ニューバランス・スパイク商品企画担当者が語る「今、プレーヤーが求めるのは履き心地抜群のスパイクだ!」

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 現在、アメリカのプロ選手の約3割が着用しているニューバランスのスパイク。近年では、日本のプロ野球界でもニューバランスを履いてプレーする選手も多くなった。そんなニューバランスのスパイクを手掛けるのが商品企画担当者の石橋 辰典氏だ。

 ニューバランスのスパイクのこだわりは「履き心地」。今回は石橋氏に「履き心地」についてこだわる理由、開発に至るまでの背景、スパイクの手入れ法、スパイクを使用するための注意点などを丁寧に教えていただいた。

 そしてニューバランスのスパイクを着用し、日米通算2000本安打を達成した青木 宣親選手のエピソードにも注目!

スニーカーのような履き心地で使えるスパイク

ニューバランス・商品企画担当 石橋 辰典さん

――まずニューバランスのスパイクづくりが始まった経緯を教えてください

石橋辰典さん(以下、石橋):ニューバランスはアメリカで矯正靴の製造メーカーから始まり、1970年代からはランニングシューズの開発をするようになりました。今はグローバルスポーツブランドとして色々なカテゴリーで商品を展開しています。その中でアメリカのメジャースポーツであるベースボールに取り組むことは「使命」でした。世界のトップ3のアスレチックブランドになろうとしているときに必要なカテゴリーということで始まりました。

――その中で、スパイクづくりで大事にしていることは何ですか?

石橋:ニューバランスベースボールの商品は最初にアメリカで開発・販売されました。アメリカでスパイクを作る上で履き心地というところをまず求められました。ランニングシューズ、スニーカーのような履き心地でスパイクを試合に使いたいと。そこから作り上げられた商品なので、履き心地という部分は大事にしています。

――なかなか履き心地に特化したスパイクはないですよね

石橋:最初はボストン・レッドソックスのダスティン・ペドロイヤ選手(2016年シーズンまで1683安打を記録している巧打者)が、スパイクに対して求めてきたのが履き心地でした。逆に言うと、今までスニーカーのような履き心地でプレーできるスパイクがありませんでした。この履き心地を実現できるのはニューバランスだけだなと思い、そのペドロイア選手の要望を形にしたのがうちのスパイクになっています。

――青木宣親選手もニューバランスのスパイクを使っていますが、青木選手のエピソードを教えてください。

石橋:私は青木選手とお話させていただいたことがあるのですが、物へのこだわりがとても強い選手でした。どうしてもバットやグラブにこだわりがあっても足元には意識がいかない選手が多いですですが、青木選手は違っていて、シューズを含めて用具への思い入れがすごく高く、私もとても刺激を受けましたね。

――やはり道具へのこだわりを持つことが大事なんですね

石橋:もちろん道具にこだわりを持つ事は大事だと思います。一般的にですが、自分のプレーをする上で足元への関心は低い傾向にあるように思います。そこを高めることによって自分のパフォーマンスを最大限発揮できるようになると思います。

――そのスパイクを作る上で苦労したことはありますか?

石橋:ニューバランスベースボールの商品は基本的にアメリカの野球に合わせた商品として開発されてきます。それを日本の選手たち、高校球児たちの足やプレーに合わせたものにするのはいろいろ苦労しました。どうしたら日本人の足にフィットできるか、フィット性を高められるか、色々と大変ですけど、逆に楽しみにもなっています。

 その中で、大胆な言い方をしちゃうと、日本の野球界を変えたいとも思っているんですよね。今までにない商品、アメリカから生まれた商品を日本の野球市場でしっかり履いてもらいたい、そして感じてもらいたいという思いは強いです。

アメリカのプロ選手と同じものが履けるスパイク

ニューバランス・商品企画担当 石橋 辰典さん

――ニューバランスのスパイクの特徴を教えてください

石橋:基礎になっているのは履き心地で、それと連動している特徴にもなりますが靴底外側にしっかり刃が配置されている外刃の設計です。この外刃の設計にすることでパフォーマンスを落とさずにプレーできる安定性と、確実な体重移動が可能になっています。もう一つはクッション性を提供するミッドソールが付いていることで足の疲労の軽減を発揮できることです。野球の練習、試合は他のスポーツに比べるとスパイクを履いている状態が長いスポーツなので、足に対してのクッション性をしっかり確保しています。

――ニューバランスのスパイクには野球専用の中敷きが使われていますが、これはどのようなものですか?

石橋:スパイクを作る上で、いろんな選手の動きのデータを取りました。そこから出たデータは親指周りから母指球と言われる部分に対して強く力がかかるということが分かりました。グリップが必要なこの部分には中敷き表面に凹凸を付けて中敷きからスパイクに確実に力を伝えられるようにしています。あと中敷の前足部かかと部分の厚みをプレーする上で必要な厚みに設計しています。こうすることで足に対するクッション性が確保されながら、瞬間的に動き出すときに力がスパイクに伝えられるようになっています。

――その中敷きの評判もよさそうです

石橋:グリップ性とクッション性を両方兼ね備えている中敷きの評価は高いですね。うちではDeta to Desighという考え方設計されていて、この中敷単体でも別売りされています。

――球児にとってもプラスになる部分が多いスパイクですね!

石橋:野球の場合はスパイクを長時間使います。高校球児が短いときは2時間、長いときは6時間から8時間練習で使う中で、いざ自分がプレーするときに足が疲労していると自分の力の100%、120%の力をグランドで発揮できません。足に対してのサポート、履き心地はパフォーマンスを発揮する上で必ず必要なものです。履き心地、クッション性が高いスパイクが日本の野球市場でも当たり前になることが目標であり、自分たちの希望です。

――アメリカから日本にわたってくる道具はなかなかないですよね

石橋:日本の野球界もいいものは積極的に取り入れていくべきだと思います。アメリカのプロ選手の中でも約3割のプレーヤーがニューバランスのスパイクを履いています。高校野球では選べるブランドやデザインが限られていますが、その中でアメリカのプロ選手と同じスパイクを履けるのはニューバランスだけです!それを体感できる商品だと思います。

必見!意外と知られていないスパイクのサイズの合わせ方!ニューバランス・商品企画担当 石橋 辰典さん

――では実際にスパイクを選ぶときに大事なことを教えてください

石橋:やはり履き心地、サイズ選びが絶対ですね。足元がぶれると、軸がぶれたり無駄な力が入ってしまい投打に悪い影響が出ます。パフォーマンスを発揮するには履き心地、自分に合ったスパイク、サイズ選びが重要です。また、そこが合っていないと怪我をするリスクが高まってしまいます。

――自分に合ったスパイクの合わせ方はどのような方法ですか?

石橋:まず必ず履くこと。そして履くときはひもを全部緩めて、必ずかかとを合わせます(かかとを床にコンコンと当てるような感じ)、そして下から順にひもを締め上げていきます。そこでかかとのサイズ合わせをしないと、スパイクの中で足が動いてしまったりしてしまいます。その作業は絶対にやってください。足の骨や、体がどんどん成長していく中で、足に合わないシューズ、スパイクを選ぶことによって、ケガのリスクはとても高くなってしまいます。足関節が故障しやすくなったり、ひどいと足の骨が変形してしまうということがあります。なので正しいサイズのスパイクを選んでほしいです。自分の足のサイズや身体のことを知らない球児がとても多いと思っています。ぜひ自分のパフォーマンスのためにも自分の足のサイズを知って正しくスパイクやトレーニングシューズを履いてほしいですね。

――このスパイクをどんな球児に使ってほしいですか?

石橋:私たちの商品の特徴はやはり履き心地とサポート性です。足に合っていないスパイクによって球児のグラウンドでのパフォーマンスが70、80%になってしまったら意味がありません。私たちの商品を正しいサイズで選んでもらい、どんな状況でも100%以上の力を発揮できるようになってもらいたいですね。

――最後にこれから、どんなスパイクを作り上げていきたいか教えてください

石橋:基本的に履き心地というニューバランスベースボールの基礎部分は絶対に変えないです。そのなかでよりよい履き心地というのはずっと追及していきたいです。機能面、デザイン、材料面などさまざまなところで進化させて新しい商品を開発していきたいです。

 ニューバランスのスパイクに対しての熱い思い、機能面の説明だけではなく、スパイクの選び方、サイズの合わせ方の仕方まで丁寧に教えてくれた石橋さん。ありがとうございました!

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