発売前(前予約)の段階で9000台以上の予約を獲得したという新型マツダCX-5マツダは商品改良というサイクルで、デミオやCX-3、アクセラ、アテンザなどを「常に新鮮な状態に保つ」商品力向上という努力を重ねています。

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しかし、安易な値引き販売もしない戦略もあってか国内販売では2016年(1月から12月)が前年比マイナス19.8%(乗用車)と苦戦を強いられています。

やはり新車効果が最大限得られるのは、フルモデルチェンジなのかと再確認させられたわけですが、2代目になった新型CX-5も初代同様にマツダの危機(初代登場時ほどでないにしても)を救うモデルとなるか注目です。

気になる乗り味は、初代と比べると別モノといえるほど大きく進化(深化)しています。同じコースを新旧CX-5で乗り比べると、新型CX-5は低速域の不粋に感じられる微振動が巧みに減衰されていて、高速道路の大きめのジョイントでもボディの上下動が抑制されているのを感じます。

首都高速の大黒パーキングから出て合流する際に大きな段差があるのですが、先代ではフルバンプしやすく大きな衝撃を覚えますが、新型は身体に感じる下からの突き上げがかなり抑制されているのが分かります。

また、徹底的に対策されたという静粛性の高さも印象的で、ガソリンモデルはもちろん、ディーゼルエンジンも走行中はディーゼルならではの音や振動を意識させられることは少ないはず。

静粛性向上のメニューとして効いているのは、ノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」や「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」といったエンジンそのものだけでなく、音(振動)が伝わってくる経路の分析を徹底することで、最適な制振、遮音対策が施された効果も大きいはず。

ワイパーの位置を下げてボンネットよりも低い位置に収まるようにしたり、ドアシール構造を変更して段差や隙間を減らしたりすることで、高速域の風切音を低減。

 

さらに、テールゲート側の隙間を埋めたり、トノカバーにフラップを設けることでトノカバーと後席の隙間を塞いだり(先代は両方ともに隙間が空いている)など、孔や隙間を埋めるといった作業が地道に行われています。ほかにも、ルーフのトップシーリングの遮音性、ドアトリムやC/Dピラーの遮音材追加など遮音材の適正配置なども実施することで静かな車内空間を実現しています。

なお、吸音材を使いすぎると会話明瞭度が下がってしまい、乗員同士の会話が聞き取りにくいという副作用も出てくることがありますが、この点についてもやり過ぎないように留意されたとのこと。

具体的には、車内吸音によって発生する残響音の抑制に着目し、ルーフのトップシーリングの吸音特性を向上させることで、残響音を素早く減衰させています。

マツダのテストでは、前後席ともに会話明瞭度が大きく向上し、前後席間の会話明瞭度の差も半分以下に改善したことで、前席だけでなく後席でも会話が聞き取りやすくなったそうです。

同じコースで比較したわけではないですが、良好な乗り心地と静かで快適なキャビンは、輸入SUVを含めた同クラスのSUVの中でもトップクラスに仕上がっているといってもいいでしょう。

カッコよく大人の雰囲気に満ちた内・外装にふさわしい高い静粛性を手に入れた新型CX-5。たとえば、トヨタのハリアーやフォルクスワーゲン・ティグアンなどを、評価項目によっては上まわるステージにまで到達したと感じさせます。

(文/塚田勝弘 写真/中里慎一郎、塚田勝弘)

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