遊園地のアトラクションのようにスリリングな船への乗下船方法が、ツイッターで話題になっている。

一体、どんな方法なのか。その様子が、こちらだ。

動画の冒頭では、まず船の甲板の上に置かれた、青と黄色でカラーリングされた六角形のゴンドラのようなものが映っている。

ゴンドラの上部には何本かのロープ。さらに内部を見ると、なにやら天井からつり革のようなものが。

中に乗船客と思しき人たちが入ったのを確認したのち、船の作業員らしき人がゴンドラの扉をぴったりと閉めてしまった。こんなところに人を閉じ込めて、一体どうしようというのだろうか......。

と、次の瞬間。乗船客が入ったゴンドラが、丈夫に取り付けられたロープで吊り上げられるような格好で、ゆらゆらと宙に浮かび始めた!

「ヘタな絶叫マシンが裸足で逃げる」

甲板を離れたゴンドラは、そのままスーッと空中をスライド移動し海上へ。まるで荷物でも扱うかのように、乗船客が運ばれていく。

やがてゴンドラは岸の方へと向かっていく。どうやらクレーンに吊られて移動していたようだ。

そうして40秒ほどの空中移動の末に、岸で待機していた作業員たちに迎えられながら、ゴンドラは無事に着地した。

そう。なんとこの船では、乗客の乗下船をクレーンに吊るした小さなゴンドラに乗せて行っているのだ。動画で見る限りでも結構なスピードが出ているようだし、これはたしかにスリリングだ。

こちらの動画に対し、ツイッター上でも、

「なんだコレ楽しそうw」
「これ閉所恐怖症と高所恐怖症の人アウトなヤツですやん!!w」
「空飛ぶエレベーターみたいな近未来感もあります」
「ヘタな絶叫マシンが裸足で逃げる」

といった声が寄せられている。

話題になっているのは、ツイッターユーザーのたぬきねこ(@JGXC40353702021)さんが2021年6月22日に投稿した動画。Jタウンネット記者は投稿主本人と、この船を運航する大東海運(沖縄県那覇市)に話を聞いた。

「思っていた以上にスピードが速くて驚きました」

船とタヌキが大好きで日本中を旅しているというたぬきねこさん。今回投稿した動画は、2016年5月19日に沖縄県の南大東島で撮影した。

船は大東海運が運航する「だいとう」。沖縄本島から東に約360〜400キロ離れた、北大東島と南大東島まで約15時間かけて向かう定期船だ。この二つの島はどちらも、珊瑚礁が隆起してできている。

大東海運の公式サイトを見ると、「だいとう」は17時に那覇港を出発し、翌朝の8時に南大東島あるいは北大東島に到着するという運行スケジュール。便数は週に1〜2便ほど。ただし、時化の影響で入出港日が変更されたり欠航になったりする事も度々あるようだ。

たぬきねこさんは、当時「だいとう」に乗ったのは日本で唯一のクレーンで吊られての乗下船を体験したかったからとのことで、南大東島へ行ったのはこの時が初めてだったそう。

実際に乗ってみた際の感想について、たぬきねこさんは、

「思っていた以上にスピードが速くて驚きました。私は恐怖心よりも楽しさの方が勝りましたが、高い所が苦手な方は結構怖いのではないかな、と思います(笑)。吊られたカゴの中から見た大東島の綺麗な海に感動したのを覚えています!
コロナの影響でなかなか行くに行けない状況が続いていますが、落ち着いた頃にはまた訪れてみたいと思っています! 日程的問題でなかなか船で行くのが難しい島なのですが、是非とも皆さんにも経験してもらいたいなと思っています!」

と振り返った。

それにしても、どうしてクレーンを使った乗下船方法を採用しているのだろうか。Jタウンネット記者は25日、大東海運に聞いた。

取材に応じた同社船舶課の三浦倫徳さんはその理由について、

「大東島は、船舶が綺麗に接岸できる岸がなく、船を停泊させる時はどうしても4〜6メートルほどの距離が空いてしまい、橋などを架けるのも難しいんです。
なので、こうしてゴンドラとクレーンを使った乗下船方法をとっています」

と説明。

この方法は、およそ40年〜50年ほど前から使われてきたもので、以前は「大城海運」という会社が行っていたそう。その後、大城海運が倒産した際に大東海運が受け継ぎ、今に至っているという。

「ちなみに、ゴンドラには屋根のついていない晴天用のものと、屋根の付いている悪天候用のものの2種類があります」(三浦さん)

絶叫マシンさながらのスリリングな「ゴンドラ乗下船」。コロナ禍が落ち着いた後、ぜひ高速空中散歩を体験しに大東島に行ってみてはいかがだろうか。