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 兵庫県の姫路駅には、70年以上の歴史があり、多い日は1日に2000食以上も食べられるというソウルフード「えきそば」というものがあるそうです。

 発祥は1949年。終戦直後、統制品だった小麦粉の代わりにこんにゃく粉とそば粉を混ぜた麺に、関西特有の和風ダシのスープと一緒に出したところヒット。その後、試行錯誤の結果、かんすい入りの中華麺に進化したそうですが、やはりスープは和風ダシ。和風ダシ+中華麺のミスマッチが多くの人を魅了し、姫路のソウルフードとして親しまれているそうです。

姫路のメーカー・まねき食品が展開する「えきそば」。近年、通販もスタートし、姫路のソウルフードが全国どこでもいただけることに!

 和風ダシ+中華麺といえば、山形の鳥中華が有名ですが、それとはまた違う独特の味のようです。今回はこの「えきそば」を製造販売し、通信販売を展開しているまねき食品から取り寄せ実際に試食してみることにしました。

 さらに「えきそば」とセットで販売されている姫路名物の「但馬牛 牛めし弁当」「あなごめし」「おかめ弁当」も合わせて食べてみました!

取り寄せた「えきそば」を作ってみた!

冷凍の状態の麺、素材をレンジ対応の器に入れます

 今回、通信販売でお取り寄せした「えきそば」と「但馬牛 牛めし弁当」「あなごめし」「おかめ弁当」はいずれも冷凍。「えきそば」は乾麺での展開もあるそうですが、初めてなので冷凍を試してみることにしました。

その器に、軽量カップで溶かしたスープを静かに注ぎ、電子レンジで約6分間加熱したら完成!

 まずは「えきそば」から食べていきますが、2パターンある調理方法のうち、電子レンジを使っての調理をすることに。

完成!

 軽量カップにお湯350ccと特製粉末スープを入れて溶かしておきます。次に冷凍のままの麺・ネギ・天ぷらをレンジ対応の器に入れ、その上から、さきほどの軽量カップで作った和風ダシを静かに注ぎます。

 さらにその器を600Wの電子レンジで約6分間加熱すると完成します。

姫路だけでなく、日本人なら誰でも好むであろう素朴で優しい味

もう一口、また一口と、ツルツルいただけてしまう姫路の「えきそば」。

 出来上がった「えきそば」をさっそくいただきます。現在の「えきそば」は、小麦粉・かんすいなどで作ったいわゆる中華麺ですが、発祥当初の食感を再現しているのかコシは極めて弱く、中華麺とは思えない仕上がりです。

 しかし、これが関西特有の和風ダシにぴったり合い、これまでに食べたことがなかったような美味しさが口の中に広がります。素朴な味ではありますが、パンチやインパクトを競い合う麺類とは明らかに一線を画す優しさがあります。もちろん、姫路以外の人でも、多くの日本人に好まれる味だとも思います。

姫路界隈の豊かな食材を生かした駅弁3種!

「えきそば」でセット販売もある「但馬牛 牛めし弁当」「あなごめし」「おかめ弁当」。様々なセットがありますが、「冷凍えきそば(6食入り)」+「駅弁3食」で0000円(税込・送料別)。写真は「但馬牛 牛めし弁当」

 さらに「えきそば」とセットで販売されている「但馬牛 牛めし弁当」「あなごめし」「おかめ弁当」もいただくことに。いずれも姫路駅では駅弁として販売されているもので、こちらもまた地元でのソウルフードなのだそうです。

 まず「但馬牛 牛めし弁当」からいただきました。すき焼き風に甘辛く炊かれた但馬牛の旨みが美味しく、贅沢な気分を味わえる一品。但馬牛の他にも同じように甘辛く煮込まれたタマネギやえのきも入っています。底に敷かれたお米との相性はもちろん抜群です。

「あなごめし」

 次に「あなごめし」はフワッとした食感の煮穴子と、香ばしい焼き穴子の両方が美味しく、お弁当をいただく後半までずっと幸福感を感じられる弁当。「えきそば」同様、こちらも地元では名の知れたロングセラー商品だそうです。

「おかめ弁当」

 最後は「おかめ弁当」。牛肉、タコなど様々な食材が8種以上用いられた豪華なお弁当です。姫路の豊かな食材をふんだんに使用し、素材の味を活かしつつご飯がススム味わいに仕上げられています。姫路の人たちを羨ましく思うほどに絶品です。

「非日常的」商品から「日常的」商品への転換

 最後にこれらを製造・販売をするまねき食品の担当者の方にも話を聞いてみました。

「本来、『えきそば』は姫路市内の駅構内または駅近辺の店舗で販売しているもので、電車を利用するビジネスマン、学生さんなどが小腹を満たすおやつ感覚でご利用いただくことが多かったメニューです。70年以上、愛され続けるメニューですが、今年4月より公式オンラインショップをスタートさせ、全国でお召し上がりいただけるようにしました。

『えきそば』『駅弁』とも移動、旅行などの際に利用する『非日常』的な商品でしたが、コロナ禍でこういったことがままならない今、お家で楽しんでいただける『日常的』な商品も作り続けていきたいと思っています」(まねき食品・担当者)

 コロナ禍で様々な外食産業が打撃を受けていますが、その一方、今回の「えきそば」「駅弁」のように、新たな取り組みによって、地元でしか食べられなかった味が全国どこでも楽しめるのはありがたく思います。筆者は今回の試食まで食べたことがなかった「えきそば」ですが、すっかりファンになってしまいました。ご興味のある方、是非通信販売で取り寄せて食べてみてください。日本人なら誰でも好む素朴で美味しい味ですよ。

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

「まねき食品オンラインショップ」

https://maneki-shop.net/