【愛知展望】ノーシードも侮れない激戦区愛知! ベスト8進出校を占う!
この夏の愛知大会の組み合わせが決まった。愛知大会の場合は、シードは春季大会の結果から準々決勝進出の8校のみで、これがそれぞれの山に分かれる。そして、最初の組み合わせ抽選ではベスト8までが決まるという形式である。早速、ベスト8への進出校を占っていこう。
鵜飼 航丞(中京大中京)
■Aゾーン 昨夏もベスト8に進出した豊橋中央のいるAゾーンは、その豊橋中央に4回戦では誉が挑む形になりそう。ただ、初戦で当たりそうな安城東は、昨秋の全三河大会で準優勝するなど結果を残しているだけに自信を持っている。5回戦で対する相手としては、豊田西で決勝進出4度などの実績のある平林宏監督が率いて3年目の星城が有力。新井雄大が引っ張るが「控えを含めて選手の意識が高くなってきた」と平林監督はチームとしての総合力を期待している。このゾーンでは今春の知多地区二次トーナメントを制した東海商と進学校の半田の知多勢も期待ができる。同朋も侮れない。
■Bゾーン 昨夏の代表校東邦がいるBゾーンは、5回戦で東邦の相手となりそうな反対側の山には、初戦で豊川と愛知産大工という好カードがある。豊川の今井陽一監督と愛知産大工の鈴木将吾監督はいずれも中京出身で先輩後輩対決でもある。豊川は安田 怜央投手にも注目が集まる。また、豊田西も待ち構えることになりそうで、激戦ゾーンになりそうだ。豊田西の高橋 佑輔は気持ちも強く投打に質が高い。また、大同大大同や長距離砲として期待の高い逸材・川上承太郎のいる名古屋市工も見逃せない。
■Cゾーン 昨秋の優勝校で一昨年夏の代表校で今大会も評価が高い中京大中京はCゾーンのシード校として西尾東か知立東、岡崎城西あたりの挑戦を受けそうだ。4番の鵜飼 航丞はここへ来て絶好調。高橋源一郎監督が香村 篤史、磯村 峻平、伊藤稜という投手陣をどう起用していくのかも注目したい。選手個々の能力と総合力では、やはり今大会の本命と目す声も多い。5回戦では高蔵寺、菊華と言ったところも挑んでいきそうだ。
■Dゾーン 近年躍進著しい栄徳のいるDゾーンは大府、成章と言った公立校で実績のある伝統校が揃った。栄徳はエースの釜谷 竜哉に注目が集まっている。さらには、1回戦の吉良と豊橋商も好カードになりそう。このあたりの公立勢が栄徳に挑んでいくことになりそうだ。反対ゾーンでは、東浦と時習館が新旧の公立有力校対決となる。さらには、春の全尾張大会で準優勝するなどで自信を深めている半田工も面白い。
原 悠莉(桜丘)
■Eゾーン Eゾーンは昨秋の準優勝校でエース原 悠莉が注目されている桜丘が引っ張る形になるだろうが、岩津と近年は西三河で安定した力を示している豊田工が対抗馬だ。旧愛知一中の伝統を背負う旭丘もこのゾーンにいる。豊田工はこの春、全三河大会では豊川と決勝で延長15回を戦った実績もあり、チーム力も高く粘り強い。酒井健汰と橋本翔のバッテリーを軸に、2年生の横田龍也も投打に自信をつけている。「何とか上位進出したい」と平松忠親監督も手ごたえを感じている。
■Fゾーン 昨秋の相次いだサヨナラ勝ちのミラクル勝利以来、県内で旋風を巻き起こしている感のある至学館はFゾーン。今春の県大会では序盤は、ミラクルの継続のような形の“思考破壊”で勝ち上がってきた。しかし、大会終盤には課題だった打線も爆発して藤原 連太郎、鎌倉 裕人、井口 敦太らが打ちまくった。その勢いは、東海大会まで継続して静岡、大垣日大など県外の実力校を下して初制覇を果たした。投手陣は左の変則・川口 龍一と右の気迫のある新美 涼介がともに万全だ。受けて立たなければ、順当に行きそうだが、阻止したいという一番手は渥美農だろう。さらには、中部大一や毎年好チームの西春あたりも一発勝負を挑んでくるだろう。
■Gゾーン 最強のノーシードとして、組み合わせ段階でどこに収まるのか多くの強豪校が最も意識していた愛工大名電が入ったのがGゾーンだ。3回戦では春日丘と当りそうだが、これは序盤では屈指の好カードと言っていいだろう。このゾーンのシード校・愛知産大三河は昨夏のベスト4、秋は県大会出場を逃しながらも今春はベスト8と見事に盛り返したのはさすがだ。唯一の昨夏の経験者である橋本春平が引っ張るが、突出した選手がいるわけではない。それでも、徹底した守りの野球で安定感を示している。初戦で当たりそうな愛知啓成との戦いが、まずは最初の壁となりそうだがそこを突破すれば、5回戦では昨春の2回戦で下した愛工大名電への返り討ちへの意識も高まりそうだ。
■Hゾーン かつて春4回、夏2回という出場実績がある愛知が徐々に復活への階段を上りつつある。その愛知はHゾーンに入った。今春は、強力打線を作ってきている。それに立ちふさがるのが杜若、刈谷、安城学園あたりか。刈谷は今春も中京大中京と1点差と善戦するなど、強豪校が嫌がる相手の一つである。安城学園は春季大会で杜若を下したが、至学館に敗れている。また、徐々に復活の道を築いている古豪・享栄もこのゾーンだ。今春はノーシードとなったものの、昨秋はベスト4進出。先の招待試合では早矢仕 飛希が早稲田実業相手に好投して自信を深めた。このゾーンでは弥富時代に一度甲子園出場を果たしている愛知黎明も虎視眈々と上位を狙う。
以上が、組み合わせから見た愛知大会の展望である。そして、8強が出そろったらここで再抽選。新たな大会が始まるという意識に切り替えられたところが、最終的に愛知を制するだろう。
(文=手束 仁)
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