準々決勝に駒を進めた高橋沙也加【写真:平野貴也】

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ヨネックスOP、苦手を撃破…リオ金の姉・礼華から「気楽に」のメッセージ

 姉のメッセージを力に変えて苦手の相手を破った。前夜に見た夢は、正夢となった。バドミントンの国際大会BWFスーパーシリーズ第8戦「ダイハツヨネックスジャパンオープン2017」は21日に各種目の2回戦を行い、女子シングルスの高橋沙也加(日本ユニシス)は2-1(21-13、17-21、21-13)で川上紗恵奈(北都銀行)を破って準々決勝に駒を進めた。

 世界ランク23位の高橋と、同20位の川上は、ともに日本B代表。互いに意地を見せる激戦となったが、3連敗中だった高橋が熱戦を制した。両者は、7月に全日本実業団選手権の決勝、カナダオープン、米国オープンと3度対戦し、高橋は、いずれもストレート負けを喫していた。何としても勝ちたい相手に競り勝った高橋は、勝利が決まるとコートに倒れ込んで達成感を表した。

 苦手とする相手に臨むにあたり、リオデジャネイロ五輪で女子ダブルスの金メダルを獲得した姉の礼華からは「3連敗しているんだから、気楽にやればいい」というメッセージをもらったという。自分が勝ちたいと思う試合のときに声をかけてくれる存在だという姉の言葉を受け「失うものは何もないので、プレッシャーを感じることはなかった。負けているときも楽しかった」と前向きな姿勢を失わずに立ち向かった。

 もちろん、具体的な対策も施していた。身長168センチで左利きの高橋は、強打が持ち味。対する川上は、身長160センチで小柄だがフットワークとレシーブ力に優れる選手だ。強打が決まれば楽だが、決まらなければ、返球しながら相手を崩していく川上のペースになる。

前夜に見た夢とは? 「勝つまで絶対に誰にも言わない!って思ったけど…」

 高橋は「相手が打ち下ろしの球を待っていることは分かっていた。いつもだったら、取られて、取られて、余計に攻めて自分が空回りしていた。それではいつまで経っても勝てない。勝つためにどうすればいいかとコーチと話した」と言い、相手をコートの奥へ追いやるクリアなどを使って相手を前後に揺さぶりながら、チャンスを見極めて強打を繰り出す作戦を敢行。「今日は、パーフェクトに近いパフォーマンスが出せた」という出来で勝利を手繰り寄せた。

 敗れた川上は、前日の1回戦で世界ランク3位のスン・ジヒョン(韓国)を相手に大逆転で金星を挙げたが、2日連続のファイナルゲームとなり、疲労の影響は拭えなかった。強敵を破っただけに上位まで勝ち上がりたいところだったが、国内のライバルに道を断たれた。日本の女子シングルスは、世界女王となった奥原希望(日本ユニシス)がけん引するが、後続勢力が多数存在しており、代表争いは激しい。自然とライバル意識も強くなる。

 高橋は「昨日、夢で川上に勝っている試合を見たんです。3ゲーム目から18オールからバッと勝つ夢で、試合が終わるまで、勝つまで絶対に誰にも言わない! って思ったんですけど、トレーナーさんに『今日、夢見たんですよ』と言って『どんな夢?』と聞かれて、あっ! と思って『終わってから言います』って(笑)。そうしたら現実になりました」と夢に見るほど意識した試合を正夢にできた喜びを語った。

 翌22日に行われる準々決勝の相手は、21日夜に行われる試合で決まるが、世界ランク7位のヘ・ビンジャオ(中国)と対戦する可能性がある。善戦で満足するつもりはない。高橋は「世界で戦える選手、ではなくて、世界で勝てる選手になりたい」と言い切った。