スマホに情報が! バス停やレストランに近付くだけで、キャッチします。

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先日放送されたある旅番組で、ちょっとした事件を目撃してしまいました。めったに来ないバスの時刻に合わせ、バス停へ向かう一行。しかしハイヒールを履いている某グラビアアイドルだけが、どうにも速く歩けない。
結果、貴重なバスは一行の目の前を通り過ぎて行ってしまいます。でも、遅れて到着したグラビアアイドルだけはそれに気付かず「間に合ったぁ〜」。いや、もう行ったよ!

でもですよ? もしかしたら近い将来、こんな失敗がなくなるかもしれないのです。 実はそろそろ、こんな“未来”が実現しようとしている。株式会社リクルートテクノロジーズの研究開発機関「アドバンスドテクノロジーラボ」は、URLを発信するビーコンデバイスとスマートフォン専用アプリを3月に開発しました。

……と言っても、よくわからないでしょうね。「ビーコン」とは、Bluetooth LEによって半径10メートルの範囲に対し定期的に情報(URL)を発信する機器。この「ビーコンデバイス」を用いれば、商業施設内の機械、あるいはスマホなどBluetoothのチップが埋め込まれたハードウエアに情報を発信することが可能となるのです。

ここからは、仮定の話です。ビーコンデバイスを、例えばバス停やレストランに設置したとしましょう。そして、情報を発信します。すると、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンがその情報をキャッチ! バス停に近付くとスマホ画面に時刻表やバスの接近情報が表示されたり、レストランに近付くとメニューやクーポンが表示されたり……。

「それ以外でも、例えばデパート入口やエスカレーター乗場付近にある売り場案内、駅改札付近の近隣マップ、看板、ポスターなどから“今その場にいる人が欲しい情報”を発信することができます。よりパーソナライズされた情報やレストランの空席情報など、動的なリアルタイム情報にも適しています」(「アドバンスドテクノロジーラボ」加藤亮氏)

なるほど、ローカルすぎるために今まではネットと相性が良くなかった情報も、こうすることで発信が可能となるわけだ。
「また、人が持つスマホやネームプレート等がビーコンの役割を担い、そこからSNSサイトのURLを飛ばせば、特定の人へのフレンド申請やメッセージの送信などのコミュニケーションも開始できます。この仕組みは、パーティのようなイベント会場や会議等のスペースでも応用できるでしょう」(加藤氏)

バスの接近度合いやレストランのメニューなど“今その場にいる人が欲しい情報”は、ネット上にデータを置いても検索する手間のせいで効果は薄く、看板やポスターなどアナログな媒体との相性が良いと考えられていました。
しかしこのシステムが実用化されれば、きっと時代は変わるはず。電光掲示板を設置するコストも必要なくなるし、アナログ媒体のデジタル化を進めることもできます。その結果「今バスがどこを走っているか?」「レストランの空席情報は?」等、動的な情報を得ることも可能となるのです。

とは言っても、受け取った情報全てをユーザーに通知してしまったらキリがない。
「情報を受け取り、それら全てを音や振動で知らせた場合、世にビーコンの数が増えてしまうと音が頻繁に鳴るようになり、不快なスパムになってしまいます。PUSH通知との連動は限定された用途のみに推奨されますが、そうするとビーコンに近付いても瞬時に情報に気付けません。サイネージとの連動が重要になってくると考えています」(加藤氏)

さて、気になるのは実用化の時期についてだが……。すみません、もうちょっと待ってください。環境等の問題を考えると、まだまだ時間はかかりそう。でも「バス停に近付くと、スマホに時刻表が表示される」なんて不思議は、もはや難しい話じゃないみたい。

必要な情報を「検索する」のではなく、必要な情報が「周りに落ちている」時代が、もうすぐ訪れようとしています。
(寺西ジャジューカ)