5号機パチスロ、お気に入りだった台は? ダーマン、バジ2、新鬼、悪魔…
ここ最近、パチスロ業界は大いに盛り下がっている。パチンコホールには今、6号機と呼ばれる区分のパチスロ台が席巻している。これを簡単に説明すると、出玉の上限があって、ユーザーに適度な遊技を提供するというものになる。なので、大当たりの後には大体のメーカーが液晶に「パチスロは適度に楽しむ遊びです」みたいな文言をわざわざ表示させる。
そういう台なので、出玉も少なく、その代わりコイン持ちが良くなっている傾向がある(最近、コイン持ちが悪い台も出たけど)。適度に楽しむ遊びと言いつつ、コイン持ちが良くなれば、結局長時間遊んでしまう人が出るじゃんって話なんだけど、要は過度に依存して借金してまで遊ぶ人は間違いなく減る。
事実、僕の周りに山ほどいた依存者たちも「俺、もうパチスロはやめるよ」と言って本当に卒業した者もいる。それぐらい、今の6号機は味気ないのだ。もちろん、本来賭博ではなくて遊技なんだから、味気なくて正解なんだけどね(笑)。
では、6号機の前はどんな台が出回っていたのかについては、これは単純な話で5号機と呼ばれていたものだ。今日はその5号機の話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)
結果として面白い台、爆裂台も出ることになった5号機
パチスロ5号機が市場に登場したのは、2004年のこと。それ以前に台頭していた4号機があまりに出玉性能を高めてしまい、パチスロ依存に陥って深刻な経済状況に陥るまで打ち込む人が増加。さらに負けが込んでサラ金に手を出す者まで出るわ、パチンコホールで自殺者が出るわ、かなり行くところまで行きついてしまった。
そこで、一旦加熱する出玉競争に待ったが掛かり、開発されたのが4号機よりも出率の低い、遊べるパチスロこと5号機だったのである。結果的にその5号機も2010年代後半には、かつての4号機に追いつけ、追い越せとばかりに出率の高い機種の開発競争が勃発。またしても問題となり、さらに出率の低い6号機時代がスタートした。
つまり、業界は同じことを10年かそこらかけて、4号機時代から繰り返しているようなものなのである。
ところで、ユーザー目線で見る5号機はどうだったか。初期の5号機は遊べたものではない台が多かったものの、最盛期には割と面白くて人気のある台も登場している。
その裏には、メーカーの「どうにか検定を出し抜いてユーザーを熱中させる台を出す!」という熱意も当然あったに違いない。実際、4号機と遜色のない出玉を見せる台もちらほらあった。もちろん、そうするにはかなりのヒキが必要だったが。
どの台に思い入れがある?
2ちゃんねるに先日「パチスロ5号機で一番好きだった台」なるスレッドが立っていた。スレ主は、2007年にリリースされた『マーベルヒーローズ』(タイヨーエレック)を例に挙げている。
これも5号機時代にそれなりに人気があった台だ。ボーナスに加えて純増1.2枚のARTを搭載しており、最高設定6の機械割は5号機としては屈指の119.5%。座ればまず負けない、というレベルのスペックを発揮していた。
反面、最低設定1の機械割は96.4%とお話にならないレベル。イベント日などは設定を期待してマーベルに走ったって人も多かったはずだ。スレッドには色々な台の名前が挙がっている。ちょっといくつか引用していきたい。
■『スパイダーマン2』(サミー)
複数の書き込みで、本機を推す意見が目立った。この台はリプパンはずしという、RTのパンクを防ぐ打ち手の技術介入を要するマシンで、その性質上コアユーザー、ある程度目押しのできる打ち手でないと真価を発揮できなかった。技術介入が必要な機種は2000年代の終わりごろまで比較的多く出回っており、その中でも本機はやはり出率が優れていたため、大勝を狙う人たちに好まれていた。
名前通り映画『スパイダーマン2』を題材にしているので、劇中の映像などが挿入されているという、大変お金のかかったタイアップマシンとしても記憶に残る。
■『バジリスク〜甲賀忍法帖〜II』(メーシー)
2012年リリース。ボーナスとRT、もしくはボーナスとARTとで出玉を伸ばす機種が5号機時代から登場していくわけだが、本機は基本的にARTのみで出玉を増やすタイプ。その純増は当時としては最速クラスの2.7枚であり、25〜80%の継続率で管理されていた。こちらも高設定ほど大勝できる可能性が高くなり、少ないながらも設定判別要素があったため、朝イチから狙うユーザーも多かった。
また、ボーナスが存在しないわけでなく、プレミア級のフラグとしてビッグボーナスが搭載されている。このビッグボーナスに当選すると、いくばくかの出玉と、さらに高継続率のARTがついてくるという仕様も人気となった。
■『新鬼武者』(ロデオ)
5号機を語る上でこれは外せないという機種はいくつかあるが、『新鬼武者』もその一つ。2010年に登場し、ボーナスと純増1.4枚規模のARTで出玉を伸ばすタイプ。ARTは継続率管理されており、最低継続率は50%。最大継続率は89%となっていた。
一時期はどの店舗でも大量に設置していた機種で、この『新鬼武者』を店の看板機種と捉え、イベントでも積極的に設定を使っていたものである。出玉もあり、難解な目押しや技術介入もほとんど不要ということもあって、ビギナー層の取り込みにも貢献した名機という扱いになっている。個人的には相性が悪かった。でも原作となった同名ゲームソフトは超面白かったぞ!
■『デビルマンII−悪魔復活−』(エレコ)
2010年登場の本機は、個人的にもかなりハマッた記憶がある。ボーナスとARTを搭載し、ARTは純増1.4枚と当時としてはよくある数値。ただし、高設定の機械割が高く、ツモれば安定して右肩上がりに数千枚出るということが多々あった。さらに、原作『デビルマン』の雰囲気を活かしつつCGで今風にリメイクされた演出は評価も高く、音楽のクオリティも高く、一定のファンを獲得している。
ARTではデビルマンとデーモンの一騎打ちとなっており、勝利すればボーナス。引き分けならARTがもう1セット継続。敗北で終了という分かりやすい構図になっており、敵を倒し続けてエンディングに到達すると、原作の最終回を再現したムービーを見ることが出来た。原作ファンこそ打つべき台だったと言える。もうどこにもないけど。
と、こんな具合に結構な名機を挙げる声だらけで、ホントに一部しか紹介できなかった。RTだのリプパンだのARTだの、パチスロをしない人にとってはしっちゃかめっちゃかな単語が山ほど出てきたとは思うが、パチスロをしない人にそれらの説明をしてもさらに訳が分からんことになるので、そこは許していただきたい。
ちなみに、僕がもっとも打ち込んだ5号機は2014年リリースの『バジリスク〜甲賀忍法帖〜絆』(エレコ)である。個人的につけている収支を振り返ると、14年1月28日から、19年11月9日まで、延べ356回もこの台を打っているんだから呆れる。
収支は82万9520円のプラスで終わっている。適当に遊んでても何故か勝てるという、バツグンに相性がいい台だったので、今もエレコの社屋には足を向けて寝られないぐらいだ……。