【2016年ドラフト特集】左右にドラフト上位候補が揃った来年の高校生投手たち

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 来年の高校生投手は東日本、西日本にバランス良く散らばっているといえる。さらに左右に好投手が揃った年となった。今回、来年プロから注目を浴びそうな投手たちをピックアップした。

来年の東日本は藤平 尚真、大江 竜聖など関東に好投手が集結

 北海道・東北を見てみると、北海道では、182センチの長身から角度ある直球を投げ込む佐々木 翔理(札幌北斗)、135キロ前後の速球を投げ込む川村 奨一朗 (北照)も来年の進化を期待したい好投手。188センチの長身から140キロ台を投げ込み将来性が高く注目される倉内 凱之(札幌日大)。加藤 三範(花巻東)は1学年上の高橋 樹也より上背があり、長い腕をしならせて投げるので打ち難い投手。まだ130キロ前半〜135キロだが、これが常時140キロ台まで速くなってくると、スカウトから騒がれる存在になるだろうとみている。

藤平 尚真(横浜)

 そして関東は好左腕揃い。2015年選抜ベスト8左腕・鈴木 昭汰(常総学院)は実戦力が非常に高い左腕投手。さらにストレート面で凄味が出てくれば楽しみだ。また最速145キロの速球と鋭いフォークを武器にする高橋 昂也(花咲徳栄)、出所が見難いフォームから130キロ後半の速球、キレのある変化球で翻弄する早川 隆久(木更津総合)は高校生からすれば、攻略困難な投手だ。今秋の都大会2回戦で早稲田実業、3回戦で日大三を破った大江 竜聖(二松学舎大附・2015年インタビュー)も、140キロ台の速球、キレ味鋭いスライダーで圧倒する。この4人のサウスポーが来年の関東を盛り上げる存在となるだろう。

 左腕だけではなく、関東には好投手が多く揃う。まず栃木県からは板垣 理音(青藍泰斗)、入江 大生(作新学院)、水野 敦之(白鷗大足利)が主な有力投手。

 他では140キロ前後を計測し、更なるパワーアップを期待される榊原 翼(浦和学院)、140キロ前半の速球をコントロール良く投げ分ける本格派・島 孝明(東海大望洋)、2年秋の時点で、常時140キロ台中盤の速球、多彩な変化球で打者を圧倒する藤平 尚真(横浜)、伸びのある140キロ台中盤の速球を投げ込む北村 朋也(東海大相模)、同じく140キロ台を計測する木澤 尚文(慶應義塾)も来年以降、さらにパワーアップが期待できる好投手。高田 孝一(平塚学園)は、秋は不調だったが、好調時は柔道の背負い投げのようなオーバースローから球速以上に感じさせる角度とキレを兼ね備えた140キロ前後のストレート、フォーク、カーブで翻弄する。

 山梨は菊地 大輝(東海大甲府)がドラフト候補として意識できる投手へ成長できるか。常時140キロ台中盤の速球、140キロ近いカットボール、130キロを超える曲りが鋭いスライダーと、速球も変化球のレベルもハイレベルだが、球速の割に合わせられることが多いので、それをしのげる投球術が求められるだろう。

[page_break:東海地区、北信越地区、近畿地区の好投手の状況]東海地区、北信越地区、近畿地区の好投手の状況

 東海地区では、藤嶋 健人(東邦)が大きく注目を浴びそうだ。1年夏に甲子園に出場した際には140キロ台の速球を連発し、将来性を高く評価されたが、2年夏の大会では準決勝で、優勝した中京大中京に打ち込まれるなど悔しい経験を味わった。この秋は投打ともに成長し、東海大会準々決勝では7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成するなど更なる進化を見せている。

 同じ愛知では最速143キロ右腕・浅野 亨太(大府)、最速147キロ右腕・釜口 航輔(岡崎西)も来春以降、大きく注目を浴びる存在になりそうだ。そして3期連続甲子園に出場した静岡のエース・村木 文哉は最速146キロのストレートと落差あるフォークで勝負する右腕。来年へ向けて、さらに投球の完成度を高めていきたい。

寺島 成輝(履正社)

 北信越からは最速144キロ右腕・山 颯一郎(敦賀気比)。18日まで行われた北信越大会では本来の出来ではなかったものの、勝つ投球に徹し、優勝に貢献。まだ体の線が細いので、体に厚みが出てくると、ストレートの球威もさらに伸びる投手だろう。常時140キロ前後の伸びのあるストレートとキレのある変化球をきっちりと投げ分け、投球だけではなく、守備、打撃にもセンスの高さを感じさせる草海 光貴(上田西)の進化も楽しみ。

 近畿も逸材揃いだ。来年は、近畿の左腕三羽烏と呼べる投手がいる。寺島 成輝(履正社)、東郷 太亮(神戸国際大附)、高山 優希(大阪桐蔭)の3人だ。

 寺島はスリークォーター気味のフォームから繰り出す常時140キロ中盤の速球で圧倒。変化球の精度も高く、実力は全国トップクラスといっていいだろう。東郷は、春季大会でブレイクした本格派左腕。俊足且つバネの強さをいかして、躍動感あるフォームから繰り出す140キロ前半のストレートは非常に伸びがある。だが夏、秋と思うようなピッチングができていなかった。これを乗り越えて、春には大化けした投球を見せていきたい。

 そして高山も長身から繰り出す角度ある最速144キロのストレート、カーブ、スプリット、スライダーで勝負。高山はストレートで勝負球にできるようにしたいと答えており、現在、常時135キロ〜140キロぐらいなので、常時140キロ中盤を計測するまでになれば、藤浪 晋太郎(阪神タイガース)以来の、投手としての高卒プロ入りが期待できる投手だろう。

[page_break:中国は高田、九州は梅野、山本と速球派右腕が並ぶ]

 来春以降の成長ではこの3人に並ぶ主島 大虎(報徳学園)が、ここぞというときに投げ込む130キロ後半の速球にキレがあり、巧みな牽制技術も光っている。今年の選抜で、キレのある速球を投げ込んでいた右腕・京山 将弥(近江)の成長も楽しみ。

 近畿大会出場を決めた明石商は投手陣の層は厚いが、その中で素材としてプロ向きなのが山崎 伊織。185センチの角度から140キロ前後の速球を投じる投手で、この冬を越えてさらにパワーアップして実戦力も磨かれれば、楽しみな存在だろう。また186センチの長身から140キロを超える才木 浩人(須磨翔風)も、化ければ140キロ後半が期待できる素材だ。

中国は高田、九州は梅野、山本と速球派右腕が並ぶ

山本 由伸(都城)

 中国地区では最速150キロを誇る本格派右腕・高田 萌生(創志学園)が注目。今秋の中国大会ではその投球ぶりに注目が集まるだろう。堀 瑞輝(広島新庄)は左スリークォーターからの常時130キロ後半の速球、曲りが鋭いスライダーは簡単には打ち崩せない。

 四国では長身から140キロ半ばの速球を投げ込むアドゥワ 誠(松山聖陵)、鳴門の二枚看板の140キロ左腕・河野 竜生、成長を期待したい大型右腕・中山 晶量が注目。特に中山は186センチの長身から投じる140キロ台の速球が魅力的で、これからの1年では高いレベルで活躍する実績が欲しい。

 九州地区では最速149キロを計測した梅野 雄吾(九産大九産)、濱地 真澄(福岡大大濠)の2人に注目。上沢 直之 (北海道日本ハム・2015年インタビュー【前編】 【後編】)を彷彿とさせるようなオーバーハンドから投じる最速145キロのストレートは手元でぐっと伸びており、潜在能力は抜群。この2人は来春以降、さらに知名度が上がっていくことは間違いないだろう。

 山本 由伸(都城)も140キロ台を超える速球を投じる速球派右腕。毎年、逸材を輩出し続ける。そして沖縄ではタイシンガー ブランドン 大河(石川)に注目。すでに140キロを超えるを投げ込んでいる投手で、さらに打撃の才能も高く、来春以降のパフォーマンスに注目だ。

(文=河嶋 宗一)

コラムに登場する選手に関連する記事は以下から【インタビュー】二松学舎大附バッテリー 大江竜聖×今村大輝(2015年02月28日公開)

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