ネイマールが大炎上。カーニバルで大はしゃぎして糾弾の嵐
1月23日、パリ・サンジェルマンのフランス杯ストラスブール戦で右足の第五中足骨を折り、全治約10週間と診断されたブラジル代表のエース、ネイマール。故障から約1カ月後の2月21日、母国へ一時帰国した。
昨年2月末にもほぼ同じ箇所を骨折し、このときは手術を選択した。しかし、リハビリに予想以上の時間がかかり、W杯ロシア大会にベストコンディションで臨むことができず、期待を裏切ることになった。
折しも、ブラジルはカーニバルの季節。3月1日から5日まで、交通機関を除くほぼすべての機能が停止した。
ブラジルに一時帰国し、リオのカーニバルではしゃぐネイマール
ネイマールは”ブラジル音楽の首都”と呼ばれる北部サルバドールで、1日深夜から2日明け方にかけて、カーニバルをスタンドから見物。見ているだけでは飽き足らず、音楽に合わせて激しく身体をくねらせて踊った。その傍らには、19歳の金髪の女性歌手の姿が。さらに、4日深夜から5日未明にかけて、今度はリオデジャネイロのカーニバルを見物。人気歌手アニータさんとキスをかわして大きな話題となった。
このようなネイマールを、専門家は「長時間立っているだけでも足に負担がかかる。あれほど身体を使って踊るなど、もってのほか」と断罪。ブラジル国内の各メディアも「プロ意識がまったく欠如している」と糾弾した。
国民の間からは、「さすがネイマール。サンバを踊ってケガのリハビリをするとは」の声も上がったが、フランスのスポーツ紙「レキップ」は、「足の骨を折ってドリブルはできなくとも、サンバを踊るのはまったく問題ないらしい」と皮肉った。
5日の飛行機でパリへ戻ったネイマールは、6日にパリSGの本拠地で行なわれた欧州チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦、マンチェスター・ユナイテッドとの第2戦を観戦した。アウェーでの第1戦は2-0で勝っており、敗れても1点差なら勝ち上がれる状況だったが、アディショナル・タイムにPKを決められて1-3と惨敗。チームは今年もベスト16で姿を消した。
もしパリSGが勝ち上がっていれば、ネイマールは4月に行なわれる準々決勝に出場できる可能性があったが、その望みは露と消えた。ブラジルのあるインターネット・メディアは、「ネイマールはブラジルでカーニバルの熱狂に身を任せ、パリで”灰の水曜日”(カトリックで試練の期間に入ることを意味する)を味わった」と伝えた。
このところ、ブラジルの国内メディア、国民のネイマールへの視線は厳しさを増す一方だ。
2016年にリオ五輪でブラジルに初の金メダルをもたらしてから、2018年W杯南米予選で活躍した頃まで、ネイマールは国民的英雄だった。しかし、ロシアW杯前に大きな故障をして国中を心配させ、その不安が的中してロシアではさんざんな出来に。セレソンが早々と敗退する結果を招き、国中を失望させた。
今季も、なかなか調子が上がらないなかで、今回の長期離脱である。
負傷したのは本人のせいではないし、地道にリハビリに励んで早期復帰を目指していれば、どこからも文句は出ないはずだ。しかし、故障直後の2月初めにも、松葉杖をつきながらパリで派手な誕生日パーティを開いて顰蹙(ひんしゅく)を買うなど、プロ意識を疑われるような行動が多い。そのため、「もう27歳なのに、あまりにも精神的に幼い」「最近、彼が話題になるのはピッチ外のことばかり。本当にフットボーラーなのか」「すでにキャリアのピークを過ぎたのではないか」といった批判や懐疑の声が渦巻いているのだ。
「リオネル・メッシの脇役であり続けたら、いつまでたっても世界ナンバーワンの選手にはなれない」と考えて、2017年8月にバルセロナからパリSGへ移籍したネイマール。だが、ここまでのところ、キャリア上は後退を続けている感がある。チーム内でも主役の座をフランス代表FWキリアン・ムバッペに奪われつつあり、「パリSG移籍は大失敗だった」という見方が一般的だ。
筆者も、ネイマールの最大の問題は彼の人間性にあると考えており、人生とフットボールとの向き合い方を根本的に見直さない限り、将来は厳しいのではないかと予想している。
とはいえ、挽回のチャンスは残されている。まずは今年6月から7月にかけて母国で開催されるコパ・アメリカだ。この大会ですばらしいプレーを見せてセレソンを優勝に導くことができれば、ブラジル国内での彼への批判はひとまず沈静化するだろう。しかし、もしまた期待を裏切るようであれば、セレソンでも主役の座を追われ、ネイマール不要論が噴出する可能性は大いにある。