中国市場の停滞により業績が悪化、負債は2社合計約34億5600万円

 九州電通(株)(TDB企業コード:850072298、資本金7040万円、長崎県大村市福重町340、代表角谷省一氏)と関係会社のハイテック(株)(企業コード:850108004、資本金1000万円、同住所、同代表)は、6月9日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全命令を受けた。

 申請代理人は三澤智弁護士(東京都中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-2600)ほか4名。

 九州電通(株)は、水晶デバイス業者の製造部門を分社化する形で1973年(昭和48年)6月に設立。携帯電話基地局などの通信機器に利用される水晶発振器の製造を中心に、資源探査衛星等に利用される水晶フィルター、水晶振動子の製造ほか、半導体素子製造の材料となるウエハーなどの原材料卸やシリコン・ウエハーの再生事業、中国現地法人向けの製造業務にかかる原材料の卸も手がけていた。国内の大手電子メーカーに販売するほか、中国を含む東南アジア、アメリカ、ヨーロッパなどの同メーカーにも販売し、2001年6月期は年売上高約73億4300万円を計上した。

 しかし、同業他社との厳しい価格競争に加え、中国国内での市場停滞や中国、台湾の現地企業にシェアを奪われたこともあって受注が減少、収益も低調に推移していた。2018年には長崎県中小企業再生支援協議会を通じて改善計画を策定、借入金返済猶予などの金融支援を受けるほか、同年7月には長崎県信用保証協会より一部代位弁済を受けていた。厳しい運営を強いられるなか、2019年6月期は年売上高約12億までダウン。インドネシアの合弁会社の清算に伴う特別損失の発生もあって約14億円の当期純損失を計上し、債務超過に転落していたなか、今年3月に複数の債権者から破産を申し立てられていた。当社としてはスポンサー支援を前提とした再建を目指していたところ、ここへきてスポンサー候補の目処が立ったことから、民事再生手続きによる再建を目指すこととなった。

 ハイテック(株)は、1983年(昭和58年)2月に設立。九州電通が保有する本社不動産の管理業務を手がけていたが、同社に連鎖する形となった。

 負債は九州電通(株)が債権者約110名に対して、約34億円(内金融債務約30億円)、ハイテック(株)は、債権者約1名に対し約5600万円で、2社合計で約34億5600万円。

 なお、6月15日13時30分より「オフィス東京」(東京都中央区)で債権者説明会を開催予定。

 長崎県下の大型倒産(負債30億円以上)は、(株)東洋館(TDB企業コード:850057371、雲仙市小浜町、2017年3月破産、負債約37億円)以来4年ぶりとなった。