武田 真優子 / つむぎペットケア

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■「うちの子、便が出ているから、便秘ではないわよね?」

この飼主さんには、足の弱いイヌと暮らしています。ご友人で寝たきりのイヌを介護した経験のある方に「老齢犬は便秘になりやすい」と聞いたそうです。そこで、心配になって尋ねてこられました。

老齢化とともに結腸の動きが鈍くなり、便秘傾向になります。便を出すためには、下腹部に力を入れなくてはなりません。このとき、問題になることが2つあります。


■肢や腰に力が入ると痛い

イヌやネコは、ヒトでたとえると、和式トイレで排便をしているようなものです。下腹部に力を入れると、踏ん張る必要があります。しかし、老齢になると便秘気味になるため、排便時にさらに力が入り、それらを支える足や腰にも当然力が入ります。

老齢動物は、背骨や関節が痛むことが多いため、このような排便は辛そうです。


■お腹が痛い

老齢犬になると、消化吸収の機能が衰え、ガスがお腹にたまりやすくなります。そのガスが、腹痛の原因となってしまうのです。

「うちの子、便が出ているから、便秘ではないわよね?」

という質問の答えとしては、便が出ていても、レントゲン撮影をすると、便秘となっていることがあります。


■便秘への対応、3つ

それでは、便秘にならたいためには、どうすればよいのでしょうか。


1)毎日十分に水分を取らせる

老齢犬、特に寝たきりになると多くの場合、1日に必要な水分量をとれず脱水状態になっています。さらに便秘傾向のイヌは、その傾向が強く見られ、ガスが溜まり、腹痛を起こすこともあります。


2)腸を刺激できるような食事を与える

規則正しく食事を与えて、排泄がスムーズに行えるようにします。

食事の内容で大事なことが2つあります。


●食物繊維を与える

●腸内細菌を整える


ご自分でされることに迷いがあるときは、一度かかりつけの動物病院に相談されるとよいでしょう。


3)適度な運動をする

老齢になると、若い頃のような運動ではなく、体の筋肉を維持・強化し、血液循環をよくするような、うちの子に合わせた運動をさせることが大切になります。運動をすることで、大腸の動きが活発になります。


■介護には絶対はない

介護方法は、解剖学、生理学上で「こうしたほうがいい」ということはありますが、絶対にこうすべきというものはありません。なぜなら、そのご家庭やうちの子をとりまく環境、うちの子の体の状態によって、変わってくるものだからです。

つまり、介護はうちの子に合わせ、試しながら組み合わせるものです。それゆえ、この記事に書かれていることが、ぴったりと当てはまらないケースがあります。その際は、まずは、かかりつけの動物病院にご相談ください。