【木村和久連載】夢よ、覚めないで…。若い美人キャディーさんと妄想
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第149回
先週好評だったので、今週も引き続き、”若いキャディーさんシリーズ”のパート2をお送りしたいと思います。
若い女性キャディーさんとのプレーは、まさに永遠の青春歌謡曲『若いってすばらしい』(作詞:安井かずみ 作曲:宮川泰)の世界で、日本の高度経済成長期を思い出しますなぁ。
ラウンド前の挨拶を終えたら、まずはキャディーさんの”源氏名”を決めます……って、それじゃあ、まんまキャバクラじゃん。
ちなみに、夜の街のエキサイティングな高級店では、逆に苗字がついていたりします。「高橋」とか「山田」とか名乗る女性がたまにいます。それは、どうしてでしょう?
店の名刺を奥さんに見つかったとき、「ハニートラップのエンジェル」みたいな名刺より、「○×興業の高橋」と書いてあるほうが、バレても被害が最小限に済むという判断から、そうなったとか。なんだんねん。
さあ、いよいよラウンド。今回は”源氏名”かほりちゃんと、半日キャディープレーで遊ばせてもらいます。となれば、手始めにチップでしょうか。
売店に行ったら、キャディーさん用のおみやげがあるじゃないですか。通常は洗剤やビールなどをあげるのですが、そのコースには売店で使える金券があったのです。
金に糸目をつけない我々は、「可愛いから、金券10枚くらい買うか?」とマジで相談しました。そうしたら、場を仕切っていた友人が「すでに朝、(キャディーさんに)チップは渡してあるから」というのです。
ガ〜ン!? してやられたり……。どうりでそのキャディーさん、チップを渡したヤツにばっかり、なびいてさ。こちとら”スネオ”になっちまったす。
さて、具体的なキャディープレーですが、若いコだとボールを拭いてもらうだけでもうれしいかな。拭き方が丁寧で優しくて、ドキドキしました……って、どこの”タマ”のことを語っているのでしょうか。妄想が激しくなるのが、キャディープレーです。
また、例えばグリーン上で最初にパットを終えた人は、ピン(旗竿)を持ちますよね。無論、キャディープレーでは、最初にキャディーさんが持っています。そして、真っ先にパターを打ち終えた人が、キャディーさんからピンを受け取ります。
その際、どのキャディーさんも「ありがとうございます」と言うのですが、その言い方が可愛くて、しかも自分にだけ語っているような気がしてドキドキしてしまいます。だから、懸命にパターを早く終え、”一番旗竿”の栄誉を得るのに必死になります。結果、スコアはよくなかったりするんですけどね……。
あと、グリーン上でのライン読みも、妙に楽しいことがあります。スライスラインとわかっているのに、若いキャディーさんだと、あえて聞いたりします。
「カップ1個、スライスかな?」と聞くや、「距離を合わせるなら、カップ半分でぇ〜」なんて返してくるから、こっちは「そだね〜」……って、ウン? どこかのオリンピック競技で聞いたことのあるフレーズが飛び出しましたよ。
そうなんですよ、若いキャディーさんとのグリーン上でのやりとりは、さながらカーリングのような雰囲気です。パターのライン読みは、しゃがみ込んで相談しますしね。
これが、オバちゃんキャディーだと、マンションのゴミ置き場で遭遇した管理人さんとの会話みたいなもんです。厳しそうな管理人さんが「分別ゴミは火曜日だから、守ってください」的な感じでくるから、こっちも「そだね〜」というより、「そうですね〜」みたいな。なかなかこれもエキサイティングですが、”萌え〜”にはなりませんよ。
ともあれ、キャディーさんとは初対面でのゴルフですけど、お互いの気持ちを推し量って、こちらはプレーを楽しみ、そのプレーに対してキャディーさんは仕事として自らの業務をこなす。阿吽(あうん)の呼吸――というのですか、そのやりとりがまた、たまらないのです。
しかし、そんなキャディーさんとの阿吽(あうん)の呼吸ができない同伴メンバーもいます。
例えば、林の中など、変な方向にボールを打ってしまうヤツです。すると、キャディーさんは小走りで林の中へ行ってしまいますから。そこで、他のメンバーは「キャディーさんに余計な仕事をさせるな」って、打ったヤツをたしなめます。
ボール探しは、本来キャディーさんの仕事ですけどね。こうやって若いキャディーさんを甘やかすのが、8割方のオヤジなんです。だって、一緒にカートに乗ってお喋りしているだけで、楽しいのですもの。
一方で「スライスって言ったじゃん」と、グリーン上でキャディーさんに喧嘩を吹っかけるヤツもいます。今回のラウンドでも、「なにぃ〜、ピンまでの距離がわからないって。全然使えないなあ」と暴言を吐いたヤツがおりました。
周りからしてみれば、キャディーさんといい雰囲気でプレーしたいのに、「ぶち壊しやがって」となります。ですから、暴言野郎には「おまえなぁ、こんなに若くて綺麗なキャディーさんがそばにいるだけで十分だろ」と言って諭(さと)します。
そいつも、もともとは遊び人なので、ふと我に返り、「すみません。距離を聞いた自分が間違いでした」と、すかさず反省。暴言を訂正しました。
どうです、”若いキャディー無双伝説”。残りの距離すら、聞いてはいけないのですよ。
まあ、とにかく和気あいあいで、キャディーさんとLINE交換でもしようと、何度かスマホを出しかけました。が、元来照れ屋なもので、第二ボタンの交換だけにしました……って、中学校の卒業式かよ〜。
そんなわけで、妄想多めでしたが、無事に若いコのキャディープレー終了。実に有意義な時間を過ごすことができました。
最後にクラブの本数を数えて帰ろうとしたとき、友だちが気を利かせて、スマホで記念写真を撮ることになりました。もちろん、若いキャディーさんも入れてです。さすが、いい仕事をしてくれます。
変な妄想などせず、1日楽しくプレーできたなら、それで十分だと思いますけどね...
ただ後日、その写真が送られてきて、びっくり。すごく若くて19歳ぐらいにしか見えなかったキャディーさんが、35歳ぐらいに写っていたのです。
写真には、ゴルフ場では見えなかった小皺が写っていました。そういえば、「子どもがいる」って言ってたなぁ……なんじゃ、そりゃ。
自分が19歳と勝手に思っていただけで、妄想で相手を美化していたんですな。
ここで、「美人キャディー5割増しの法則」が成り立ちますね。
いやぁ〜、写真ってシビアですね。夢からすっかり覚めてしまいますもの。
みなさん、素敵なキャディーさんと出会ったら、絶対に写真を撮らないこと。すべては淡い思い出のまま、心のアルバムに収めておきましょうね。
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