2016年の1月〜9月に会計監査人(監査法人)を退任した社数が最も多かった監査法人は、東芝の不正会計で金融庁より処分を受けた「新日本有限責任監査法人」であることが帝国データバンクの調査で分かった。

 監査法人の異動を開示した上場企業は131社となった。

 131 社の退任(または辞任)した監査法人は「新日本有限責任監査法人」が39社で最も多く、全体の29.8%を占めた。以下、「有限責任監査法人トーマツ」(18社)、被合併に伴う「アーク監査法人」(10社)、「有限責任あずさ監査法人」、被合併に伴う「聖橋監査法人」(各8社)と続いた。

 最多となった「新日本有限責任監査法人」は、2015年12月に金融庁から契約の新規の締結に関する業務の停止(3月)と業務改善命令(業務管理体制の改善)の処分を受けており、既存顧客企業の異動の大きな要因になっているとみられている。

 監査法人の異動を開示した上場企業を株式市場別に見ると「東証JASDAQ」が41社(31.3.%)で最も多く、「東証1部」(40社、30.5%)、「東証2部」(27社、20.6%)、「東証マザーズ」(14社、10.7%)が続いた。

 東京証券取引所のデータによると、2016年9月30日時点の各市場の国内上場企業数は、東証JASDAQ(719社)、東証1部(1982社)、東証2部(535社)、東証マザーズ(232社)。各市場の異動率(異動した社数÷上場企業数)は、東証JASDAQが5.7%、東証1部が2.0%、 東証2部が5.0%、東証マザーズが6.0%となり、マザーズ、東証JASDAQの新興市場で高くなっていることが分かる。

 新たに就任した監査法人は、吸収合併により就任企業が増加した「明治アーク監査法人」が21社で最も多く、以下、「有限責任あずさ監査法人」(16社)、「PwCあらた有限責任監査法人」(15社)、「有限責任監査法人トーマツ」(9社)、「東陽監査法人」(7社)と続いた。

 異動理由では「契約の任期満了」が78社(59.5%)で最多となったほか、「監査法人の合併」(24社、18.3%)、「監査法人より継続不可の申し出など」(21社、16.0%)が続いた。