XperiaはiPhoneと互角に戦える? 台湾市場にみるAppleに肉薄するソニー戦略の成果

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世界各国でスマホのシェアに大きな変動が起きている。アップルやサムスン電子を追従する新興メーカーが次々に生まれているからだ。

ZenFoneを引っ提げてじわじわとシェアを上げているPCメーカーのASUSなど、この1-2年で存在感を急激に高めている新しいメーカーの数は増えている。

そのASUSの母国でもあり、日本の隣に位置する台湾でも、スマホのシェアに大きな変化が起きているようだ。調査機関のFINDが台湾のスマホユーザーに調査したところ、2015年上半期のスマホシェアは台湾ならではの面白い結果が出ている。

台湾人が最も持っているスマホ、それは地元台湾のHTCという結果になった。
台湾でもここ数年はサムスン電子のGalaxyシリーズに人気が集まっていたが、今年になってHTCがついにシェア1位となった。マーケットシェアは23.1%で、台湾人の約4人に1人はHTCユーザーと言う計算だ。


HTCは台湾各地にHTCショップを展開、スマホでトップシェアに


HTCのスマホは日本ではKDDIから1機種が細々と販売されている程度だが、台湾では『HTC One』『HTC Butterfly』『HTC Desire』と3つのシリーズごとに複数モデルを展開、常時多数のモデルを販売している。低価格品からハイスペックな高級モデルまで、品ぞろえは豊富なうえに、同社スマホを専門に扱うHTCストアも台湾全土に店舗を展開している。

HTCの後を追うのはサムスン電子。
こちらもGalaxy S6やS6 edgeといったハイエンドモデルだけではなく、お手頃価格の低価格モデルも揃えるなど多数のスマホを展開している。とはいえライバル各社の追撃により、台湾でのシェアも下降している。

一方アップルのiPhoneユーザー数はシェア16.3%と3位だった。
台湾でもiPhoneユーザーは多いものの、価格が高いことからシェアは伸ばし切れていないようだ。台湾は日本のようなキャリアがSIMロックをかけて激安販売を行うことはないため、価格の高いiPhoneを入手できる層は日本よりも狭くなってしまう。
とはいえハイエンドスマホを求める台湾人からは多大な人気を集めているだけに、今後シェアが伸びることはあっても、大きく下落する心配はないようだ。

このトップ3位の後に付けているのがソニーXperiaシリーズだ。
実は、上位の3社は昨年下半期よりもシェアを下落させている。
これに対してソニーは昨年の15.2%から今年は15.8%と、シェアをわずかながら上げているのだ。アップルのシェアに肉薄しており、両者はほぼ横並びの同順位と見ても良い。


アップルに迫る人気を持つソニーXperiaはタブレットも人気


台湾では日本製品が人気とはいえ、ここまでXperiaの人気が高いのはTVやデジカメも含めたソニー製品全体の魅力を高めることに努めているからだ。ソニーストアの数も多く、最新モデルを並べた店内はいつも来客で賑わっている。広告展開の強化や定期的なプロモーションを行うなど、ソニーの台湾事業は日本以上に努力を怠っていない。新製品の投入も他の国と比べると早い時期に行われている。

日本ではキャリアが格安販売を行うため、スマホの売れ筋ランキングはスマホそのものの魅力だけではなく、販売価格も大きな影響を与える。台湾でもキャリアはスマホを割引販売するが、高い製品は基本料金も高くなる。つまり台湾では日本のようにiPhoneを激安で購入して毎月の維持費を安くあげる、といったことは不可能なのだ。そんな台湾市場でXperiaが堂々とシェア上位に入っているのは、Xperiaの人気がiPhoneと互角であることを証明していると言えるだろう。

さて台湾人が使うスマホの5位に入ったのが、ZenFoneでおなじみのASUSだ。
シェアはまだ8%台と低いものの、低価格・高コストパフォーマンスな製品を増やしている同社が上位メーカーと肩を並べる存在になる時代もいずれやってくるだろう。
台湾の人にとってASUSも地元メーカーだけに、世界中の他の国よりもZenFoneユーザーは多い。

今年下半期はiPhoneXperia、Galaxyなど新製品が目白押しなだけに、各社のシェアにもまた大きな動きがおきるかもしれない。SIMフリー激戦区の台湾での競争は、グローバル市場での存在感にも大きな影響を与えるものになるだろう。

山根康宏