お肉、柔らかっ!野永喜三夫さんの「ごぼうとキャベツのみそマヨ和え」【さよなら、夏バテ! 「豚バラ万歳」#3】

老舗料理店の3代目が考案!日本一簡単な豚バラ料理

夏バテを感じたり、食欲がわかなかったりするときには、体や胃腸にやさしい食事、和食がぴったりです。

旬の野菜をはじめとする素材の味を最大限に引き出す和食は、味付けも控えめで、油をほとんど使いません。でも、本格的な和食となると、だしの取り方や素材の扱い方など、いろいろな“決まり”があるため、ついつい敬遠しがちですよね。

そんなちょっと堅苦しい和食のイメージを覆す料理を提案してくれるのは、和食の名店「日本橋 ゆかり」3代目若主人としてメディアでひっぱりだこの野永喜美男さんです。

野永さんの夏のイチ推し食材は“豚バラ”。何より経済的で、脂に旨味が詰まっているという理由もありますが、豚肉にはビタミンB1が豊富に含まれており、夏バテ対策に役立ちます。

「僕は豚バラが大好き。豚肉を食べると元気が出ますよね!そして、今は一年中、売られている野菜も多いのですが、旬を迎えた野菜は味がよいだけでなくお値段が手頃。さらに栄養価も高く、その時期に体が必要とする栄養素をふんだんに摂ることができます」と野永さん。

しかし、腸が元気でないと、いくら栄養を採っても効率よく吸収できませんよね。そこで和の匠は、今回は豚バラ肉にごぼうとキャベツを合わせるそう。どちらも食物繊維をたっぷり含んでいて、腸の調子を整えるのに心強い存在です。

栄養吸収は腸活から!ごぼうときゃべつのみそマヨ和え

調理時間:10分

「家庭料理は簡単でおいしいのが一番!僕がレシピを考えるときに大事にしているのは、いかに少ない食材と調味料で味を完成させるか。だって、作ってみておいしくできたら、また作ってみたいって思いますよね。

今回紹介するレシピの食材は豚バラ肉にごぼう、キャベツの3つ。調味料はどこのご家庭の冷蔵庫にも入っているみそとマヨネーズを使います。みそは発酵食品なので旨味も強いし、マヨネーズとの相性も抜群です。

野菜と豚バラ肉の旨味たっぷりのゆで汁は、卵と調味料を加えるだけでおいしいスープに早変わりします。ごぼうの皮もむかないし、ゆで汁も利用すれば廃棄がゼロの究極のSDGsレシピでもあるんです!鍋ひとつでできるから洗い物も少ないんですよ」

材料(2人分)

・豚バラ肉(薄切り)……200g
・ごぼう……200g
・キャベツ……250~300g
・マヨネーズ……100g
・みそ……30g

下ごしらえ

・鍋に熱湯を沸かし、約2%の塩を入れる
・ごぼうはよく洗い、泥を落とす

「ごぼうは泥を落とすだけで、皮はそがない。それから、薄切り後のアク抜きもなし!水にさらすと、ごぼうに含まれるポリフェノールや香りが落ちて、せっかくの旨味も減ってしまいます。すぐにゆでれば黒く変色しません」

作り方

1. キャベツを切る

キャベツは3cm幅のざく切りにします。

「日本料理では食材はひと口サイズに切るのがルール。基本は1寸=3cmです。これを覚えておくと、ほかの料理にも生かせますよ!」

2. ごぼうを切る

ごぼうは斜めに長さ3cmほど、厚み1mmほどの薄切りにします。

野永さんは、右足を少しうしろに引いて、包丁を持つ右腕とごぼうを押さえる左腕がハの字になるように構えて包丁を入れていました。こうすると、均一に斜めに切れるそうです。

3. ごぼうを熱湯でゆでる

熱湯に塩を入れ、ごぼうを入れたら強火で透き通るまでゆでます。アクが出てきますが、取り除かなくてもOKです。

「熱湯に塩を入れる理由はふたつ。お湯の沸点を高めるためと、食材の甘みをひきだすためです。

アクは旨味だから、取り除かないでね。ゆで汁に溶け出した野菜の旨味は、あとから入れる豚バラ肉に吸収されるのでご安心を!」

4. 豚バラ肉を切る

ごぼうをゆでる間に豚バラ肉を3.5cm幅に切ります。豚バラ肉の厚みは1.3~1.5mmのもの、薄すぎないものを選んでください。

「ちなみにゆでた豚肉を氷水に取って冷やすレシピをよく見かけるけど、僕は冷やしません。豚バラ肉の脂はゆでるとゼラチン質に変わりますが、それを氷水につけると白く固まってしまうし、お肉も固くなっちゃうんです。ゆっくりと火を通し、ゆっくりと冷ましていくのがベスト」

5. キャベツを加え、ゆでる

ごぼうをゆで始めて3分ほどたったら、キャベツを加えます。

「お湯の量や鍋の大きさによってキャベツをゆで始めるタイミングは違います。ごぼうに透明感が出てきたらと覚えてください」

6. 豚バラ肉を加える

キャベツに続いて、豚バラ肉を鍋に入れます。この段階でもアク取りは不要です。

「豚バラ肉=タンパク質は急激に熱すると固くなりますが、低い温度からゆっくり火を入れるとやわらかく仕上がります。

キャベツを入れると一気にゆで汁の温度が下がるので、火加減は強火のまま。ちょうどいいゆで汁の温度になるんですよ」

7. ゆでた豚バラ肉と野菜をざるにあげる

豚バラ肉の色が変わったら、ざるにあげて冷まします。ゆで汁はをほかの鍋にとっておくと、スープの材料になります。

「ゆで汁は塩味が強いので水を加え、旨味を補うだしの素や中華だしを加えて味を調え、卵を溶き入れ、ごま油を加えるとおいしいスープになります。薄切り玉ねぎを足してもいいでしょう。

スープを作るときもそうだけど、調理過程では必ず味見してください。何が足りないか過剰なのか、考えながら調理できるようになると、どんどん料理が楽しくなっていきます!」

8. 鍋にマヨネーズとみそを入れて混ぜる

材料をゆでた鍋を洗って、マヨネーズとみそを入れ、ゴムベラでまんべんなく混ぜます。

「みそは仙台みそや合わせみそを使うとバランスよく仕上がります。ここにゆず胡椒をこ小さじ2杯ほど加えると、ピリッとした大人の味になりますよ」

9. みそマヨネーズと7を和える

ゆでた具材とみそマヨネーズを和えたらできあがりです!

「ざるにあげた野菜は、湯気が出ない程度に冷ましてから調味料と合わせましょう。冷める間に自然に水切りもできますよ。

お酒にも合うのでおもてなし料理としても重宝します。事前にゆでておいて、食べる直前に和えるといいですよ。でも冷蔵庫に入れると肉が固くなるので室温で保管してください」

根菜たっぷり!お酒にもごはんにも合うみそマヨ和え

材料を切って、ゆでて、和える。の3工程で、食物繊維たっぷりのひと皿ができあがりました。ゆっくりと加熱された豚バラ肉は、ふわりとやわらかなことに驚きます。

「豚バラ肉、きゃべつ、ごぼう、それぞれの異なる食感や味がしっかり味わえるでしょう。ゆであがりの時間の違う食材を効率よく調理できるのがこのレシピの特徴です。ごぼうのかわりに同じ根菜のレンコンを入れたり、アスパラガスでやインゲンで作ったり、いろいろな野菜で作ってみてほしいです」と、野永さん。

しその穂をあしらった美しい盛り付けは目にもうれしいですよね。ぜひ再現したい!と盛りつけのコツを伺ったところ、“杉盛り”といって杉の木のようにうず高く盛り付けること、トップに刻んだ唐辛子などの赤いものを飾ること、器いっぱいに盛り付けずに余白を生かすこと、の3つを教えていただきました。

最終回となる次回は「赤の他人丼」。豚バラ肉を使った丼ごはんです。お楽しみに!

取材協力

店舗名:日本料理 日本橋ゆかり
電話番号:03-3271-3436
最寄駅:地下鉄メトロ銀座線 日本橋駅 徒歩3分JR東日本 東京駅 徒歩9分
郵便番号:103-0027
住所:東京都中央区日本橋3丁目2-14
市区町村:中央区
町域:日本橋3丁目2-14
営業時間:11:30~14:0017:00~22:00
定休日:なし