宇宙でも”映え”。フォトジェニックな渦巻銀河
宇宙に無数に存在する銀河の画像の中でも「映える」1枚が撮影されているのが、この「NGC 1566」です。
NGC 1566は、地球から約4000万光年離れたところに位置している渦巻銀河。ちょうど地球に正面を向けた姿で、そこには約40憶もの星が存在しています。画像では渦巻きを形作る2本の「腕」がはっきりと見え、青い光は星の集団、光を遮っている暗い部分はダスト(ちりのような小さな粒子)、そしてピンク色の部分は星形成領域です。
ハッブル宇宙望遠鏡はNGC 1566について多くの画像を撮影し、そのデータは星の形成や超新星爆発といった現象の研究に使われてきました。NGC 1566は渦巻き銀河の一種ですが特に中心部が非常に明るく輝いており、「セイファート銀河」としても分類されます。
銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在し、周囲の星やガスを巻き込んで巨大なエネルギーを放出していると考えられています。また、2018年には急激に明るくなる現象が観測され、今も天文学者たちが研究を続けています。
ちなみに、この銀河には「スペインのダンサー」という愛称もあります。銀河の腕がダンサーを上から見たときのスカートの広がりに似ていることが由来のようですが、中心部の活動的な様子もスペインの情熱的なイメージに合っているかもしれません。
また、NGC 1566の持つ特徴を絶妙なバランスと波長で捉えたこの合成画像は、まさにフォトジェニックな「映える」1枚と言えるのではないでしょうか。
Image Credit:NASA, ESA, Hubble; Processing & Copyright: Leo Shatz
https://apod.nasa.gov/apod/ap190702.html
文/北越康敬