ライブMCでミュージシャンの主張、聞きたい?聞きたくない?(画像はイメージ)

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人気バンド「Mr.Children」のボーカル、桜井和寿さんが過去の雑誌インタビューで語った内容がここにきて注目を集めている。

ミュージシャン達が自身の主張をライブなどで語ることに違和感を示した部分で、発言を引用したネット記事が2015年8月15日に公開されたことで突如話題にのぼることとなった。

「自分は音楽に対して向き合い、誠実でいたい」

記事は、ミスチルファンという20代ライターのさのゆう氏が桜井さんの過去の発言や行動をもとに「なぜ桜井さんは政治的な発言をしないか」を分析したもの。

同ライターは「他のアーティストはライブなどで自らの主張(戦争反対、原発反対など)を語ることも珍しくないですが、決して桜井さんはこの手の主張を表明しません」と説明した上で、桜井さんが2007年に邦楽専門誌「ROCKIN'ON JAPAN」のインタビュー中で次のような趣旨の発言をしていたと紹介した。

「ミュージシャンがライブ会場などでメッセージを発信することもあるが、彼らが信頼されてるのは音楽があってこそ。なのに自分自身が信頼されていると勘違いし、言葉を発信するのは謙虚ではない」
「自分は音楽に対して向き合い、誠実でいたい」

また、自身が深く関わっている環境問題をテーマにした野外音楽イベント「ap bank fes」についても「自身がメッセージを発信することはap bankでも求められているかもしれないが、MCで環境問題のことを話すことはもってのほか。なんとしてでも音楽で解決したかった」などと語っていたという。

直接的な政治主張は避け、あくまでミュージシャンとしての音楽表現を通じて何かを感じてもらいたい、という思いがあるようだ。発言は8年も前のものにもかかわらず、ネット上では大きな反響を呼んだ。

「ただのリスクヘッジ」
「こうやって安全圏から出ようとしないのは糞ダサい」
「『MCで政治を語る』よりも『音楽に政治を語らせる』方が不誠実、という見方もあったりする気もする」

という反対意見もあるが、同意する声も多く、

「そうなんだよね、音楽家は音楽で語るべき」
「音楽家や作家は皆こういうスタンスでいてほしいと思う」
「アーティストの政治的発言なんて求めてないし、カッコわるいと思ってた」

といった意見が相次ぎ寄せられている。

アジカン後藤、悲しむファンに「自分と意見が違うから?」

もちろんミュージシャンによってスタンスは異なる。

3.11以降はライブMCなどで反原発・脱原発を訴えるミュージシャンが目立った。また、最近では安保法制関連で安倍政権に対し批判の声を上げるミュージシャンも出てきている。

桜井さんの発言を受け、特に名前が挙がっているのがロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のボーカル&ギター、後藤正文さんだ。日頃からツイッターで積極的に自身の主張を表明しており、過去にはイベントで「クソ安倍」「安倍しね」などと発言したことでも知られる。

こうした姿勢を快く思っていないファンもおり、8月1日には後藤さんのもとに「もうそういう政治系発言やめてもらえませんか、悲しくなります」とのツイートが寄せられた。すると後藤さんは「どうして悲しくなるんですか?自分と意見が違うから?」と返答。また、自身の発言は政治的ではなく「社会的」だと考えているとも述べた。

ただ、後藤さんであっても毎回「社会的な発言」をしているわけではない。8月15日には「終戦記念日」と題したブログ記事を公開し、前日14日に出演した音楽フェス「ライジングサンロックフェスティバル」でのことを次のように綴っている。

「65回目の終戦記念日の日も、確かサンステージに出してもらったはず。そのときはMCで『今日は65回目の終戦記念日です』と言って、会場はなんとも言えない空気だったように思う。寒っ!って思われたかもしれない。今回はそういうことは言わずに、黙々と演奏しました。でも、いろいろな思いは楽曲に思いは込めたつもり。そして何より、とても幸せな空間を観客や仲間たちと共有できたことが嬉しかった。それが何よりの反戦的な行為のひとつだから。こういうフェスが、何十年も続くといいなと心の底から思う」