14日、臨時株主総会が開催される幕張メッセの会場前で、三々五々到着する株主を取材する報道各社。(撮影:吉川忠行)

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ライブドア事件発覚から約5カ月、ライブドア株の上場廃止からちょうど2カ月─。 ライブドアの臨時株主総会が14日午後2時、千葉市の幕張メッセで開かれる。総会では、平松庚三(こうぞう)執行役員社長から株主に対し、事件について謝罪するとともに、堀江貴文被告=証券取引法違反の罪で起訴=が率いた旧経営体制との決別を宣言すると見られる。「新生ライブドア」の船出に、同社株で損失を抱える株主がどのような反応を示すかが注目される。

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 参加資格を持つ株主は、2006年3月末時点で同株を保有する約15万5000人。事件前の05年9月末時点では約22万人だったが、事件発覚後の株価急落で個人投資家が「ろうばい売り」したとされる一方で、100円を割った同株を記念として購入した株主も少なくないようだ。筆頭株主として居座り続けている堀江被告、宇野康秀氏、外資系ファンド数社のみを合わせた保有株は、発行済み株式総数の約80%に達する。

 会場となるのは、東京モーターショーなどビッグイベントで使用される幕張メッセで、1万8000平方メートルの広さを誇る国際展示場を確保した。平日午後の開催ではあるが、事件の社会的影響の大きさや注目度などから、史上最大規模の参加人数が見込まれる。収容人数は2万人だが、同社広報でも「参加人数は予想できない」と想定し切れていない様子。堀江被告の出席についても、「委任状を開封していないので分からない」と話す。

 今回、会社側は◆取締役の任期を1年未満から2年未満に延長する定款変更案◆平松社長らライブドア執行役3人とUSENの宇野社長と幹部、ソニー元取締役の6人を取締役に選任する議案◆元内閣情報調査室長で現NEC顧問の大森義夫氏ら3人を監査役に招く人事案◆監査役報酬を年額2000万円以内から5000万円以内に引き上げる議案─の4議案を提出している。

 一方で、会計監査を担当していた港陽監査法人(横浜市中区)が6月末の解散と同時に辞任する予定だが、後任の監査人は見つからぬまま。"堀江体制"の中核にいながら事件後も役員にとどまり続けた山崎徳之代表取締役と羽田寛取締役も、「平松ライブドア」の本格始動で総会後に第一線を退くが、旧経営陣として公の場で釈明する機会を設けぬまま幕引きを図ろうとする側面は否めない。

再生への青写真は未完成

 グループ再編に向けた子会社との協議が最終段階に入っているものの、離脱を表明しているライブドアオートとダイナシティの売却先決定を発表できぬまま総会当日を迎えることになり、復活への青写真を株主に見せることは実現できずにいる。法人の刑罰が確定した場合、本体との引き離しが迫られる金融事業も、売却交渉が宙に浮いたままだ。

 第2位株主の宇野氏率いるUSENとの関係をめぐっても、この総会で承認を受ける計画だった経営統合は、捜査の長期化でライブドアの資産査定が大幅に遅れ、先送りされた。5月中旬時点でUSEN株の5.21%を保有する大株主に躍り出た村上ファンド元代表で、宇野氏とも親交が深かった村上世彰(よしあき)容疑者が証取法違反容疑で逮捕されるなど、懸念材料も目立つ。

 その一方で、「モノ言う株主」も現れている。ライブドア株の6.75%を保有する米投資会社サイオン・キャピタルは総会直前、株主総会のやり直しを求める考えを表明。取締役任期の延長や宇野氏の取締役就任にも反対している。1800人以上の株主らがライブドアや堀江被告を相手取って、損害賠償訴訟を起こすなど、株主も争う姿勢を鮮明にしている。大株主だったフジテレビジョンも345億円にのぼる株の売却損に対する賠償を求める訴訟を起こす構えを崩していない。

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 総会前夜、USENが運営する無料インターネット放送「GyaO」は、5月末に同本社で収録した宇野氏と平松氏の対談を放送した。10分間に編集された番組内で、終始笑顔の平松氏は「インターネットと動画を組み合わせて、新しいライフスタイルを提案したい」と抱負を語ると、宇野氏は「完全な勝ち企業、日本の新しい企業の代表格となれるように両社が力を合わせれば必ずやれるだろう」と応じた。

 堀江体制の下、クリスマスに行われた05年の定時株主総会は5時間半に及んだ。今回の株主との対話には、どれだけの時間を費やし、信頼回復への道筋をどう描くのか。 「新生ライブドア」が試される1日となる。【了】

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