5日、帰路の車中でどこか余裕の表情を見せながら東京地裁をあとにする堀江被告。(撮影:吉川忠行)

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「今日のように長い時間じっと座っていたのは初めて。座っているだけでも体力を使うものだと思いました」――。4日夜、約5時間にも及ぶ初公判を終えた堀江貴文被告(33)は、弁護人を通じてこんなコメントを発表した。初公判では、慣れないネクタイを締め、何度も結び目を触るなど、終始落ち着かない様子が伝えられた堀江被告。ライブドア事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた同被告の2日目の公判が5日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。

 「失礼します」。午前10時、裁判官に向かってボソっと低い声で挨拶した堀江被告は、ダークスーツに白いシャツ、灰色と黒のストライプ柄のネクタイと、前日とほぼ同じ姿で入廷した。特に緊張した様子もなく現れた堀江被告は、傍聴席を一瞥(いちべつ)、表情を変えることもなく、まっすぐ被告人席に向かった。

 4日に引き続き、検察側証人として出廷した投資事業会社の社長に対する質問が始まると、堀江被告は、腕組みをしたり、ネクタイの結び目に手をやったり落ち着かない様子をみせた。真一文字に結んだ口をときおりすねた子どものように突き出し、目をしばたかせながら、つまらなそうに検察側の証拠書類に目を落とす場面もあった。指先でペラペラとページをめくるが、内容を確かめている様子もなく、一通りめくり終わると、今度は長イスの背ににもたれかかって視線を天井に移した。

 しかし、午前中の証人尋問も中程を過ぎたころ、弁護側の質問が始まると、堀江被告の態度は一変。証人の一言一句に目線を上げて表情をうかがい、じっとやりとりに聞き入った。弁護人が経済の専門用語に詰まる場面には、補うために短く言葉をかけるやりとりを見せ、休憩を挟んだ午後には、メモ紙とペンを用意し、証人の言葉に筆を走らせていた。

 裁判終了後、次回の予定を裁判長から告げられると、堀江被告は「はいっ」と短く答え直立。少し疲れたような表情を見せたが、裁判官に向かって、深々と頭を下げた。次回の公判は11日。検察側と真っ向から対立する堀江被告は、帰路の車中、どこか余裕の表情を見せながら東京地裁をあとにした。【了】

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