突然の直撃取材にも、余裕の笑顔を見せてくれた希実子さん

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「勸玄くんが出てくると、客席はワーッと盛り上がりましたよ。悲しい別れの場面でもヤンヤの喝采でしたね(笑)」(観客のひとり)

【写真】勸玄くんをバックアップする家族たち

 東京の歌舞伎座で行われている『七月大歌舞伎』。市川海老蔵が座頭を務める今公演では、昼の部と夜の部両方で息子・勸玄くんと共演している。

「親子共演が話題になり、チケットはすぐに完売。昨年も七月大歌舞伎に勸玄くんは出ていましたが、夜の部のみでした。5歳児には体力的にも大変だと思うのですが、セリフは昨年よりもはっきり言えてましたよ」(全国紙記者)

 歌舞伎では珍しいカーテンコールが行われ、2人が現れると割れんばかりの拍手が送られていた。新しいプリンスの登場に、歌舞伎研究家の喜熨斗勝さんも目を細める。

「勸玄くんはパパについてちゃんと経験を積んでいますし、堂々としていますね。今は注目されることがうれしくてしょうがないのでしょう。でも、海老蔵さんは、“将来の團十郎”を育てる責任とともに、自分の芸も磨いていかなくてはいけない。ものすごいプレッシャーだと思いますよ」

 そんな親子に『十三代目市川團十郎』と『八代目市川新之助』のダブル襲名が決定したという。

「立派に成長した勸玄くんを見て、松竹の幹部も頼もしく思っていますよ。そこで襲名興行を歌舞伎座で'19年4月から3か月間行い、その後、大阪や福岡などで2年かけて地方都市を回るのです。七月大歌舞伎が終われば、発表会見が行われるんじゃないでしょうか」(梨園関係者)

 3か月公演となれば、'05年に行われた中村勘三郎襲名興行以来のこと。そしてこの時期の襲名は、あの世界的イベントも絡んでくるという。

「'20年に行われる東京オリンピックに海老蔵さんは組織委員会のメンバーとして関わっている。開会式などに彼が出演することも内定しているとか。そのとき、海老蔵ではなく、歌舞伎の最高峰の名跡である團十郎で出演したいという強い思いがあるのです」(スポーツ紙記者)

 また、同時に襲名する勸玄くんにとっても、来年がベストなのだとか。

歌舞伎界では6歳は非常に縁起がいい年齢と言われています。片手で親指から1、2、3と折っていき6のときだけ小指が立つ。これを“子が立つ”といって大切にしているんです。来年3月には勸玄くんは6歳になりますからね」(松竹OBで、芸能レポーターの石川敏男氏)

 だが、昨年6月に海老蔵の妻である麻央さんががんのため他界。襲名を陰で支える“梨園の妻”はいない。

「おかみさんがいないから襲名は難しいという声がありますが、そんなことはない。成田屋を支えてきたのは、海老蔵の母親である希実子さんですからね。むしろ、彼女が元気で動けるうちに襲名を行いたいというのが本音ですよ」(成田屋に近い人)

 麻央さんが亡くなったあと子どもたちの小学校や幼稚園の送り迎えは彼女の母が、そして、ご贔屓筋などへの挨拶は希実子さんが行っている。

 そこで、7月11日に自宅から出てきた希実子さんに話を聞いた。

希実子さんを直撃すると

─勸玄くんがすごい人気ですね?

「ははは、ありがとうございます」(孫の話題に笑顔を見せる)

─来年4月の襲名興行が決まったそうですが?

「ええー。ないですよ。すみません」

 そう言い残すと、笑顔のまま車に乗り込んだ。

 そこで、松竹の歌舞伎座宣伝部に聞くと、「そのようなことは聞いておりません」と言うのだが……。

「'19年4月は、天皇陛下の代替わりと重なり畏れ多いという声もあり、松竹もまだ悩んでいるとか。

 ですが、即位の礼などの行事がめじろ押しなのは秋ですし、春であれば問題ないのではという意見が多い。

 このタイミングを逃すと'20年春まで待つことになり、'19年からスタートさせておいて、新鮮味が落ちる2年目の襲名興行でオリンピック人気にあやかるという会社の皮算用が狂ってしまうんです。現在も海老蔵さんの実家の土地は、團十郎さんの借金を肩代わりした松竹の名義になっている。

 10億円ともいわれる負債を返済してもらうためにも、襲名興行でがっぽり儲けたいのでしょう」(松竹関係者)

 チケット代金は通常の5割増しほどになるとか。勸玄くんの無垢な笑顔のウラで、複雑な大人の事情が絡み合っているようだ─。