来賓として出席した、中国の王毅駐日大使(撮影:吉川忠行)
日中の民間友好団体の代表者が12日、東京都内で会合を開き、「平和と善隣友好に関するアピール」と題した共同声明を採択した。

 会合に出席したのは、日中友好議員連盟会長の高村正彦元外相、中日友好協会の宋健会長ら、両国合わせて60団体の代表で、中国の王毅駐日大使も来賓として出席した。

 高村元外相は、中国国内での反日抗議活動に遺憾の意を示し、「今日、日中両国ともナショナリズムが台頭しているように思われる。ナショナリズムも健全な範囲に収まるのなら問題にすることはない。ただ中国では反日に、日本では嫌中に結び付くとすれば大変残念」と述べ、「日中友好は日本の利益でもあるし、中国の利益でもある。アジア、世界の安定にも、全ての人にとって利益になるという確信を持って進めることが大事」と日中友好の必要性を強調した。

 王毅駐日大使は「中日関係は現在困難な状況に直面しており、いかにして当面の問題に善処し、新たな歴史的条件のもとで両国関係の長期的健全、安定した発展の枠組みを築き上げていくかが我々の差し迫った課題。中日2つの民族の大きな試練でもある」と話した。

 さらに、王大使は提言として、◆日中友好の信念を変えない◆戦略的判断の過ちを避ける◆共通利益を積極的に探求し、拡大する◆両国が国交正常化した際に双方が確立した一連の政治的共通認識を肝に銘じ、両国関係の基本的な出発点を守る─と述べた。

 共同声明では、「歴史の教訓に学び、引き続き平和発展の道を堅持し、両国の世々代々にわたる友好を実現しなければならない」としながら、「近年来、両国間の国民感情が疎遠になっていることを深く憂慮している」と明記。現状の改善のために、民間の立場から各分野で両国民の交流を積極的に推進することなどを確認した。日中の出席者とも、満場の拍手で、採択に賛成した。【了】