部下を引き連れて起業した上司に会社がとった驚きの報復
「起業の適正年齢は何歳なのか」というのはこれまでしばしば議論されてきたテーマだが、個人的には若さと行動力任せの起業よりも、ある程度経験を積み、人脈を培ってから事業を興す方が成功することが多いのではないかと思っている。
その意味で「50歳」という年齢は、経験と実績が蓄積され、体力的にもまだまだ充実しているため、まさしく適齢なのではないか。
ただ、もちろんこの年齢での起業が必ず成功するわけではない。
失敗する大きな要因は「慢心」だ。
■部下を引連れての退職・起業には訴訟リスクあり
起業コンサルタント(R)、税理士・特定社会保険労務士として、年間200件もの起業相談を受けるという中野裕哲さんによると、シニア世代の起業に特有の落とし穴として「部下を引き連れての退職」があるという。
起業を考える人というのは、基本的に勤めている会社では優秀な成績を収めていることが多い。そういった人が社内の飲み会などで「今の仕事をやめて自分で会社を興そうと思っている」と打ち明ければ、「私もついていきます!」と訴える部下がいても不思議ではないだろう。
しかし、それを真に受け、一族郎党引き連れて退職した結果、トラブルになることがある。
中野さんの著書『50歳からの起業術 ~シニア起業と独立を成功に導く実践的ノウハウ61~』(大和書房刊)には、部下が賛同してくれたことで自尊心をくすぐられたのか、5人分の退職届もまとめて社長にたたきつけ会社を辞めた結果、会社側から訴えられ「新たに5人を雇い入れる採用費」として800万円を請求されてしまった例が紹介されている。
中野さんによれば、慎重を期す人なら、会社を辞めた部下にいったんコンビニバイトの仕事についてもらうという「工作」までするそう。つまり、「コンビニで働きながら次の仕事を探していたときに、『人手が足りないから来てくれないか』と声をかけてもらったので入社を決めた」という体をとるわけだ。
■豊富な人脈を生かすジョイントベンチャーという起業形態
ただ、上で紹介した落とし穴を含め、自分の実績や人脈を過信しなければ、シニア起業で成功するチャンスは充分ある。
中野さんは本書の中でいくつもの成功例を紹介しているが、ここでは、それまでに培った人脈を生かす形で起業した、製薬会社に勤務経験のあるIさんのケースを紹介しよう。
結論からいえば、Iさんは人材紹介の分野で、ジョイントベンチャー(企業間で契約を結び、不動産、販路、顧客リストなど経営資源をお互いに利用し合う起業方式)という形をとって起業した。
医療分野は専門性が高いため、大手人材紹介会社でも入り込みにくい。そんな中、Iさんは人脈があり、各職種にも精通しているため、同業の仲間から、看護師、薬剤師、医療事務員などの引き合いが多くあり、充分な受注を得られる。
また逆に、医療関係者や医療関連会社から、経理やITシステムの人員を求められた場合は、引き合いを紹介してくれた同業の仲間に情報を流し紹介する。
このように横のつながりをうまく活用することで、たとえ個人であっても仕事の幅を広げていくことができる。
国が「1億総活躍社会」の実現を目指していることもあり、シニア世代の起業に関しては融資制度の充実など、後押しする環境が整いつつある。
本書で紹介されている、成功、失敗含めた19のケースから得られる学びを生かせば、リスクを最小限にしながら事業の成功を目指すことができるはずだ。
(新刊JP編集部)
その意味で「50歳」という年齢は、経験と実績が蓄積され、体力的にもまだまだ充実しているため、まさしく適齢なのではないか。
ただ、もちろんこの年齢での起業が必ず成功するわけではない。
失敗する大きな要因は「慢心」だ。
起業コンサルタント(R)、税理士・特定社会保険労務士として、年間200件もの起業相談を受けるという中野裕哲さんによると、シニア世代の起業に特有の落とし穴として「部下を引き連れての退職」があるという。
起業を考える人というのは、基本的に勤めている会社では優秀な成績を収めていることが多い。そういった人が社内の飲み会などで「今の仕事をやめて自分で会社を興そうと思っている」と打ち明ければ、「私もついていきます!」と訴える部下がいても不思議ではないだろう。
しかし、それを真に受け、一族郎党引き連れて退職した結果、トラブルになることがある。
中野さんの著書『50歳からの起業術 ~シニア起業と独立を成功に導く実践的ノウハウ61~』(大和書房刊)には、部下が賛同してくれたことで自尊心をくすぐられたのか、5人分の退職届もまとめて社長にたたきつけ会社を辞めた結果、会社側から訴えられ「新たに5人を雇い入れる採用費」として800万円を請求されてしまった例が紹介されている。
中野さんによれば、慎重を期す人なら、会社を辞めた部下にいったんコンビニバイトの仕事についてもらうという「工作」までするそう。つまり、「コンビニで働きながら次の仕事を探していたときに、『人手が足りないから来てくれないか』と声をかけてもらったので入社を決めた」という体をとるわけだ。
■豊富な人脈を生かすジョイントベンチャーという起業形態
ただ、上で紹介した落とし穴を含め、自分の実績や人脈を過信しなければ、シニア起業で成功するチャンスは充分ある。
中野さんは本書の中でいくつもの成功例を紹介しているが、ここでは、それまでに培った人脈を生かす形で起業した、製薬会社に勤務経験のあるIさんのケースを紹介しよう。
結論からいえば、Iさんは人材紹介の分野で、ジョイントベンチャー(企業間で契約を結び、不動産、販路、顧客リストなど経営資源をお互いに利用し合う起業方式)という形をとって起業した。
医療分野は専門性が高いため、大手人材紹介会社でも入り込みにくい。そんな中、Iさんは人脈があり、各職種にも精通しているため、同業の仲間から、看護師、薬剤師、医療事務員などの引き合いが多くあり、充分な受注を得られる。
また逆に、医療関係者や医療関連会社から、経理やITシステムの人員を求められた場合は、引き合いを紹介してくれた同業の仲間に情報を流し紹介する。
このように横のつながりをうまく活用することで、たとえ個人であっても仕事の幅を広げていくことができる。
国が「1億総活躍社会」の実現を目指していることもあり、シニア世代の起業に関しては融資制度の充実など、後押しする環境が整いつつある。
本書で紹介されている、成功、失敗含めた19のケースから得られる学びを生かせば、リスクを最小限にしながら事業の成功を目指すことができるはずだ。
(新刊JP編集部)