RO膜は色がついた水を真水に変えられるのか?

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 ジュースを真水に変える? そんな魔法のような技術があるという。それがRO膜(=逆浸透膜)だ。RO膜を通すことで、水に含まれる不純物が極限まで除去され、きわめてキレイな水に生まれ変わる。そんなRO膜を利用した家庭用ウォーターサーバーでトップシェアを持つのが、アクアクララである。

 水を買うという文化は元々日本にはなかった。現在のように一般に広がったのは2000年ごろ。ミネラルウォーターをファッションとして飲むことが流行した。それが2011年3月11日以降、健康のために有害物質の含まれない安全でおいしい水を飲むというスタイルに大きく変わる。

 営業本部の伊藤純一氏が当時を振り返る。

「福島の原発事故の直後、東京都の金町浄水場で高い放射性物質が検出されました。あの時、東京では水パニックが起きました。お子様をお持ちの方は切実で、お子様には安全な水を飲ませたい、妊娠されている方は自分だけの体じゃない、そのような状況からウォーターサーバーのご利用を求めるお客様が殺到しました」

 ホームページがつながらず、製品も不足して1カ月2カ月待ちとなるほどだったという。 当時は会社の玄関までベビーカーを押したお母さんたちが来て、水だけでも売ってくださいと言われたのだそうだ。

RO膜は汚染水を飲料水に変える

 そこまでユーザーが求めたのには理由がある。RO膜は放射能の除去さえできるからだ。

「放射線医学研究所によると、放射性ヨウ素I-131をほぼ完全に除去できることがわかっています。放射性ヨウ素I-131は放射線被害の原因物質なので、RO膜によって汚染水でさえも飲料水に変えられることがわかったわけですね」

 RO膜は1950年に海水から真水を作り出すひとつの技術としてアメリカで開発された。70年代に入って日本でもRO膜を使った海水淡水化プラントの製造が始まり、主に半導体の洗浄などに使われる。まったく不純物を含まない超純水の製造に使われている。

 水しか通さない膜のことを浸透膜という。濃度の違う液体を浸透膜で隔てておくと、濃度の薄い方から濃い方へと水が移動し、どちらも同じ濃度になる。ここで濃度の濃い方に圧力をかけて強制的に逆方向へ水を移動させる。

 すると、濃い液体はさらに濃くなり、薄い液体はどんどん真水に近づいていく。これが逆浸透と呼ばれるRO膜の原理だ。RO膜は穴が非常に小さいため、モーターで圧力をかけないと水がRO膜を通過しない。RO膜を通すと濃い液体は非常に濃くなり、薄い液体は真水に近づく。



 同社品質管理本部の山本敏弘氏に、RO膜の実力を見せてもらった。構造はシンプルだ。不純物の含まれた水をRO膜のタンクに吸引させ、フィルターを通すと純水と不純物を含んだ水とにキレイに分かれる。数分で、食紅で色をつけた水は完全に真水に変わった。ジュースやしょう油も透明な水に変えることができるのだそうだ。



実験前。色つき水をフィルターを通して純水と不純物を含んだ水に分ける

実験後。赤色の水は透明な真水に変化した

「0.0001ミクロンという極小の孔が開いていて、水以外の不純物は通ることができません。RO膜を通ると水のみが透過されるので、海水も真水に変わります」

 次にウォーターサーバーの利用を広めたいのはペット。

「ペット用のお水というのがあって、ペットを飼っている方の中にはそうした専用のお水をペットに与えています。水の中のマグネシウム濃度が高いと、猫や犬は肝機能障害を起こしやすくなるそうなんです。ミネラル分が高い硬水はペットに良くない。これは肝機能が未熟な赤ちゃんにも同様に言えます。アクアクララは硬度29.7の軟水なので、赤ちゃんにもペットにも安心して与えられます。ペットを飼っている方々にもウォーターサーバーで安全でおいしいお水をお使いいただきたいですね」

 猫は常温よりもややぬるい水を好むそうだが、ウォーターサーバーの場合、温水も出るので温度調節が簡単だ。

「お薬を飲む時も、簡単にぬるま湯が作れるので、普段薬を飲む機会が多いご高齢の方々にもお使いいただきたいですね」

 ウォーターサーバーは月1,000円〜のレンタル。水は必要に応じてスタッフが自宅に届ける仕組みだ(12リットル入り1200円)。

 よりおいしく体にいい水が飲みたい。そんなニーズに応えているアクアクララである。

(取材・文/川口友万)

*アクアクララはから*