マイケル・チャンが錦織や自身のキャリアについて語る

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1989年に17歳で「全仏オープン」を制し、史上最年少のグランドスラム覇者となったマイケル・チャン(アメリカ)が、自身のキャリアやコーチとして指導する錦織圭(日本/日清食品)について語った。伊ニュースサイトUBI Tennisが報じている。

チャンはATPの大会で34度の優勝を果たし、グランドスラム決勝には4度進出。1996年にはキャリアハイとなる世界ランキング2位に登りつめた。彼の試合で最も有名なのは、優勝した1989年の「全仏オープン」の準々決勝だろう。2セットダウンからの逆転劇を演じ、当時過去5年間で3度同大会を制していた世界ランキング1位のイワン・レンドル(アメリカ)を破った。


インタビューの中で、チャンは選手生活をもう少し楽しんでも良かったと語る。


「ツアー中は、いくらか無敵な状態なんだ。時間がいかに早く過ぎていくかに気づかない。私は16歳になる少し前にプロに転向し、32歳になる前に引退した。その間の年月は瞬く間に過ぎたよ。今振り返ると、大会で優勝した瞬間なんかをもう少し楽しんでも良かったと思う。世界ランキング2位だった時も、もっとそれをじっくり味わっても良かったな」


チャンは2014年から錦織のコーチを務めており、彼を同年の「全米オープン」決勝にも導いた。


「私にとっては、指導する相手が圭であっても、自分の娘でも、クラブの所属選手でも、単純に楽しくてやっていることだし、ただ選手の成長を助けるということに尽きる。選手が満足そうな表情を浮かべて『分かりました、それならうまくいきます』と言うのを見ると報われるよ。圭の場合、大会での結果が私にとってのご褒美だ。かなり早い段階で結果が出たのは良かったね。圭は飲み込みが驚くほど速いタイプの選手だ。本当に多くの意味で、彼を見ているのは気分がいいよ」


チャンはさらに、彼の時代と現在のテニスのプレースタイルの違いについても語った。


「ラケットの技術が進化したおかげで、テニスは変わった。私の世代の選手を見ると、ベースラインからの強打を得意とする選手、サーブの後すぐにネットに出てプレーする選手、強力なサーブを正確に操って相手を動かす選手、回転をかけたリターンからネット際での攻撃を狙う選手など、異なるタイプが混在していた。いろいろなプレースタイルの選手と戦わなければいけなかったんだ。でも最近はそれほど種類が多くない。今の選手は昔よりもパワーと回転を生み出せるんだ。私の世代の選手で今も昔のラケットやガットを使っている人は誰もいないよ。新しい技術によって、昔よりも簡単に多くのことができるようになったからね」


(テニスデイリー編集部)


※写真は2018年「Nitto ATPファイナルズ」での錦織(左)とチャンコーチ(右)
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)