およそ4カ月に及んだイギリス・アメリカ遠征を終え、2週間の自主隔離期間を充電期間に充てた渋野日向子が、ようやく国内ツアーに帰ってくる。


国内ツアーに復帰する渋野日向子

 予選落ちに終わった今季開幕戦以来となる復帰の舞台は、樋口久子 三菱電機レディス(10月30日〜11月1日/埼玉県・武蔵丘GC)。開幕の前日、リモート会見に臨んだ渋野は、開口一番、シブコスマイルを弾けさせた。

「会う人、会う人が『おかえり』と言ってくれて。まず、日本語を聞けるのがうれしかった(笑)。(日本ツアーは)今年2試合目で、練習ラウンドからアメリカよりも緊張しています。

 まだ日本で予選通過ができていないので、まずはそれが達成できるように。アメリカで吸収してきたことを取り入れつつ、日本ならではの、攻めのプレーやマネジメントを考えつつ、積極的なプレーができるようにしたい」

 リンクスコースに弾き返されたイギリスの2試合(スコットランド女子オープン、全英女子オープン。いずれも予選落ち)、世界のレベルを肌で感じたアメリカでの4試合(最高順位は24位タイ)の結果は、渋野にとってプロ入り後初めて訪れた試練だったのかもしれない。

「ゴルフの全部が欠けていた。そのなかでも、2m以内のパターをかなり外してしまって、何度も損していました。そういう距離の読みが合ってくれば、入る確率も高くなると思う。この距離を決められたら『何打も縮められるのに』とは何度も思いましたね。

 メンタル的にはイギリスが一番つらくて、(新型コロナウイルス感染拡大防止のため)ゴルフ場とホテルにしか滞在できなかった。外に出ることができず、息抜きをする時間がまったくなかったので、メンタルやられていたんですけど、アメリカではスーパーとかも行けて、料理もできて、リフレッシュはできていたと思います」

 海外で痛感したのは、「ひとりでは戦えない」ということだった。

「私ひとりじゃ何もできない。アメリカで戦うことになれば、いろんな人を巻き込むことになる。かなりの覚悟を持って、誰より私自身ががんばらないといけないというのは、これまで以上に思いました。

 日本とはまた違う難しさは、アメリカでしか経験できない。特にグリーンに悩んで、早くリベンジしたい。今まで以上に、アメリカツアーで戦いたいという気持ちになりました。それは自分でも正直、予想外でした」

 海外から帰国する際には2週間の自主隔離期間が必要だが、オリンピック強化指定選手である渋野は、特例として(感染対策や事前申請などが必要)練習場やゴルフ場でクラブを握ることも可能だったという。

「なるべく人に会わないように、練習させてもらいました。オフは2、3日ぐらいで、だいたいは練習場にいるか、コースを9ホール回るとか。あとは、ゆっくりする時間もかなり確保できた。

 韓国ドラマを見て心が癒されたり、(PGAツアーの)ZOZOチャンピオンシップをコーヒーを飲みながら見たり。実家のわんちゃんに(自分のことを)忘れられていなかったのもよかった。夜は、お母さんと一緒にご飯を作って、かなり喋ることもできた。有意義に時間を使うことができました」

 不在の間の国内ツアーは、同じ『黄金世代』の小祝さくらが好調を持続し、原英莉花が国内メジャーの日本女子オープンを制した。

「かなり刺激になりました。イギリスの2試合で落ち込んでいたんですけど、みんなの日本でのがんばりを見ると、私もがんばらなきゃと強く思えた」

 切磋琢磨し合う同世代から刺激を受け、米ツアー挑戦の青写真を描く渋野の"リベンジ"がスタートする。