(上段左から)松居一代、船越英一郎、南果歩、渡辺謙、水前寺清子、八代亜紀、小林幸子、浅野ゆう子

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 椎名桔平と原田知世の交際が報じられた。57歳と53歳、ともにバツイチで、結婚も噂されている。

【写真】スリット深めのドレスで歌い踊る22歳の浅野ゆう子

 40代以降の“シニア婚”が一般的になる中、人生経験が豊富なこうしたカップルの場合、失敗さえも糧にしながらうまくやっていけそうなものだが、そうとも限らない。2005年に結婚した渡辺謙(61)と南果歩(57)は、13年後に破局した。

ビッグカップルの大誤算

 結婚当時、渡辺は46歳で、その9か月前に一般女性の妻と離婚。南は41歳で、5年前に作家でミュージシャンの辻仁成と離婚していた。渡辺は'03年にドラマ共演で知り合った南にぞっこんで、

「果歩のすべてを一生愛する」

 とまで宣言していたが、破局の原因は渡辺の裏切りである。'17年に21歳下のジュエリーデザイナーとの不倫が発覚。それも、南が乳がんで闘病中というタイミングだった。

 会見を開いた渡辺は、発覚後に不倫相手と別れたことや、南から、

「こんなことであなたが積み重ねてきたものが消えるわけではないから、頑張ってね」

 と言ってもらえたことなどを説明。夫婦関係について「時間をかけながら軌道修正をしているところ」だと語ったが──。翌年、離婚した。時間をかけても軌道修正はできなかったわけだ。

 その理由について、南が'19年に出演した『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)でこんな話をしている。

「いろいろあって、それぞれが幸せになるほうがいいのかなって。不倫への怒り? ううん、怒りにいかない。悲しみとかも。無、無、無……。心が“無”」

 この番組で「2回目の結婚は添い遂げるつもりでいました」とも明かし、今度こそという思いだったことをにじませた。しかし、裏切りへの失望はシニア婚だろうと何だろうと同じだ。むしろ、大人同士だからよけいに許せないのかもしれない。

 一方、初婚と再婚という組み合わせだったのが、船越英一郎(60)と松居一代(64)だ。結婚したのは'01年で、船越が41歳、松居が45歳。前夫とのあいだに生まれた連れ子の長男もいた。

 それもあって、船越の父で俳優の英二は猛反対。結婚式にも出席しなかった。しかし松居の連れ子と船越との仲もよく、また、当時、松居はお掃除タレントとしてもブレイク中。世間がふたりを見る目はまずまず好意的だった。

 だが、そんな印象は'16年後のドロ沼離婚劇で完全にかき消されることに。“ドロ沼離婚劇”という表現は比喩的に使われるが、この場合はまさしくドロドロかつドラマチックで“松居劇場”とも呼ばれた。

 というのも、松居はユーチューブやブログを駆使して船越を非難。船越が不倫をしていると告発して、その証拠だというメモや手紙まで公開した。さらに、船越がED治療薬を使っているとして「バイアグラ100ml男」と呼んだり、自分を悪妻に仕立てることで財産を分捕ろうとしているのだと主張した。

 一方、船越が松居からDVを受けているという話も出たが、いずれにせよ、真相は藪の中。事態は責め立てる松居に沈黙を保つ船越という構図で推移していき、騒動勃発から半年後、離婚が成立した。

 それを受けて会見した松居は、

「やりました! 私の願いが、夢が叶ったわけであります。私の中でいちばん守らなければならないものは、ただひとつでした。財産分与です」

 と、勝利宣言。お掃除グッズの『マツイ棒』で大儲けしたことが金銭への執着を高め、ふたりの関係をさらにこじらせたわけで、それもシニア婚ならではだろう。

 なお、船越は今年3月、NHK BSプレミアムの単発ドラマ『流れ星』に出演。ギクシャクしながらも最後にはお互いの愛情を知る老夫婦の物語を松坂慶子とともに演じた。現実はドラマほど甘くはないようだ。

演歌なシニア女性はリスク好き?

 今年1月、八代亜紀(70)が離婚した。相手の男性は4歳下の元歌手で、引退後は裏方に回り、彼女の個人事務所社長を長年務めた。'87年に彼女が独立した際、行動を共にし、'94年に結婚。いわば、公私にわたって二人三脚でやってきたパートナーだ。

 70歳という年齢での離婚について八代は、

「特段に何かがあったわけではありませんが、話し合いの結果、長年のパートナーシップを解消して別々の道を歩んでいくという結論に至りました」

 と、説明。前夫は社長を辞任したものの、サポート関係は継続されるという。

 また、昨年、離婚していたのが水前寺清子(75)。こちらの相手は6歳下で、彼女のバックバンドのリーダーも務めた元ミュージシャンだ。'89年に結婚し、同じく長年、彼女の個人事務所社長だったが、社長は彼女が務めることとなった。

 スポーツ紙には、音楽関係者による「とにかくこれからも新しいことに挑戦していきたいという思いを強めていた。自らの力で歩んでいく決意の表れでしょう」というコメントが。とはいえ、水前寺も75歳での決断だ。八代同様、ここへきてなぜ、という気がしなくもない。

 かと思えば、57歳で結婚したのが小林幸子(67)だ。'11年に、9歳下の再生医療関連会社社長とゴールイン。わずか10歳でデビューした彼女は、そこから15年後にようやく大ヒット曲とめぐりあったが、結婚についても遅咲きだったといえる。

 ただし、曲が大ヒットして26歳で『紅白』に初出場したときほど、結婚に関してはおめでたムード一色にはならなかった。相手男性は'04年に2度目の離婚をしていて、小林とはそれ以前に知り合っていた可能性が浮上。そこで“略奪婚”疑惑が報じられたのだ。

 相手男性の前妻も、女性誌の取材にこんな告白をした。

「あのとき、たたみ込むように離婚を迫られた理由はこれだとやっとわかりました」

 さらに、結婚翌年には、小林の仕事面に大きな変化が起きる。個人事務所の女性社長との決別だ。独立前も含めれば33年間も一緒にやってきた盟友だったが、小林が社長を解雇するかたちでその関係は終わった。その背景にも、結婚相手の現場介入があったとされたのである。

 具体的には、小林の代名詞でもある『紅白』の豪華衣装について「なぜこんなに高いのか。僕ならもっと安くできる」と口を挟み、社長の辞任を迫ったというもの。見方によっては、小林が夫への愛に溺れるあまり、恩人を切り捨てたようにも映り、業界内でバッシングが発生した。その結果、レコード会社から契約を解除され『紅白』の連続出場も途絶えてしまう。

 とはいえ、そこは子どものころから芸能界の荒波に耐えてきた小林、この逆風にも負けなかった。『紅白』の豪華衣装がアニメファンなどに“ラスボス”みたいと面白がられていることを知り、二次元やネットといったジャンルに接近。動画サイトの番組に出演するなどして、若い世代の支持を高め『紅白』にも復活を遂げるのだ。

 '15年には週刊女性のインタビューで、かつてのバッシングについて、

「ありもしない話がまことしやかにどんどん流れていった。紅白に出場できなかったことよりも、そんなふうになってしまったことが悔しかった」

 と反論。盟友との決別については、

「私が生きている中で優先順位が変わってきていた。まだ経験していない世界にも進んでいきたい、表現者としてクリエイティブでありたい」

 という思いからだったと語った。

 ある意味、ややリスキーにも見えたシニア婚が自分をまだ見ぬ世界へと進ませる契機となったわけだ。一方、八代や水前寺の場合はシニア離婚によって、新たな自分を生み出せると考えたのかもしれない。

 逆境を歌い上げる演歌のように、その歌手たちも自然とイバラの道を追い求めるのだろうか。

困難を乗り越えゴールイン

 7月1日放送の『SONGS』(NHK総合)に布施明が登場した。56年間の歌手生活を振り返りつつ、73歳とは思えないパワフルな歌唱力を披露。そんな彼も65歳でシニア婚をしたひとりだ。

 '13年、15歳下の森川由加里(58)と結婚。スクープした週刊女性への神対応も話題になった。布施は取材に対し、

「最近になって仲間内の何人かには“そのうちします”って言ったんだけど、それにしても、君は来るのが早いね(笑)」

 と、笑顔で応じ、そのなれ初めも明かした。実は前年夏に母が病死し、その看病疲れもあってか、自身も肺炎を発症。その際、父が大腸がんで亡くなっていることからその検査も受けたところ、初期の大腸がんが見つかり、手術をしたという。

 そんな心身ともに弱っていた時期、献身的に看病して支えになったのが森川だった。音楽活動を通じて知り合った仲だが、布施は、

「いまのオレには彼女がいないとまずいんだ」

 と、大事な存在であることに気づき、結婚へと進展。なお、森川は初婚で、布施は再婚だ。

 ちなみに、前妻はハリウッド女優のオリビア・ハッセー。'80年に結婚して、長男も生まれたが、9年後に離婚した。相手が相手だけに慰謝料・養育費も高額で、しかもドル払いなため、その負担は為替相場に左右される。布施はテレビで「最近は円高なので助かる」などと語ったりしていたものだ。

 そんな最初の結婚に比べ、再婚はなんとなく地に足が着いている印象。若くて勢いのある者同士ではなく、お互いに人生経験を重ねた同士で、特に布施にとっては母の死や自身の病気を乗り越えての結婚だからだろう。

 同じことが、浅野ゆう子(61)のケースにもいえる。'17年のクリスマスに57歳で「同世代の一般男性」と結婚。年明けに公表して、こんなコメントをした。

「お互いこの年齢で……とも思いましたが、この年齢だからこそ、互いの健康に気遣いつつ、寄り添いながら穏やかに、これからの人生を歩んでいこうと決めました」

 この「互いの健康に気遣いつつ」という一節に、ハッとした人もいるのでは。彼女は'14年、最愛の男性に先立たれていた。昭和の名優・田宮二郎の次男で、俳優だった田宮五郎だ。

 7年ほど交際したが、田宮がくも膜下出血に倒れてからの2年間はつらい日々が続いた。母親からも病気を理由に結婚を反対されたという。この母親は、娘を宝塚歌劇団に入れるべく、スタイル向上のために正座などをさせずに育てたという、女優・浅野ゆう子の基礎をつくった人でもある。

 そんな悲しみを乗り越えての結婚。母親も今回の相手については気に入っているようだ。

「背が高うてがっちりしとってね。186cmもあるんよ。ひと目会うたときから“この人やったら”と思ってたわ」

 逆に、田宮に関しては「手玉に取るような感じでね。それがアカンかった」とも。芸能人として格下の男に娘を利用されているような気持ちだったのだろうか。

 “W浅野”のひとりとして、トレンディードラマのブームを巻き起こしたゆう子。そんな人の結婚としてはいささか地味な気もするが、シニアならではの落ち着いた選択にも思える。また、57歳での結婚といっても、今の時代、先はまだまだ長いのだ。これからはむしろ、シニア婚がトレンドになっていくのかもしれない。

寄稿●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)

一般人の“シニア婚事情”

「コロナ禍になってから、40〜50代の婚活者は圧倒的に増えています」

 こう語るのは『週刊女性PRIME』で、最近の婚活事情を連載で綴っている鎌田れいさん。

「コロナ前、シニア層は共通の趣味を楽しむ集まりなどが出会いの場になっていました。でも自粛生活によって、そういった会が開かれなくなった。その結果、ガチで婚活をしないと結婚できないと、相談所の扉を叩くんです」(鎌田さん、以下同)

 鎌田さんが主宰する結婚相談所にも、男女ともにこんな人が増えているという。しかし、簡単には成婚につながらないという。

「男性のシニア層で初婚の方は“子どもが欲しい”という方が多い。だから同世代に目を向けず、もっと若い女性を希望します。そこそこお金も持っていて、貯金もあるからすぐ結婚できるだろうと思っているみたいですけど、それは昔の考え方。

 若い女性からしてみれば、年収などの伸び代がないシニアより、これから稼ぐ可能性を持つ若い男性を選ぶのは、ある意味当然です」

 またシニア世代の女性は、昔より社会的立場が向上し、高学歴・高収入の“バリキャリウーマン”も多い。

「女性はバツイチの方も多く、子どもが独立したからと婚活を始める人も。ただそういう人は、もともと結婚していた相手が条件のいい男性というパターンが多くて、理想がめちゃくちゃ高いんです。

 男女の求めているものが乖離(かいり)しすぎていて、シニア層のマッチングは難しいんです」

 それでも結婚へと至るカップルもいることは事実。

「お金や子どもが欲しいからというのではなく、価値観の合う人を探すことがいちばん。厳しい言い方になりますが、現実を知らないとシニアでの結婚は遠のくばかりです」