海辺でオレンジの旗を見たら、「津波が来たぞ」のサイン...広まりつつある「オレンジフラッグ」の取り組み
オレンジは津波防災の色だということをご存知だろうか。青の対照色であるオレンジは、海の近くでは最も視認性の高い色とされる。海辺にオレンジ色のフラッグが掲揚されていたら、それは津波警報・注意報が発令されたという注意喚起。「津波が来たぞ早くあがれ」「行政が指定した津波避難ビル」を意味している。
オレンジフラッグ
オレンジフラッグは一般社団法人防災ガールと日本財団、渚の交番などが実施する独自の取り組みで、波や風の音の影響を受けない視覚的な避難合図として周知を図る。2016年からは、「『防災』をもっとオシャレでわかりやすくする」ことを目指す防災ガールと日本財団が連携して「#beORANGE(ハッシュビーオレンジ)」というプロジェクトを推進している。
実災害で認知広まる
オレンジフラッグが注目を浴びるきっかけとなったのは、2016年11月22日に福島県沖で発生した地震。福島県をはじめ、青森、岩手、宮城、茨城、千葉の沿岸に津波警報・注意報が発令された。
海辺でオレンジフラッグを見たらそれは地震発生&津波が来るぞという合図。海に出ていると揺れも警報も聞こえないため、視覚情報の津波防災合図です。
- #beORANGE @海の防災 (@hashbeorange) 2016年11月21日
みなさん海に行くときは覚えておいてください!#beORANGE #海と日本 #津波 pic.twitter.com/y4fOsNOHEE
#beORANGEがツイッターでオレンジフラッグについて投稿すると、1万8000件以上リツイートされ、大きな反響を呼んだ。
津波防災の対策として防波堤を作るだけでは海との共存文化が衰退し、人々の防災意識が希薄化する。同じ過ちを繰り返さないよう人々の意識を変えるには「人々が海と共存し続けられる仕組み」をつくり、「地域を問わず、どこでも容易に取り入れられる津波防災モデル」を構築する必要がある。同プロジェクトは各自治体・行政機関・地域の人々にオレンジフラッグの意味を周知・活用することで、津波防災の新しいロールモデルの普及に取り組んでいる。日本サーフィン連盟やライフセービング協会とも連携し、全国展開を進める。
Jタウンネット編集部は、プロジェクトについて防災ガール運営事務局の方に話を聞いた。
73の市町村に165本のオレンジフラッグ
太平洋沿岸の地域では南海トラフ巨大地震が懸念されており、津波被害も想定される。今年度「#beORANGE」プロジェクトでは、愛知県田原市、静岡県下田市、高知県高知市の各地域のハザードマップ・浸水予測図に基づき、指定の「津波避難ビル」や学校施設・マンションなどにオレンジフラッグを設置した。産官学ともそれぞれ愛知5社、静岡7社、高知8社と連携を築いている。
実際どのようにオレンジフラッグが使われて、どのように安全を確保しているのだろう。
「海の近くで掲揚する場合は揺れがきてから津波到達時間までに余裕がある場合に、沖に出ている人へ情報を発信しだいすぐ避難します。津波避難ビルは津波が来た時に逃げる場所ということから安全です。まずは掲揚する人が自分の安全を確保したうえでおこなうことをルールとしています」
定期的に「津波防災訓練」も実施しており、防災ガールによると、今回の地震による津波警報の対象地区では約7本のオレンジフラッグが設置されていたそうだ。
今後は日本各地の沿岸部、さらに海外への展開を目指しているそうで、
「私たちが一つずつやっていると時間がかかってしまうので、地域の方々や行政の方々の力を借りてひろめていかなければとおもっています」
と語った。将来的には「国際信号旗(船が利用する世界共通の意味を持った通信用の旗)」との調整を図りたいという。