1番シンプルなグレードこそクルマの良さが本当にわかる!?

 建物やスポーツなどが代表的だが、なにごとも発展や応用をするにも土台や基本は非常に重要である。それはクルマも同じで、基本=ベーシックなグレードがいいクルマは、タイヤサイズを大きくする、サスペンションを固める、動力性能を上げるといった発展もしやすい。そこでここではベーシックなグレードも走りがいいクルマをピックアップしてみた。

1)トヨタ・ヤリス(1リッターガソリンモデル)

 コンパクトカーであるヤリスのベーシックグレードとなる1リッターエンジン搭載車は、高速道路や上り坂だと力不足を感じることもあるが、逆にそれ以外は1.5リッターガソリンや1.5リッターハイブリッドと大きな違いはなく、シャープな走りを楽しめる。

 トヨタパッソなどのコンパクトカーでも下のクラスとなるモデルよりは少々高いが、買い物などの街乗りがほとんどという人なら、ヤリスの1リッターエンジン搭載車を考える価値は十分ある。

2)トヨタ GRヤリスRS

 ラリーをはじめとしたモータースポーツ参戦ベース車両としてトヨタが渾身の力を込めて開発したGRヤリスには、CVTとの組み合わせで1.5リッターNAエンジンを搭載するRSも設定される。

 GRヤリスは、RS以外のグレードでは、1.6リッターターボ+4WDというパワートレインを搭載しており、そのためプラットホームには車体前半がコンパクトカー用のTNGA-B、車体後半はミドルクラス用のTNGA-Cの合わせ技という余裕のあるものを使っている。

 好みもあるにせよ、パワーの小さいRSはクルマの能力の高さを余裕として使うという楽しみ方ができる。ひとつ注文を付けるならRSにもCVTだけでなく、レバー式のパーキングブレーキが付いたMT車が欲しい。

3)トヨタ・カローラスポーツ

 現行カローラシリーズは、標準的なモデルでは「それなりの面白みもあるなかに、カローラらしく気を使うことなく乗れる」という乗り味を持つ、基本がしっかりしたクルマだ。そのため5ドアハッチバックとなるスポーツの最上級グレードは18インチタイヤを履き、オプションで電子制御ダンパーもされるという、グレードアップにもきちんと対応してくれる。

 そんなクルマだけにモアパワーを感じるのも事実で、GRヤリスの1.6リッターターボ+4WDのようなパワートレインを搭載したホットモデルが欲しくなるくらいだ。

トップモデルの走りを支えるのは末端モデルがあってこそ!

4)スバル・インプレッサ(1.6リッターモデル)

 インプレッサは車重が軽いわけでないため、1.6リッターエンジン搭載車だと高速道路の上り坂や追い越し加速などの際にパワー不足を感じることはある。しかし、この点以外はボディ剛性の高さなど、インプレッサが持つ基本性能は2リッターエンジン搭載車と変わらない。むしろ16インチタイヤ装着車の乗り心地は、17インチを履く2リッターエンジン搭載車よりも好ましいこともある。

 それでいてインプレッサの1.6リッターエンジン搭載車の価格は約200万からと、コンパクトカーとそれほど大差ないので、質を重視したクルマ選びをするなら候補に入れたい1台だ。

5)スバル・レヴォーグ

 レヴォーグは電子制御ダンパーをはじめとした各部のモード切り替えにより、キャラクターを激変できるSTIスポーツが人気となっている。しかし、STIスポーツほどのモード切り替えを持たない中間グレードとなるGT-Hも、STIスポーツには及ばないものの、価格差などを考えれば満足できる仕上がりだ。

 また試したことがないため想像になるが、ベーシックなGTもタイヤがSTIスポーツとGT-Hの18インチから17インチにインチダウンされているので、乗り心地では有利になる可能性もあり、装備内容に納得できればGTを選ぶという手もある。同時にGT系はコンベンショナルなダンパーのため、サスペンションに手を加えたいという人にはSTIスポーツより向いているという点もGT系を選ぶ理由になるだろう。

6)スズキ・アルト

 アルトは600kg台という軽さにより横風などに若干弱く、移動のための道具と割り切ったところもあるクルマながら、それ以外はキビキビと軽快に走るなど、燃費も素晴らしく運転も楽しめる。

 また、アルトはスポーツモデルとなるワークスのホットハッチらしい適度にピリリとした味があるところも魅力で、それもアルト自体のベースの良さが大きく貢献しているに違いない。