特徴的なテーマソングを流しながら繁華街を爆走し、もはや日常風景の一部となっているのが、求人情報サイト「バニラ」の広告宣伝車、通称 “バニラカー” 。なぜ、バニラのテーマソングは一度聞くと忘れられないのか。

「都会の繁華街を歩くときと同じテンポで作曲しました」

 その秘密を教えてくれたのは、作曲者のA氏だ。若いころは、一世を風靡したバンドのドラムを担当。その後、CMソングを中心に、1000曲以上を手がけてきた。

「若い女のコに、思わず振り向いてもらえるような曲を目指しました。4、5名の若い女性が歌っています。

 そのなかのひとりに、わざと音程を外してもらったり、かすれた声で歌ってもらったり、サウンドを特徴的にすることで、フックを作っています。きれいにまとめると、逆に印象に残らないんです。

 制作期間は2週間ほど。みんなで聴いたときは、拍手喝采でした。来年はオリンピックイヤーなので、日本にやってきた外国人の方に、バニラの歌をぜひ聴いてもらいたいですね」

“バニラ人気” を支えているのは、テーマソングだけではない。冒頭の写真は、バニラ運営事務局で広報を担当する、バニラカーの頭脳ともいえる2人だ。

「私はトラックを走らせる地域や、走行ルートの策定などをしています」

 そう語るのは、斉藤奈々さん(31、写真右)。

「バニラの求人情報のメインターゲットは若い女性です。なので、若い女性がよく行くような、おしゃれなお店や通りを調べて、ルートを決めるんです。

 地図をもとに決めることもありますが、実際に繁華街のなかを歩いたり、バニラカーの助手席に乗せてもらうなどして、少しでも目立つ道を探しているんです」(斉藤さん)

 机に並ぶ “バニラグッズ” について教えてくれたのは、松井美香さん(28、写真左)だ。

「スマホケース、Tシャツ、シール、うちわ、マグカップなど、多様なグッズを作っています。ただし、販売利益を上げるのではなく、あくまで話題性を作り、『バニラ』を認知してもらうのが狙いです。

 中央のプラモデルは、販売元の青島文化教材社さんからオファーをいただいて、実現しました。今後も、ユニークなグッズを手がけたいですね」

(増刊FLASH DIAMOND 2019年11月15日増刊号)