自分たちが奇跡を起こせないことを棚に上げて、了見の狭さを見せつけたJ2千葉サポーター
シーズンも佳境に入り、昇格・降格というドラマに決着がつきつつあるJリーグ。12日には明治安田生命J2リーグ戦の第41節が行なわれました。全42節の戦いのラスト直前。1試合の勝利がチームの未来を変える正念場です。
そんな佳境ゆえの熱さか、Jリーグ公式ツイッターがつぶやいたツイートが炎上騒ぎを起こしてしまいます。
問題の投稿は、フクダ電子アリーナで行なわれた千葉VS札幌戦に関するものでした。この試合は前半を千葉が1点リードで折り返したのち、後半に入って札幌が反撃し、試合終了間際に逆転の決勝ゴールを決めるという劇的なものでした。
そのドラマをJリーグ公式ツイッターでは「これは『フクアリの奇跡』だ!」と表現したのですが、これが千葉サポーターの怒りを生みます。実はこの言い回しは、千葉サポーターの中においては「2008年のJ1最終節で、千葉が奇跡的な試合を演じて残留を勝ち取った」ことを指すものとして、以前から定着していたものだったというのです。
ところが、今回Jリーグ公式ツイッターの投稿では、「札幌が奇跡的な逆転勝利を演じて、J1昇格に大きく近づいた」という文脈で使われたのです。ただでさえ負けて苛立ち、今季のJ1昇格の目もすでになくなり、さらに自分たちにとって愛着ある言葉までも望まない使われかたをした。この怒りが、Jリーグ公式ツイッターへの突撃となり、投稿を削除へと追い込んだのでした。
<Jリーグ公式ツイッターは当該の投稿を削除し、お詫び>
なるほど、千葉サポーター間での共通認識であったり、「千葉サポーター文化」というものに対して、Jリーグ公式ツイッターは「知らなかった」あるいは「配慮を欠いていた」という側面はあるかもしれません。事前にこうした背景を承知していれば、あえて同じ言葉を被らせることはなく「札幌が劇的勝利」とでも言っておけば済んだこと。その点においては、よりよい状態への改善の余地はあるかもしれません。
しかし、「フクアリの奇跡」なる「場所+奇跡」の極めてありがちな言い回しを占有するかのように、声高に主張する千葉サポーターというのは、いかにも了見が狭いのではないでしょうか。Jリーグだけでも数十チームがあり、そこには多種多様な「文化」があるだろう中で、ことさらに自分たちへの配慮を要求するような姿勢。それは悪い意味での「お客様は神様」という態度のようにしか見えません。
そもそも、残留争いで踏みとどまったことを「奇跡」と称すること自体がおこがましいのではないか。泥沼の展開で、どこかが落ちて、どこかが残ったというだけの話に奇跡も何もないのです。その後、結局翌シーズンにJ2への降格となるわけで、実態としては「フクアリの一時しのぎ」といったところ。思い出を大切にするのは個々人の自由ですが、それを同じレベルで他人にも要求するのは筋違いというもの。
怒るべきは、Jリーグ公式ツイッターの認識不足ではなく、ジェフ千葉というチームの存在感の薄さのほうでしょう。フクダ電子アリーナで素晴らしい試合を演じ、世間でも話題となり、「フクアリの奇跡」という出来事を繰り返しアピールすることができていないからこそ、こうした出来事が「Jリーグ公式ツイッター」という比較的近い立場にいる相手においても起きるのです。要するに「フクアリの奇跡」は、すでに風化してしまった過去なのです。
千葉、そして千葉サポーターには、こうした些末な出来事に怒りを燃え上がらせるのではなく、「昇格」という慶事で感情を爆発させてもらいたいもの。「こんなちっさいことでも怒られるんだ、サッカーって怖いなぁ」という無用な悪印象を世間に与えるのは、サッカー界全体にとっても得のないことです。言葉の意味を更新するくらいの劇的な勝利で、今度こそ正しく「フクアリの奇跡」を世間に再アピールしてほしい。「場所+奇跡」なんてありがちな呼称は、新しいものでどんどん上書きされるのが当たり前なのですから。
(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)
そんな佳境ゆえの熱さか、Jリーグ公式ツイッターがつぶやいたツイートが炎上騒ぎを起こしてしまいます。
問題の投稿は、フクダ電子アリーナで行なわれた千葉VS札幌戦に関するものでした。この試合は前半を千葉が1点リードで折り返したのち、後半に入って札幌が反撃し、試合終了間際に逆転の決勝ゴールを決めるという劇的なものでした。
ところが、今回Jリーグ公式ツイッターの投稿では、「札幌が奇跡的な逆転勝利を演じて、J1昇格に大きく近づいた」という文脈で使われたのです。ただでさえ負けて苛立ち、今季のJ1昇格の目もすでになくなり、さらに自分たちにとって愛着ある言葉までも望まない使われかたをした。この怒りが、Jリーグ公式ツイッターへの突撃となり、投稿を削除へと追い込んだのでした。
<Jリーグ公式ツイッターは当該の投稿を削除し、お詫び>
先ほど当Twitter上で不適切な投稿がございました。申し訳ございません。
— Jリーグ (@J_League) 2016年11月12日
当該ツイートにつきましては先ほど削除いたしました。
重ねてお詫び申し上げます。
なるほど、千葉サポーター間での共通認識であったり、「千葉サポーター文化」というものに対して、Jリーグ公式ツイッターは「知らなかった」あるいは「配慮を欠いていた」という側面はあるかもしれません。事前にこうした背景を承知していれば、あえて同じ言葉を被らせることはなく「札幌が劇的勝利」とでも言っておけば済んだこと。その点においては、よりよい状態への改善の余地はあるかもしれません。
しかし、「フクアリの奇跡」なる「場所+奇跡」の極めてありがちな言い回しを占有するかのように、声高に主張する千葉サポーターというのは、いかにも了見が狭いのではないでしょうか。Jリーグだけでも数十チームがあり、そこには多種多様な「文化」があるだろう中で、ことさらに自分たちへの配慮を要求するような姿勢。それは悪い意味での「お客様は神様」という態度のようにしか見えません。
そもそも、残留争いで踏みとどまったことを「奇跡」と称すること自体がおこがましいのではないか。泥沼の展開で、どこかが落ちて、どこかが残ったというだけの話に奇跡も何もないのです。その後、結局翌シーズンにJ2への降格となるわけで、実態としては「フクアリの一時しのぎ」といったところ。思い出を大切にするのは個々人の自由ですが、それを同じレベルで他人にも要求するのは筋違いというもの。
怒るべきは、Jリーグ公式ツイッターの認識不足ではなく、ジェフ千葉というチームの存在感の薄さのほうでしょう。フクダ電子アリーナで素晴らしい試合を演じ、世間でも話題となり、「フクアリの奇跡」という出来事を繰り返しアピールすることができていないからこそ、こうした出来事が「Jリーグ公式ツイッター」という比較的近い立場にいる相手においても起きるのです。要するに「フクアリの奇跡」は、すでに風化してしまった過去なのです。
千葉、そして千葉サポーターには、こうした些末な出来事に怒りを燃え上がらせるのではなく、「昇格」という慶事で感情を爆発させてもらいたいもの。「こんなちっさいことでも怒られるんだ、サッカーって怖いなぁ」という無用な悪印象を世間に与えるのは、サッカー界全体にとっても得のないことです。言葉の意味を更新するくらいの劇的な勝利で、今度こそ正しく「フクアリの奇跡」を世間に再アピールしてほしい。「場所+奇跡」なんてありがちな呼称は、新しいものでどんどん上書きされるのが当たり前なのですから。
(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)