2317年まで「思い出の品」保管します 大丸心斎橋店の「300年クローゼット」が壮大すぎる
いつまでも残しておきたい「思い出の品」を300年先まで保管します――そんな夢のような企画が、大丸松坂屋百貨店(本社・東京都江東区)で展開される。
大丸松坂屋百貨店は2017年、創業300周年にあわせて「300年クローゼット」プロジェクトを開始した。プロジェクトでは、大丸ゆかりの品物とそれにまつわるエピソードを「大丸での幸せなお買い物体験の象徴」として、創業600周年となる2317年まで保管する。
3つの品物を300年後の未来に残す
収蔵するのは、「90年間つれそった3枚の写真」「戦火をくぐりぬけた雛人形」「お祖母さんがあつらえたウェディングドレス」の3つの品物。19年9月20日にグランドオープンした大丸心斎橋店で保管するとともに、12月26日〜20年1月9日まで同店本館1階イベントスペースで展示する。
展示パースイメージブースの様子
それぞれのエピソードをウェブ動画で公開
「90年間つれそった3枚の写真」は1926(大正15)〜1931(昭和6)年ごろ、大丸心斎橋店内の写真館で撮影された。持ち主が生まれて間もない1歳の時、おもちゃのボートを買ってもらった3歳の時、「紐落とし」という行事で大人と同じような着物を着た5歳の時に、今は亡き父が撮ってくれた。「いつまでも残したい」3枚の写真だ。
「戦火をくぐりぬけた雛人形」は1938(昭和13)年ごろ、持ち主の叔父が大丸心斎橋店で購入し贈ってくれた。戦争が激化すると、持ち主の母は迷うことなく疎開先にこの雛人形を持って行ったという。持ち主はおばあさんになった今も、桃の節句にはこの雛人形を飾り、「母の優しい顔やまなざしを思い出します」としている。
「お祖母さんがあつらえたウェディングドレス」は1975(昭和50)年4月、大丸神戸店にて購入された。持ち主の結婚にたった一人賛成してくれた祖母があつらえてくれた、「おばあちゃんの魂が入った守り神のような存在」だ。
品物の持ち主には「300年引継証」が発行され、子孫へと引き継いでいく。デザインは蒔絵師の島本恵未さんが担当している。
300年引継証
12月26日〜1月9日の期間、大丸心斎橋店ではこれら3つの品物を展示。品物にまつわるエピソードを紹介する動画を放映するほか、300年間保管するにあたって大丸松坂屋百貨店内で引き継いでいく「管理マニュアル」の展示などを行う。
またプロジェクトの特設サイトでは、持ち主が品物に込められたエピソードを語ったウェブ動画を公開している。