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先天的に手や腕が欠けた子どもがフランスの一部地域に集中して生まれていたことが判明しました。フランス当局は当初、発生件数について「平均より著しく高いということはない」という見解を示していましたが、事態が明らかになるにつれ姿勢を変え、新たに政府は全国規模の調査を開始すると発表。記事作成時点で発生地域の共通点は少なく、原因は明らかになっていません。

French Ain babies: Missing limb births prompt national inquiry - BBC News

https://www.bbc.com/news/world-europe-46043564

France launches probe into babies born with malformed arms - France 24

https://www.france24.com/en/20181031-france-probe-babies-born-malformed-arms



先天性上肢欠損の子どもたちは胎児の時期に適切に両上肢を形成することができず、結果として生まれた時に完全に両上肢がなかったり、前腕や腕が欠けていたりします。フランスではこのような子どもがスイス国境近くのアン県、ブルターニュ地方、ロワール=アトランティック県で突出して多く報告されているとのこと。

アン県で報告された子どもは「Druillat」という村から半径17kmの範囲に集中していることから、殺虫剤が原因である可能性も疑われています。

以下の写真に写っている少年が、アン県在住の手が欠けた少年のライアン君8歳。



過去6年間でDruillatの周辺で上肢の先天性異常が7件もあったということは、地元の医師によって2018年7月に報告されました。Public Health Franceは当初の調査結果で、「2009年から2014年までの報告数はフランス国内の平均よりも著しく高いものではない」という見方を示していました。しかし、その後、アン県では2000年から15年の間にさらに11件の上肢先天異常があったことが判明します。

アン県に加え、ブルターニュ地方、ロワール=アトランティック県でも同様のケースが見られ、最終的にPublic Health Franceはこれらが「平均以上の数だ」と認めました。Public Health Franceの最初の報告結果が貧弱で説明を欠いていたということは国民の非難を浴びており、国民の間では不安が広がっているといいます。



アン県のヘルスセンターに所属する遺伝子学者のElizabeth Gnansia氏は「2009年から2014年の5年間に生まれた、田舎にある同じ学校に通う7人の子どもの前腕が失われている状態が想像できますか?」「統計学は必要ありません」と語り、同地域の子どもの腕が欠けているのは偶然ではなく、原因があってのことだと話しています。

フランスの厚生大臣であるAgnes Buzyn氏は、原因を究明中であり、2019年の1月には最初の報告が行われること、そして7月には完全版の報告があることを説明しています。Buzyn氏はテレビ取材に対し「これは、全フランス国民が知りたいことだと思います。私たちは環境や食べるものや飲み物など、全ての可能性を無視したくありません。もしかすると呼吸によって吸収されるかもしれませんが……現時点では何もわかっていません」とコメントを寄せています。

Public Health Franceが現時点で発表している報告は一部の登録者を調査したものであるため、今後さらに該当者が見つかる可能性は大いにあるとのこと。実際に、病院のデータベースを使った解析でも、新しいケースが報告されたとPublic Health Franceは述べています。

ただし、子どもが生まれてから数年経過した時点で、当時の胎児に影響を及ぼしたものを包括的に調査するのは非常に困難であるとも指摘されています。

過去には、睡眠薬や胃腸薬としてサリドマイドを妊婦が服用するとサリドマイド胎芽症と呼ばれる奇形を持った新生児が生まれることが問題となりました。この時も薬の服用と子どもの奇形という関連性は、薬の服用が行われてから数年後に判明しています。