。皆さんはどう感じますか…?
天野:
面接で「愛情」なんて言ったことないな…
曽山さん:
ですよね。でも僕が引き出してるんじゃないんです。若い人たちのなかから「感情」「愛情」という言葉が出てくるんですよ。
ほかにも「ライブ」とか「音楽」で、みんなに元気を与えたいと語る学生が多い。これも感情という意味では近いですよね。
天野:
なぜ「感情」に注目する若者が増えてるんでしょう? エモいとかいう言葉が流行ったから…?
曽山さん:
天野さん、逆です。エモっていう言葉がこれだけ流行るのには、理由があるんですよ。
天野:
えっ。
「ひとつめの理由は…」
曽山さん:
ひとつは、コロナ禍の影響で“孤独な人”がすごく増えてるんですよ。オンライン会議で楽しく話していても、終わってPCを閉じたら部屋に1人。夜もお店が開いてないから、一人暮らしだと誰とも喋らない。
そこで「アベマの番組で救われたから、エンタメコンテンツを作りたい」とか「対話を重要視してる会社だと聞いたので、ぜひ働きたい」とか話す人がすごく増えてますね。
天野:
なるほど…孤独な経験を経て、人の感情を動かす仕事に惹かれるようになったと。
曽山さん:
これまでは「プロダクトつくりたい」とか、物質的な欲求を語る人が多かったんですが、情緒的価値に重きを置く人が増えてると思いますね。
「DXが進むとエモの価値が上がる」曽山さんが答えた“活躍するZ世代リーダー”の特徴
「ふたつめは…」
曽山さん:
エモに注目が集まるのは、「DX」も関係してるんですよね。
天野:
出た、デジタルトランスフォーメーション。どういう関係が…?
曽山さん:
DXが進むと、人があまりやりたがらない業務や単純作業が、いい意味で減っていく。
その結果、人々の仕事がどこに向かうのかというと、「人間の心に向き合う仕事」が増えるんですね。マーケティング、リーダーシップといった言葉に注目が集まっているのもその流れでしょう。
デジタルで分析できる部分もあるかもしれないけど、人間の心の機微をつかんでいくのはまだ人間のほうが得意な仕事ですよね。
天野:
イメージ的に、DXが進むと「愛情」とかじゃなくて、仕事がドライになっていくのかなと思ってましたが…
曽山さん:
逆なんです。DXが進むとエモい仕事の価値が上がるんですよ。
だから若者と接していても、感情的な人、エモい人はビジネスの先端を走ってるな〜と思いますね。
エモい人がビジネスの先端を走る時代。でも最近活躍してる若い方を見ててもめっちゃわかる気がします
曽山さん:
自分が出した問いに答えるなら、「“想像力と共感力”が強い、エモいリーダー」がたくさん出現して活躍するんじゃないかと思ってます。
これまで、優秀なリーダーってなんだかんだロジックによる管理があったと思うんですが、これからは真逆の「エモいリーダー」の需要が上がっていくと思いますね。
DXに関連して、曽山さんが問いたいさらなる“お題”とは…
曽山さん:
その流れで、僕はこんなテーマも投げかけてみたいんです。
天野:
だんだん専門的でついていけなくなってきましたね。これからどういう変化があるんですか…?
曽山さん:
いま、どんどん健康寿命が延びてて、普通の人が“働ける期間”が長くなってるんですよ。
平均で見ても、75歳ぐらいまでは健康な人が多い。60歳で会社を卒業しても、そのあとヒマなんですよね。
それによって、ムリして働いて身体を壊すんじゃなく「健康で、楽しく働きたい」っていう価値観の人が増えてるんです。
ふむふむふむ
曽山さん:
また、若い人と接していても、“日本がそんなに伸びない”っていうなんとなくの閉そく感を感じている人がすごく多い。
天野:
わかるなあ…
曽山さん:
日本や、働いてる会社が激伸びするなら「成長する」って面白さがあるので、多少つらくても頑張れる。
これが前の世代の価値観だったとすれば、「激伸びしないなら、健康的に、楽しく働けるほうがいい」というのが、これからの価値観の主流になっていくんですね。
天野:
なるほど。ただ、「健康で楽しく働く」こととDXってどう関係するのでしょうか?
曽山さん:
たとえば、社員に定期的にアンケートに答えてもらって、何年もの「コンディションの変化」をデータ化するんです。
サイバーエージェントでは「GEPPO」っていうシステムでかんたんなアンケートをとって、自分のコンディションを回答してもらってます。
1人分のデータでも、長年積み重ねればコンディションの推移がわかるし、それをチームや部門ごとに見れば、うまくいっているチーム、いってないチームが一目瞭然となるんです。
天野:
「健康で楽しく働けているか」はデータ化できるんですね…
「未来」という観点では、さらにどうデータを活用しようとしてるんですか?
曽山さん:
それがテーマに対する僕の答えですね。
社員の方たちの「コンディションデータ」を大量に取得し、キャリアオプションを増やすことが、次の人事のメインミッションになると考えています。
天野:
キャリアオプションを増やす…?
曽山さん:
たとえば、コンディションデータを見れば「この人はこういう人と仕事をしているときにコンディションがいい」「こういう仕事をしているときにコンディションがいい」ということも、わかるようになりますよね。
僕が今後やりたいと思っているのは、そういった情報をまとめて「あなたに向いている仕事はここにあります」っていう社内求人がすぐに見られる、「おすすめ社内転職サイト」なんです。
天野:
データをもとに異動をすすめられたら、めっちゃ前向きに考えられそうですね…!
曽山さん:
そうでしょ。あくまで「こういう仕事をするとコンディションがよくなるかも」というオプションだけど、キャリアのオプションは多ければ多いほど、未来に対しての不安が減るんです。
データを使ってそういうキャリアオプションを増やすことが、今後の人事の重要な仕事になってくるでしょうね。
おもしろ…
曽山さん:
もちろん、今まで人事まわりの書類発行に対面での手続きが必要だったものをDXして、オンラインでできるようにするっていうのも、「楽しく働く」っていう部分に効いてきますよね。
こういった動きで、「健康で楽しく働きたい」というニーズに応えていければと思ってます。
曽山さんが、「ぜひ問いに答えてほしい」スゴメンを指名!
曽山さん:
あとは、僕がよく聞かれることが多い、こんなテーマも考えました。
曽山さん:
これは…
「経営者と同じ目線に立つ。具体的には同じ新聞を読み、同じニュースを見る」と答えたいですね。
もちろん「それ知りませんでした!」ってことはあっていいんですけど、「同じ目線に立つ」と言いながら、具体的に経営陣と同じインプットをして、本気で同じ危機感を共有しようとまでする人事担当者は、そこまでいないのかな(汗)と思うんですね。
天野:
それは人事担当者だけじゃなく、僕らも同じですね…。ありがとうございます!
ちなみに、それらのテーマに“ぜひ答えてほしい!”と思う業界のスゴメンも教えていただけますでしょうか。
曽山さん:
そうだなあ。僕の尊敬する人たちを挙げると
LINE 青田努さん
サイボウズ 青野誠さん
ABCash 石原沙代子さん
キープレイヤーズ 高野秀敏さん
オイシックス・ラ・大地 三浦孝文さん
Voicy 勝村泰久さん
といった皆さんです!
天野:
めちゃめちゃ出てくる。曽山さんが尊敬する人たちが、どんな回答をしてくれるかも楽しみだな…。ありがとうございます!
最後まで快活なソヤマンでした
曽山さんが分析する、コロナ禍による「愛情と孤独」。
あなたは、未来のリーダー像や人事はどのように変わっていくと思いますか?
ぜひ、下記から回答してみてください!
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〈取材・文=天野俊吉(@amanop)〉
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人事という立場から見た曽山さんの仕事術は、参考になること間違いなしです。