選手権で2年連続4強の帝京長岡がプリンスリーグ北信越で白星スタートを切った。写真:安藤隆人

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 関東や関西に遅れること1週間、プリンスリーグ北信越が4月10日に開幕をした。新潟明訓高校グラウンドでは新潟明訓、帝京長岡、北越の新潟の3チームと石川県の星稜が集結し、戦いの火蓋が切って落とされた。

「今年は本当に例年になく厳しい戦いになる」と昨年就任した新潟明訓の坂本和也監督が口にしたように、今年の北信越はどこが上位に顔を出してもおかしくない、逆に言えばどこが降格してもおかしくはない混戦模様となっている。上記した4校以外にも富山第一、丸岡に加え、アルビレックス新潟U-18、ツエーゲン金沢U-18、松本山雅U-18、カターレ富山U-18とJユース勢が揃う。

 開幕戦はそれを証明する戦いだった。第1試合は新潟明訓と星稜が激突。近年、中村亮太朗と関口正大(いずれもヴァンフォーレ甲府)と大学経由でプロを輩出している新潟明訓は、スピードアタッカーの内藤大夢とキープ力に長けた帆狩楓弥の2トップを軸に前への推進力の高いサッカーを展開。11分に「前田大然選手のプレー集を坂本監督に見せてもらってイメージしていた」という内藤がスピードを駆使してゴール前に侵入をすると、「相手DFの股の下が空いていたので、そこに思い切り蹴り込めばGKも反応できないと思った」と冷静に右足を一閃。ゴールに突き刺して先制点をもたらした。

 一方で「今年は特出した個がいない分、チームとして戦わないといけない」と河合伸幸監督が語る星稜もここから反撃に転じる。昨年のレギュラーはCB中村実月のみだが、10番を背負ったボランチの岡田伯斗を軸にテンポの良いパスでリズムを作り出すと、55分にはPKを獲得し、これをFW山崎陸成が冷静に沈めて同点に追いついた。

 試合はそのままドローで終了。新潟明訓は内藤を始め、フィジカルベースが高く、インテンシティの高いサッカーを今年も展開することを示した。星稜は昨年まで星稜中の監督を務めていた木原力斗氏が高校のコーチに復帰。木原コーチは選手権初優勝の時、大会前に事故に見舞われた河粼護前監督の代わりに代行監督としてチームを指揮した経験を持ち、河合監督と新たなコンビで再スタートを切る。ともに優勝する力を持っているチームだけに非常にこれからの成長が楽しみだ。
 
 第2試合は一昨年のインターハイベスト8の北越と、2年連続選手権ベスト4の帝京長岡の新潟決戦に。北越は2年生にタレントを多く揃える期待値の高いチーム。1トップの小林謙心、CBの長谷川諒育の2年生コンビが昨年から軸として君臨し、GK内田智也、MF堀野辺空、左から強烈なアタックを仕掛けるMF小田優人も期待の2年生だ。その一方で、「危機感を持って取り組んでくれるようになった」と3年生も成長。キャプテンの五十嵐暉が鎖骨骨折により不在だが、MF稲葉悠、アンカーの水上陽生など、2年生の脇を固めてチーム力の底上げをもたらしている。

 一方で帝京長岡はGK佐藤安梧、DF佐々木奈琉、桑原航太、プロ注目の松村晟怜、MF三宅凌太郎、U-17日本代表の廣井蘭人と昨年の主軸が多く残ったが、春先は勝利から見放される苦しい時期を過ごした。3月上旬のプーマカップでは尚志に、下旬のサニックス杯では青森山田に、ともに0-7の大敗を喫するなど、フェスティバルや練習試合で1勝もできなかった。

「悔しかった。何度も選手でミーティングをした。下ばかり見ていないで前を向こうと話し合った」と松村が語ったように、自信を失いかけた時もあったが、全員でモチベーションを上げて今季初の公式戦に臨んだ。

 試合は前半から膠着状態が続いた。帝京長岡は北越の小林を警戒し、普段は3バックの右でプレーする桑原を真ん中に、真ん中の三宅を右に移した。フリーマン的に動く小林を最初は捕まえきれず、押し込まれるシーンもあったが、「先に失点しないことを考えた」(桑原)と集中力を切らすことなく対応する。