豚もテレビゲームをプレイできることが判明
テレビゲームをプレイするということは「画面に映し出された情報を読み取り」「何が起こっているかを判断し」「報酬を得るために適切な行動を入力する」という一連の行動を瞬時に行うことであり、きわめて高度な知能が求められます。アメリカのパデュー大学の研究チームは、豚がジョイスティックを使ってテレビゲームをプレイすることができたと報告しました。
Frontiers | Acquisition of a Joystick-Operated Video Task by Pigs (Sus scrofa) | Psychology
Pigs show potential for 'remarkable' level of behavioral, mental flexibility in new study | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/f-psp020321.php
Pigs can play video games, scientists discover
https://theconversation.com/pigs-can-play-video-games-scientists-discover-154993
実験に使われたのは「ハムレット」「オムレツ」という名のヨークシャー種の豚2頭と「エボニー」「アイボリー」という名のミニ豚2頭です。コンピューターのモニター前には、豚が鼻を使って操作できるようなジョイスティックが置かれ、実験で4頭の豚はいずれもジョイスティックを操作できるように訓練されました。
プレイできるゲームは「ジョイスティックで操作可能なカーソルを画面上に表示される最大3枚の壁にぶつける」という内容。プレイ時間は1日1回10分で、週5日実施されました。豚の行動を強化するために、ゲームをクリアした時の報酬として豚にはエサが与えられたとのこと。
ハムレットとオムレツの成績は、壁が3枚の場合では有意なパフォーマンスを達成しませんでしたが、壁が1枚あるいは2枚の場合は偶然での成功を上回る有意なパフォーマンスを見せました。
また、アイボリーとエボニーの成績は、壁3枚の場合は偶然での成功を上回る有意なパフォーマンスを見せたそうです。壁2枚の場合、有意なパフォーマンスを見せたのはアイボリーのみで、壁1枚の場合はどちらも有意なパフォーマンスを見せたものの、アイボリーの方が高いパフォーマンスを見せました。
さらに、研究チームによれば、コミュニケーションが豚の学習に強く影響を与えた可能性があるとのこと。例えば、機械がエサの分配をうまくできなかったときに鳴き声と物理的接触で相手への反応を示したり、ゲームの課題が難しい時に鳴き声でコミュニケーションをとったりしていると思われる場面もあったとのこと。
研究チームは、「親指のない動物がジョイスティックを使い、ゲームという仕事で成功を収めた」という結果は注目に値すると評価しています。論文の主執筆者でパデュー大学動物福祉科学センター所長を務めるキャンディス・クロニー教授は、「自分の行動が他に影響を与えているという概念を把握することは、動物にとって大きな偉業です。豚がテレビゲームをプレイできるということは、豚が他にどんなことを学習できるのか、その学習が豚にどういう影響を与えるのかについて、我々に一考の余地を与えてくれるでしょう」とコメントしました。
さらに、クロニー教授は「私たちは豚とどのように交流するべきなのか、豚に何をするとどういった影響があるのかをひもとくことは非常に重要です。私たちには、豚がどのようにして情報を獲得し、何を学習し、記憶することができるのかを理解する倫理的な義務があります」とコメントしました。