心理カウンセラーが教える、職場の人間関係で「地雷」を踏まないコツ
こんにちは。心理カウンセラーの根本裕幸です。結婚・恋愛から、ビジネス心理、家族関係、病気や性格に関する問題まで幅広い人間関係の悩みを解決するお手伝いをしています。とくに若いビジネスパーソンのなかには、学生時代とは違う社会人ならではの人間関係を面倒に感じ、人づき合いが怖くなってしまう人が多いようです。今回は新社会人のみなさんに知っておいてほしい、職場での人間関係で「地雷」を踏まずに円滑にコミュニケーションを取るコツをお伝えします。
学生の間は「横のつながり」がメインという方が多いと思います。サークルやバイトなどで先輩・後輩、上司・部下の関係があったとしても、それは生活の中のごく一部の時間帯ですよね。それが社会人になって企業などに属するようになると、縦のつながりのほうがメインになっていくため、そこに適応できずに悩みを抱えてしまう方によくお会いします。
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横のつながりがメインの学生のうちは、気の置けない友達の距離で、タメ口で気軽に接することができる相手がほとんどです。年齢差もそんなにないので、お互いの趣味や感性が理解しやすいし、言わなくても通じることが多いですよね。ところが、社会人になって縦のつながりがメインになると、コミュニケーションは複雑になります。世代によって育ってきた環境も違うので、自分が当たり前だと思う常識が相手にとっては非常識になることもよくあるからです。それで、会話やコミュニケーションのなかで「地雷を踏む」ということが増えてしまいます。
拙著『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』(日本実業出版)の中で紹介している例で、職場の先輩と仲よくなりたいと思い「彼女とはうまくいっているんですか?」とかなりプライベートな質問をしてしまい、その場を凍りつかせてしまった……というケースがありました。「先輩との距離を縮めたい!」「仲よくしたい!」と思うのは決して悪いことではありません。しかし、横のつながりのなかではプライベートな恋愛ネタはお互いの距離を縮めるのに役立つこともありますが、縦のつながりのなかではタブーになることも多いのです。職場の中ではそれぞれの職位や立場があるので、プライベートな話題はとても難しいものだと心得ておきましょう。
■過剰に気にする必要はなし! 事前に対策をしておこう
だからといって、「怒らせないようにしなきゃ」と思いながらコミュニケーションをするのはおすすめできません。心理学には「タブー(禁忌)の心理」というものがあります。みなさんも、「忘れ物をしないように注意していたはずなのに、忘れものをしてしまった」「テレビを見ないで部屋の片づけをしようと思えば思うほど、テレビが気になって見てしまった」という経験はありませんか? これと同じように職場でのコミュニケーションも、「怒られたくないから、地雷を踏まないようにしなきゃ」と強く思うほど、潜在意識がどんどん怒らせるほうにフォーカスしていき、かえって相手の怒りを買ってしまうことがあるのです。
これを解決するためには、あらかじめ「もし、気にさわることを言ってしまったらごめんなさい」と宣言してしまうこと、さらに「怒らせてしまったらすぐに謝ればいい」と、事前に対策を決めておくことがいいでしょう。そうすれば心に余裕ができ、よい人間関係を築けます。
■職場でのコミュニケーションを諦めないで!
横のつながりから縦のつながりに変わる社会人生活においては、今までは通じていた人間関係のルールが通じない場合がたくさん出てくるでしょう。そんなときは、萎縮したり人間関係をあきらめてしまうのではなく、もう一度相手の気持ちや立場に立って思いやったり、自分がしていることを客観的に見てみてください。そうすれば、職場の中で愛され、信頼されるキャラとして認知されるはずです。
1972年生まれ。1997年より神戸メンタルサービス代表・平準司氏に師事。2000年、プロカウンセラーとしてカウンセリング業務を開始。以来、延べ15000本以上のカウンセリングをこなす。2001年、カウンセリングサービス設立に参加。その後、14年間企画・運営に従事し、2003年から年間100本以上の講座やセミナーをこなす。2015年3月退職し、独立。フリーのカウンセラー、講師、作家として活動を始める。著書に『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』(日本実業出版社)、『こじれたココロのほぐし方』(リベラル社・星雲社)、共著書に『こころがちょっぴり満ち足りる50のヒント』(すばる舎)がある。