ボイデン ジャパン 三宅 雄二郎 代表取締役会長兼社長

 日系企業は引き続き海外展開の推進のための知見を有する中堅幹部としての人材中心に探しています。本社採用で即座に、もしくは半年〜1年後に海外赴任とする例が多い。

 一方、国内で海外戦略を推進する役目も求められており、業界知識と経営適性に加えて英語力やグローバルなビジネス環境で戦える(対等に渡り合える)能力を最初から求めることが多い。

 外資系企業は本邦の該当業界のマーケットならびに日系顧客と本社の戦略の双方をつなぐための交流力の適性の高さと交渉能力を従来以上に求めるようになっています。

 また、特定業界の比較的専門的な製品技術の知識と営業手腕を同時に求められることがより多くなってきています。

 日系企業に多く見られる新規事業開発の新しい専門分野の人材獲得や企業買収知識、ダイバーシティ関連人材ニーズは引続き存在しますが、やや一服感があります。

 一方、候補者の動きは、日系・外資系企業出身ともに若手・中堅は転職に慎重になっています。この年代のキャリアが特に売り手市場となってきており、強気かつ保守的になっていることが背景です。

 また、この年代に特徴的なのは新しい企業文化や上司との人間関係を非常に気にすることです。これが時として向上意識、チャレンジ精神に勝ることがあるのは人材活性化の視点からも、キャリア開発の面からも残念な現象です。

 企業が採用を成功させるためには、とりわけ良い人材は転職先が一流企業といえども簡単に転職を決断しないと心得て、エージェントを通して根気よく説得することが必要です。

 職級・年齢に応じた平等性重視の文化や給与制度の日系企業にはチャレンジングですが、待遇面で柔軟に対応することがより高い人材獲得の勝因となる可能性が高いことは理解しておくべきです。

 また、グローバルレベルでの成長性や競争力をアピールすることも効果的です。その意味で面接は人事部と現業部(採用ポジションの部)が同時に早い段階で行うのが良いでしょう。