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 1987年、中国の陝西省(せんせいしょう)にある晶山村で、一夜にして村人1000人全員が一斉に姿を消してしまうという事件が発生した。人はおろか、犬や猫、鳥や牛といった家畜までもが失踪しており、インターネット上では中国政府の関与やエイリアン説が囁かれている。一体、何が起きたのか。

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 陝西省は中国の中央部に位置し、南北には黄河が細長く伸びている。北部は砂漠が広がる一方で、南部は秦嶺山脈が東西に走り緑豊かな地域として親しまれてきた。晶山村は秦嶺山脈のふもとに存在していたが、とりわけ目立つ特徴もなく、陝西省に点在する他の村々と変わらないありふれた場所だった。ただ、すぐ近くにロケットの打ち上げ場があり、そのせいかUFOの目撃情報が多い場所だったそうだ。

 そんな晶山村で「住民が一斉に失踪していた」というニュースが、2010年に中国メディアに取り上げられた。事件当時1000人ほどが村で暮らしていたのだが、大人も子供も一夜にして消えてしまったという。しかも、村には大人数が移動したような形跡は一切残っておらず、家屋には食事や日用品が残されたままだったというのだ。

 中国メディアは、公安部や周辺都市住民に確認を取ったが、そのような事件は報告されていないという返答ばかりで、結局事件の詳細や住民の安否は分かっていない。

 この報道を受けて、中国人の間では様々な憶測が広がった。まず1つ目は「エイリアンに連れ去られた」という説。中国メディアの報道では、事件が起きる数日前から周辺地域でUFOが確認されていたというのだ。元々UFOの目撃情報が多い地域だけに、中国人の間ではエイリアン関与説を信じる人も多いそうだ。

 2つ目は「軍の関与」という説。中国メディアはUFOの目撃情報とは別に、事件前に晶山村周辺の道路が封鎖されていたという噂を報じた。「村人がトラックに乗せられていた」「軍用車や戦車が大量に搬入された」という証言も紹介されたことから、軍による何らかの作戦・行動に巻き込まれたのではないかという噂が広がった。他にも、「核施設整備のための強制移住」など様々な噂が流れているものの、中国政府は関与を否定。結局、事件は噂のみが残ったままとなっている。

 実はこの事件、噂の発端はネット上の書き込みとされている。2010年10月13日、とあるユーザーが中国の大手SNS「weibo」に、「秦嶺山脈のふもとの村が一夜に消えたと聞いた」と書き込みを行ったのが初出。書き込みは瞬く間に広がり、中国のネット上で騒ぎとなった。これをきっかけにメディアで取り上げられ、失踪事件から23年経ってから話題になったようだ。陝西省に住むネットユーザーは「そんなこと聞いたこともない」「昔から住んでいるけど、ここは平和だよ」と投稿するも、事件に関する噂は止まらなかったという。

 一人のネットユーザーによる創作が独り歩きしたのか、それとも隠蔽された事件がようやく明らかになったのか。政府による情報統制が行われていた可能性もあるのだろうか。結局、2020年8月現在も噂の真相は明らかになっていない。