農家さん直伝! 野菜の本当においしい食べ方〜茨城県・白菜〜【連載エッセイ】
◆農家さん直伝! 野菜の本当においしい食べ方〜茨城県・白菜〜【連載エッセイ】
人気フードライターの白央篤司さんが野菜農家さんのキッチンを訪ねて、その野菜の本当においしい食べ方を教えてもらう連載エッセイ。今回は冬野菜の代表選手、白菜です。白菜の一大産地・茨城県結城市の農家さんがおすすめする、冬の白菜がたくさん食べられるメニューとは??
◆白菜漬けの炒めものにさっぱりサラダ。おかずにつまみに大活躍の白菜
奥からシンプルな白菜漬け。白菜漬けは塩して専用のビニール袋に入れ、足で踏んで漬け込むそう。白菜の古漬けのゴマ油炒め。2週間ほど漬けて酸味が出てきた漬物を炒めものに使う。白菜のツナマヨ和えはフレッシュな鮮度のよい白菜でやるといい
ああ、ばあちゃんちの食卓もそうだったな。
真ん中にいつも、刻んだ漬けものがたっぷりと置かれてあった。
白菜農家の茺野公男さん宅を訪ねて、もう何十年も前に見た光景がよみがえってきた。茺野さんは白菜を育てて35年にもなるベテランで、俳優の三橋達也にちょっと似ている。
「霜がおりる1〜2月は白菜の最盛期、甘みが強くなって一層おいしくなるんだよ」と教えてくれた。
妻のさと子さんが仕込むシンプルな白菜漬けは、ほのかでやさしい甘みがあって、食べ飽きない。何度も箸をのばしてしまう。噛むたびバリバリ、シャクシャク、いい音が体に響く。おいしい響きだ。
「たくさんあるから、持って帰っていいですよ」と言われて遠慮しつつも、内心「やった!!」と叫んでいた。子どもの頃は正直、ありがたみを感じられなかった白菜漬けがやたらにうまい。あの頃、きょうみたいにバリバリ食べてたら、ばあちゃんもきっと喜んでくれたろうな。
白菜漬けは2週間も経つと酸味が出てくる。それは劣化ではなく、また別のおいしさの現れ。
そのままでもいいけど、「ゴマ油をひいてかつおぶしと一緒に炒めて、醤油を少々で味つけするとおいしいんですよ」とさと子さん。
白菜漬けはその時々でユズや昆布、スルメなんかを一緒に漬けることもあるという。漬けものを炒めるって体験したことない人も多いだろうが、おかずにつまみに実にいい味わいなので、ぜひ試してみてほしい。
「ツナとマヨネーズで和えるのもよくやります。白菜は細切りにしてサッと湯がいて、水気を絞って和えればできあがり」
いわば白菜のコールスロー的なもの。さっぱりしていて、実に合う。
レシピを聞いているとき、湯がきたてだと熱いから、粗熱がとれてから絞ってねと言葉を足された。なんだかじんわりと、やさしさが伝わってきた。
白菜の内側の柔らかいところだったら、そのまま生でツナマヨ和えにしてもいいとのこと。
白菜は使い切れなくて、という人も多い。
「先に刻んで、下ゆでしておくといいですよ」
劣化する前にゆでてしまうという知恵だ。実際さと子さんも湯がいたのを味噌汁や鍋、シチューなんかに加えているそう。
白菜はホワイトシチューと相性が抜群。私はカレーにも加えてしまう。
帰宅して、いただいた白菜漬けをテーブルの真ん中に置いた。家人も「おいしいねえ」と目を細める。あっという間になくなった。
白菜「菜黄味(なおみ)」(茨城県結城市)
今回使った白菜は、茺野公男さんが丹精込めて育てた「菜黄味(なおみ)」。茨城県結城市特産の地域ブランド野菜で、寒さに強く歯触りのよさと甘み、芯の近くの鮮やかな黄色が特長。JAグループ茨城HP『アモーレ』では、白菜をはじめ旬の茨城野菜の紹介やレシピを公開中!
文・白央篤司
はくおうあつし フードライター、料理家。「暮らしと食」、郷土料理をテーマに執筆。CREA WEB、ハフポストなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)、『自炊力』(光文社新書)など。企業へのレシピ提供も定期的に行っている
人気フードライターの白央篤司さんが野菜農家さんのキッチンを訪ねて、その野菜の本当においしい食べ方を教えてもらう連載エッセイ。今回は冬野菜の代表選手、白菜です。白菜の一大産地・茨城県結城市の農家さんがおすすめする、冬の白菜がたくさん食べられるメニューとは??
◆白菜漬けの炒めものにさっぱりサラダ。おかずにつまみに大活躍の白菜
奥からシンプルな白菜漬け。白菜漬けは塩して専用のビニール袋に入れ、足で踏んで漬け込むそう。白菜の古漬けのゴマ油炒め。2週間ほど漬けて酸味が出てきた漬物を炒めものに使う。白菜のツナマヨ和えはフレッシュな鮮度のよい白菜でやるといい
ああ、ばあちゃんちの食卓もそうだったな。
真ん中にいつも、刻んだ漬けものがたっぷりと置かれてあった。
「霜がおりる1〜2月は白菜の最盛期、甘みが強くなって一層おいしくなるんだよ」と教えてくれた。
妻のさと子さんが仕込むシンプルな白菜漬けは、ほのかでやさしい甘みがあって、食べ飽きない。何度も箸をのばしてしまう。噛むたびバリバリ、シャクシャク、いい音が体に響く。おいしい響きだ。
「たくさんあるから、持って帰っていいですよ」と言われて遠慮しつつも、内心「やった!!」と叫んでいた。子どもの頃は正直、ありがたみを感じられなかった白菜漬けがやたらにうまい。あの頃、きょうみたいにバリバリ食べてたら、ばあちゃんもきっと喜んでくれたろうな。
白菜漬けは2週間も経つと酸味が出てくる。それは劣化ではなく、また別のおいしさの現れ。
そのままでもいいけど、「ゴマ油をひいてかつおぶしと一緒に炒めて、醤油を少々で味つけするとおいしいんですよ」とさと子さん。
白菜漬けはその時々でユズや昆布、スルメなんかを一緒に漬けることもあるという。漬けものを炒めるって体験したことない人も多いだろうが、おかずにつまみに実にいい味わいなので、ぜひ試してみてほしい。
「ツナとマヨネーズで和えるのもよくやります。白菜は細切りにしてサッと湯がいて、水気を絞って和えればできあがり」
いわば白菜のコールスロー的なもの。さっぱりしていて、実に合う。
レシピを聞いているとき、湯がきたてだと熱いから、粗熱がとれてから絞ってねと言葉を足された。なんだかじんわりと、やさしさが伝わってきた。
白菜の内側の柔らかいところだったら、そのまま生でツナマヨ和えにしてもいいとのこと。
白菜は使い切れなくて、という人も多い。
「先に刻んで、下ゆでしておくといいですよ」
劣化する前にゆでてしまうという知恵だ。実際さと子さんも湯がいたのを味噌汁や鍋、シチューなんかに加えているそう。
白菜はホワイトシチューと相性が抜群。私はカレーにも加えてしまう。
帰宅して、いただいた白菜漬けをテーブルの真ん中に置いた。家人も「おいしいねえ」と目を細める。あっという間になくなった。
白菜「菜黄味(なおみ)」(茨城県結城市)
今回使った白菜は、茺野公男さんが丹精込めて育てた「菜黄味(なおみ)」。茨城県結城市特産の地域ブランド野菜で、寒さに強く歯触りのよさと甘み、芯の近くの鮮やかな黄色が特長。JAグループ茨城HP『アモーレ』では、白菜をはじめ旬の茨城野菜の紹介やレシピを公開中!
文・白央篤司
はくおうあつし フードライター、料理家。「暮らしと食」、郷土料理をテーマに執筆。CREA WEB、ハフポストなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)、『自炊力』(光文社新書)など。企業へのレシピ提供も定期的に行っている