ホンダHV車、ミニバンでは人気劣る? 低燃費でも選ばないユーザーの本音
ホンダのハイブリッド車、カテゴリによって人気に差がある?
近年、ハイブリッド車は急激に普及していき、いまや新車市場で一大勢力になったといっても過言ではありません。自動車検査登録情報協会によると、2019年時点のハイブリッド車(ハイブリッド乗用車)の保有台数は845万3451台となっており、2009年の52万5411台と比べて約16倍となっています。
そんななかホンダは、2020年1月から7月の登録車におけるハイブリッド車比率を発表しています。その統計によると、ホンダ登録車全体で57%をハイブリッド車が占めていて、モデル別では「フィット」が64%、「ヴェゼル」が65%としています。
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ブランドを代表する人気モデルも過半数がハイブリッド車となっていますが、それらほとんどがコンパクトカーやSUVです。
対してハイブリッド車の比率が振るわないのがミニバンです。
「オデッセイ」は59%で、ホンダでもっとも販売台数の多いミニバンである「フリード」が46%。「ジェイド」(2020年7月生産終了)が40%で、もっとも比率が低いのが「ステップワゴン」では32%まで落ち込んでいます。
フィットやヴェゼルといったモデルとステップワゴンを比較すると、比率は約半分にとどまっています。
ブランドとしてもハイブリッド車が多く販売されているのにもかかわらず、なぜミニバンはガソリン車の方がユーザーから選ばれているのでしょうか。
あるホンダ販売店スタッフは以下のように話しています。
「ミニバンにおいてハイブリッド車が選ばれにくいのは、価格が高いことが影響しているかもしれません。ステップワゴンとフリードのハイブリッド車は、ガソリン車と比べて50万円近く高額です。
こうしたことに加え、グレードの高いナビや、リアモニターといったオプションを付けると、税金含めてさらに150万円上乗せされることもあります。
こうしたことから、実際に見積もりをご覧になって、ガソリン車を購入されたお客さまもいらっしゃいました」
ステップワゴンの例を見ると、ホンダアクセスが手掛ける純正ディーラーオプションナビは、もっとも安価なものであれば10万円弱から購入できますが、上級グレードの「9インチ プレミアム インターナビ」は23万1000円(消費税込、以下同様)で、さらに上級となる車種専用モデル「VXU-207SWi」が設定され、価格は27万5000円です。
また、多人数乗車する際に重宝されるリアモニターも、ミニバンにおいてオプション代を引き上げる要因のひとつです。
ホンダはステップワゴン、オデッセイ、フリード、ジェイドのいずれにもリアモニターを設定していますが、ステップワゴンの例を見ると、「11.6インチ リア席モニター VM-185EN」は、本体と取り付けアタッチメントを合わせると10万6700円で、多くのユーザーにとって決して無視できない金額になります。
これらのオプションを選択していくと、結果としてハイブリッド仕様を諦めるというユーザーも存在するかもしれません。
ガソリン車で満足というユーザーも一定数存在する?
ハイブリッド車とガソリン車の価格差は、ユーザーがハイブリッド車を検討する際、二の足を踏む理由のひとつとなります。
これらに加えて考えられる、ミニバンのハイブリッド車比率の低い原因は、ガソリン車の性能で満足するユーザーが多いということです。
ホンダ発表の統計において、もっともハイブリッド車の比率が低かったステップワゴンのガソリン車について、先ほどのホンダ販売店スタッフは次のように話します。
「ステップワゴンのガソリン車には1.5リッターターボが搭載されています。これにより、エンジンは小さいですが2.4リッターと同等のパワーで走ることができます。
ハイブリッド車でなくても十分な推進力を兼ね備えているため、ガソリン車で満足というお客さまもいらっしゃいます」
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ステップワゴンのSPADA系グレードにおけるハイブリッド車・ガソリン車のエントリーモデル同士を比較すると、「e:HEV SPADA G・Honda SENSING」は342万7600円、ガソリン車の「SPADA・Honda SENSING」は292万500円と、50万円以上の差額があります。
ハイブリッドには特有のスムーズな加速や、燃費がいいことで給油回数が減るなどのメリットがあります。
そのような点に魅力を感じる人も少なくない一方、日常的に長距離を運転するといった「ハイブリッドでなければならない」という理由を持たないユーザーは、その価格差からガソリン車を買い求めるようです。