西都商vs宮崎第一
快投を見せた池上(西都商)
3月21日、今春大会(第138回九州地区県予選)の1回戦、SOKKENスタジアムの第3試合に登場した西都商は、1対2で宮崎農に惜しくも敗れた。しかし、選手9名(新3年生8名+新2年生1名)の西都商が、宮崎農と対等に戦い、特に、宮崎農打線を困惑させたエース池上の素材の良さには、目を奪われた。他県に名を届けるほどの超高校級とまではいかないが、西都商に良いピッチャーがいる。そう認識してから約2ヶ月が経ち、再び、池上を見ることができた。
1年生が加わり、ベンチ入り選手は12名の西都商。守備時に、ベンチに残る選手は3名。攻撃時には、佐々木監督、木下部長、森マネージャーと選手全員が仲良く肩を寄せ合い、チーム一丸となってベンチから声を出す。森マネージャーも、貴重な人員として、グラウンドに立つ選手にメッセージを贈る。そんな光景には、「ほっこり」とさせられると同時に、ひたむきに、必死になって戦う高校野球らしさを感じることができた。
西都商が挑んだのは、今春大会ベスト8、今月上旬の県招待野球にも出場した、格上の宮崎第一だったが、地力の差を全く感じさせない展開に持ち込んだ。西都商が、初回に敵失から運よく先制すると、4回には一死一塁から6番森松が左中間越えの適時三塁打を放った。さらに、同回二死三塁になって、運よくパスボールで3点目が転がってきた西都商ベンチは、大盛り上がりになった。
しかし、ここから宮崎第一が追い上げをみせてくることだろう。そんな予感を覆したのが、西都商のエース池上だった。中盤から終盤にかけて崩れるどころか、調子は上がる一方。マウンド上での存在感も増し、宮崎第一打線を5回から無安打に封じた。結局、池上は9回を被安打4、奪三振10、四球2の完封で大金星に貢献した。
文句なしの快投を成しとげた池上は、「今日は90点。(二死から2度)勝負どころで四球を出してしまった」と、次戦にむけて気を引き締めるべく、反省材料を口にした。さらに、「人数が少ない分、他校のようにピッチャーだからと言って、(自分の)ピッチャー練習だけするわけにはいきませんが、3日前の練習試合(対高鍋)で、直球中心になって大敗したので、変化球に磨きをかけて今日臨みました」と、厳しいチーム状況でも、大黒柱として精一杯の責任を果たす姿勢が感じられた。
勝った西都商は、24日、本大会出場をかけて宮崎日大に挑む。もうひとつ、大金星を勝ち取ることができるか?池上のピッチングと、西都商の全員野球に注目が集まる。
(写真・文=三角 竜之)
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