同窓会の集合写真に収まる小川さん。友人との久しぶりの再会に財布のひもが緩んだ?

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「1億円の資産がある」

【写真】足場がびっしりと囲み、沢山のアンテナが立つ基地のような小川さんの自宅

「ジュラルミンケース入りの札束を見せびらかしていた」

 など金満ぶりが伝えられていた被害者。

オウムのサティアンのような家

 事件は昨年12月14日の未明に発生した。東京・青梅市の自宅にいた小川和男さんが侵入者に気づき、

「泥棒に入られたようだ。男が逃げていった」

 と110番通報。4分ほどの通報で犯人の特徴などを伝えたがその後、警察が駆けつけると、小川さんは血を流して倒れていた。死因は、鈍器による頭部損傷─。

 それから2週間たった27日、警視庁は韓国籍のハン・イルイン容疑者(31)と野村俊希容疑者(25)を逮捕。

「2人は京都の建築会社で知り合い被害者との面識はなかったようです。小川さん宅の近隣の防犯カメラに、2人のほか2台の車が映っているので複数の共犯がいると思われます」(一般紙社会部記者)

 小川さんの自宅は東京駅から電車で約70分。JR青梅駅から車でさらに20分ほどかかる山間部にある。

「夜にそばを通ると気味悪くてね。増築してブルーシートもかかっていて、中は迷路のようになっているから、オウム真理教のサティアンのようだという人もいるんです」

 そう近隣の住民が話すように、40年以上前に建てられた2階建ての家は多数のアンテナが立ち、要塞のようにも。小川さん自らが増改築をしていたという。

 一方で、小川さん自身の評判は悪くなく、

「和男ちゃんは近所によくカップ麺やお菓子を差し入れるなど優しい性格だから、人から恨みを買うような人ではないですよ」

 と近所の主婦。風変わりな趣味人としても知られ、

「若いころはバンドを組んでいて、多数のギターやベース、ドラムを所有。防音壁も自分で造っていた」

「和男ちゃんは昭和40年代に当時はまだ珍しかったラジコン飛行機を飛ばしていた」

「アマチュア無線をやっていて、アンテナをいくつも立てていた。本人は“オレは宇宙とも交信してるんだよ”と話し、電波が強すぎて警察から注意されたこともあるそう」

札束を見せるクセがあった

 さらに、地元では“資産家”としても有名だった。

「ジュラルミンケースにぎっしり詰まった金を見せてね。焼き鳥店やキャバクラを経営して儲かったと。霊感があって競輪・競馬などのギャンブルでドーンと当たった、バブル期に株投資で稼いだとも言っていたね」(近所の住民)

 しかし、小川さんの親族たちは一様に首をかしげる。

「確かに40年以上前から、札束を見せるクセはあった。でも、ずっと会社の配送部門で働いていたので、ギャンブルで一時的に大金が入ることはあっても、店の経営や投資はしていないのでは。

 彼は茶目っ気がある人だったので、大金を見せて喜んでいたんでしょう。ずっと独身だったし、さまざまな趣味を次から次へと乗り換えて、道楽をしていた変わり者ですけどね、私にとっては」(小川さんのいとこ)

 また、小川さんのめいは、

「お金のことは事件が起きて、初めて知りました。実家はもともと金持ちでもなんでもありません。15年前に(小川さんの)母親、30年前に父親が亡くなりましたが豪華ではなく、ごく普通の葬儀でした。

 おじさんは楽しくひょうきんな性格だったので、みんなが驚く姿を見て、楽しんでいたのではないでしょうか」

ホントに全部、本物なの?

 実際、警察の調べでは小川さん宅には300万円ほどの現金はあったが、ジュラルミンケースには札束のいちばん上の1枚目だけが本物の10万円しか入っていなかった。

 2016年に開かれた中学校の同窓会に、小川さんはやはりケース入りの札束を持参して参加していた。

「1次会、2次会の総額およそ30万円をすべておごってくれました。そのときは金持ちなんだなと思いましたよ。でもいま考えると、昔はまったく目立たない存在だったのに、同窓会へ呼ばれたことがうれしくて、見栄を張って払ってくれたのかもしれません」(同級生)

 2次会が開かれた飲食店の店主は、

「独身だし、退職金もあっただろうから、決して払えない額ではないですよね。支払いはケースのお金ではなくて、財布から出していました。でも普通、大金を自慢したり自ら言いふらしたりする人はいませんよね。百害あって一利なしですよ」

 と、小川さんが現金を見せびらかしていたことに疑問を持っていたようだ。

「同級生の1人と私が、“ホントに全部、本物の金なの?”と底まで入っているかどうか調べようとしたら、本人が慌てて“それはやめてくれ!”と言って制止したんです。やっぱり本物ではないのかなと思いました」(同・店主)

 そんな小川さんの“冗談”を容疑者たちは聞き、殺人まで犯してしまった。彼らは、小川さんのことをどこまで把握していたのか─。