逆走続出のアウトバーン、事故を未然に防ぐ「スマートブリッジ」を10月初導入
今年10月に、1230千万ドルもの費用を投じられた「スマートブリッジ」がドイツに登場する。バイエルン北部にて建設中のその橋には、これまでのアウトバーンにはなかったような新たな技術が使用されている。
なにがスマートになったかというと、橋の定期点検をおこなう前にどこを修繕すべきかがわかる点である。アウトバーン9という橋に組み込まれたセンサーが、随時、橋にかかるストレスや動き、傾きのほか温度や湿度、車重を検知し、専門家はセンサーから得たそれらデータから橋の状態を知ることができる。あらかじめ重点的に点検すべきところがわかることで、作業効率は想像するよりずっと向上するだろう。
また、この方法がドイツ国内の他所でも上手くいくかを判断するべく、ニュルンベルクにある橋を対象に5年間にわたるテストプロジェクトが行なわれている。
スマートブリッジは都市のデジタル化の第一歩だ
スマートブリッジは、ドイツ政府が2015年に開始したプロジェクト「デジタルアウトバーン・テストフィールド」の一部である。ミュンヘンからニュルンベルクを結ぶ「A9ルート」は、ヨーロッパでもっとも重要な道路の1つだが、これが徐々にイノベーションのテスト環境になりつつある。Mobility 4.0のスローガンの下、ドイツ連邦政府、バイエルン州、そしてSiemens社やInfineon社などの企業によって、A9ルートは未来技術を検証する土台になろうとしているのだ。
その狙いは、交通をより高速かつ安全におこない、渋滞を緩和することだ。プロジェクトの他の利点として、アウトバーンで大きな問題になっているドイツ語で「ガイスターファーラー」(Geisterfahrer)という高速を逆走する幽霊ドライバーを減らせる、ということも挙げられる。運転車が引き起こしそうなミスを察知し警告を発することで、ドイツの路上で根強く起こり続ける問題の軽減も図る。
このプロジェクトでは、バイエルン北部エリアの駐車場6つにフリーWiFiも導入される。このWifiは、11月半ばに稼働予定だ。
自動車の安全性をインフラから改善するスマートブリッジ
自動車メーカーが自動運転車の製造に注力するなか、交通プランナーは「自動車を指示し、これらとコミュニケーションをおこなうインテリジェントな道路インフラ」を開発しようとしている。自動車‐インフラ間(Vehicle-to-Infrastructure, V2I)および自動車‐自動車間(Vehicle-to-Vehicle, V2V)コミュニケーションの導入および試験、のためのプラットフォームを作り出すのがドイツ内閣の狙いである。
プロジェクトでは主にレーダーセンサーが使われており、Infineon社製の「77GHzマイクロチップ」によってコントロールされている。これらはすでに全体的なドライバーアシスタントシステムの一端を担っており、ここ数年間で「車間の維持」や「緊急自動ブレーキ」などでの実績がある。これで、自動車に付いているセンサーが壊れたときでも、スマートブリッジ上の車の緊急停止をガイドすることができる。
ある車が緊急停止をする場合は周りの車にも信号が送られ、安全な車間距離が確保されるようになる。これが車の流れに影響を及ぼさないように行われるのは、言うまでもない。
多くの企業がこのルートでの新技術の試験に興味を示しており、AudiやMercedes、BMWなどはすでにオンボードコンピュータを使って、混雑するA9上で車を行き来させている。高速道路のコミュニケーションネットワークも同じく試験に入っており、先ほど紹介したA9上を走る車がリスクのある操縦をおこなう前に警告を発するシステム等がこれに含まれる。
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また、Communication Systems and Continental社にFraunhofer Research Institutionは、ある車が壊れそうなときにその状況を後続車に伝えることができる技術を提供している。こういった機能の狙いは、ドライバーに差し迫る危機を伝え、他のルートを提示することである。
プロジェクトが完成すれば、Siemens社とInfineon社は全テストデータをオープンソースフォーマットでリリースする予定だ。「自動車業界やデジタル分野、科学コミュニティなどがこれらデータを使い、よりイノベーティブな交通ソリューションを生み出すことが我々の意図するところである」と、語るのはSiemens Mobilityのテクノロジーインキュベータを務めるマルクス・ズウィック氏だ。
「インテリジェント・アウトバーン」でどのようなイノベーションが起こるのか、興味深いところだ。ほか、スマートハイウェイの技術も引き続き追いかけていきたい、
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ReadWrite[日本版] 編集部
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