位置情報×オンライン広告の精度を高める「もう一つの軸」とは?/エクスペリアンジャパン 株式会社
GPSに限らず、様々なアプリを通じて自分の位置情報を提供することに同意する機会も増えました。こうした背景をうけ、消費者から提供された位置情報を活用した広告配信がさかんになり、広告配信事業者が続々と参入してきています。
位置情報広告 そのはしりと現在
位置情報を活用した広告配信のはしりといえば、2001年ごろからオムロンが実験を開始した「グーパス」でしょうか。「グーパス」では、あらかじめユーザー登録(オプトイン)をしておくと、改札機を通過した際に、その改札機周辺エリアの広告メールが本人の携帯に届くという、当時としては画期的なものでした。
あれから十数年がたち、GPS・Wi-Fi・ビーコンといった位置測定技術の発達や精度向上、測定機器のスマートフォンへの搭載やアプリなどを通じた情報取得が可能になりました。今日では、ユーザーがオプトインしたデータだけでなく、それ以外のプロファイルデータなどを匿名化した形でのターゲティング広告配信も行われるようになっています。
また、単に、あるエリアに入ってきたから広告メールを配信するという、広告主の下心が半ば見透かされているような明示・プッシュ的要素の強い広告というよりも、ユーザーと適度な距離感を保った形で届けられるよう工夫もされてきています。
ライフスタイル×位置情報によるセグメンテーション効果
位置情報(ジオターゲティング)広告を配信する場合、単にユーザーの位置情報だけでは、その人のペルソナやライフスタイルまでは把握できません。ゆえに、ターゲティングが荒くなり、広告の精度を上げることが難しくなります。たとえば、ある所得が低い若年ユーザーが広告ターゲットエリアに入ったからといって、高級車ディーラーイベント来場促進の広告を出しても、認知度向上にはつながりますが、ダイレクトなレスポンス効果は期待できません。
そのため、広告の精度を高めるために、さらに位置以外のデータを掛け合わせることが必要になります。そこで出てくるデータの一つが「その人の居住地から推定するライフスタイルデータ」=「Mosaic」になります。
■ライフスタイルの推定方法
ユーザーのライフスタイルを推定・割り振りする方法は下記のようなプロセスになります。
- 1.ユーザーから提供された住所情報そのものや、夜間のユーザー位置情報などから居住地を推定
- 2.ユーザーの(推定)住所を緯度経度データに変換
- 3.緯度経度データからMosaicデータとマッチングし、ユーザーにMosaicコードを割り振り
- 4.Mosaicグループごとにライフスタイル群を「見える化」
上記により、ライフスタイルターゲティング(たとえば所得水準や消費性向)が推定され、一定ボリュームを持つユーザーセグメンテーションへの広告配信を行うことができます。(その際に、個人情報が開示されるようなことはありません)
オンライン広告のこれからとサードパーティデータの活用
このように、実は位置情報取得技術を応用的に活用・取得した「居住地データ」と、それから推定されるライフスタイルデータが、オンライン広告の精度を高めているのです。このライフスタイルデータにより、ターゲット像×クリエイティブを定めることがしやすくなり、広告効果を高めることができます。
これからは、属性データだけのセグメンテーションではなく、位置情報を含むいろいろな第三者データ(サードパーティデータ)を掛け合わせ、ペルソナやライフスタイルをターゲティングできる広告が伸びていくのではないでしょうか。