会社じゃないと生きられない「サラリーマン思考」に要注意!

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お金に苦労しない生活は誰もが望むところ。
しかし、会社員でいる限り、どんなに稼いでも収入は知れている。
お金の心配をしなくてもいいほど稼ぐには、独立して事業を起こすか、フリーランスになるか、いずれにしても会社を離れる必要がある。

しかし、その妨げになるのが「サラリーマン思考」である。長年会社員として定期的に給料をもらう生活をしていると、自分で金を稼ぎにいく感覚を磨くことができない。それでは独立した後に困ってしまうというわけだ。

では、会社にいながら、自分から金を稼ぎにいくいわば「自営業者思考」を磨くことはできるのだろうか。

今回はこのテーマについて、『世界の超一流から教えてもらった「億万長者」思考』(日本実業出版社刊)の著者、稲村徹也氏が、作家の中谷彰宏氏と対談を行った。

■稼ぎたかったら「サラリーマン思考」をやめること
中谷:稲村さんは『世界の超一流から教えてもらった「億万長者」思考』で、億万長者になる人の思考について書かれていますが、億万長者になれる人となれない人の境目はどこにあると思いますか?

稲村:先程もお話ししましたが、安定を求めるという意識は変えていくべきでしょうね。あとは、やると決めたことを続けられるか。

中谷:日本の被雇用者側の性質として、収入が上下するのをすごく嫌がりますよね。だからがんばった分の査定給よりも基本給を欲しがる。基本給があがってその代わり査定給がつかなくなっても、それでいいと言う。そうすると、どうすればもっと稼げるかという考えはなくなってきますよね。これは、いいことではないと思う。

たとえば、ホテルは対照的で、ウエイターの基本給は安いんだけど、チップがあってウエイターやドアマンは結構それで稼いでいます。結果、総支配人よりも収入が多いといウエイターもいるくらいです。

彼らはどうしたらもっとチップをもらえるかを常に考えるから、10年前に一度来たきりの人でも顔を覚えていたりします。僕は、シンガポールのあるピアノバーに毎年ロケで行ていたんですけど、その店にはカラオケがあるんです。そこのスタッフが前年に僕が入れた曲を覚えていて驚きました。

そうやって記憶しておくことでチップにつながるということ知っているんです。そのように日々稼ぐ方法を考えていると、次第に感覚が自営業的になるというか、経営者の頭になってくる。

稲村:すごいですね。日本にはチップ制はなくて、一定額のサービス料を取るだけですから寂しいものがあります。

中谷:昔は「心付け」を受けていましたが、今はそれもどんどんなくなってきていますね。今は渡そうとしても断られてしまう。お金を稼ぐために必要なはずの自営業者の感覚がマヒしている社会になっています。

そうなると、資本主義の世界で搾取される側になってしまいますよね。これまでは日本の国内で搾取する側とされる側がいたわけだけども、一国まるごとが搾取される側になる。これは危険なことです。

稲村:引っ越し業者には残っていますよね。

中谷:残っていますね。あらゆるサービスの値段がものすごく下がっている代わりに落差がすごいんですよ。すごく安くてサービスがいいところと、すごく安いけど酷いところとに分かれてしまっている。だから、いい仕事をしてくれた人には、基本料金とは別に心付けを渡すという文化が残っているんです。

■「一流」になれる人、なれない人、その決定的な違い
中谷:億万長者になれるかなれないかの違いは「続けられるかどうか」だということでしたが、「一流になれる人となれない人の違い」についてはどう考えますか?

稲村:失敗についての考え方ではないでしょうか。たとえば経営者であれば、倒産はしなくても大きな失敗を何度もするはずです。その失敗から糧にして自分が変わっていけるかだと思います。日本はどちらかというと成功した体験を自慢する人が多いのですが、本当に価値のあるのは失敗の方だと思います。

中谷:早いうちに失敗をできる人は強い。日本人は失敗を避ける傾向があって、セミナーなどでも「できるだけ失敗をしないで成功するにはどうすればいいか」というような質問がくる。

稲村:僕の場合、失敗したことで謙虚になれました。20代でビジネスを始めたのですが、若かったですから粋がっていたところもあったんです。それで30代で失敗して億単位の借金を作ってしまった。そこでようやく謙虚になれたというか、困った時に助けてくださいと言えるようになった。それまでは言えなかったんです。

そうなると、助けてくれる人が現れるもので、自分よりもレベルが高い人が力を貸してくれるようになりました。そういう力添えのおかげでリスタートできました。

中谷:最後に、この本を読んだ人から出るであろう質問を代弁します。本に書かれていることを実践して億万長者の思考を身につけたとして、実際に億万長者になるまでにどれくらいかかりますか?

稲村:今自分でビジネスをしている方だったら、早ければ2、3年で効果が出るのではないかと思っていますが、謙虚にやっていっていただきたいですよね。謙虚さがないとたとえうまくいっても、同じスピードで落ちてしまいます。

稼げる人とそうでない人は時間の感覚がちがっていて、稼げない人ほど成果を焦ってしまう。稼げる人は7年先とか10年先にゴールを設定して地道に努力できるんです。

この本では、ビジネスでサバイバルしていくための考え方を書いています。いわゆる「成功哲学本」には300年くらいの歴史があって、はじめの50年間は成功するための思考について書いていたのですが、あとの250年は実際的なスキルやノウハウについての本が主流になっています。こういった本を読んで成功している人もいますが、最終的に破産している人も多いんです。成功するために本当に必要なのは、表面的な知識やスキルではなく、行動の根幹にある考え方なんです。
(新刊JP編集部)