自らが設立し、最高経営責任者(CEO)を務めるアリババ・グループのニューヨーク証取での上場に伴い、個人資産総額が204億ドル(約2兆2395億円)の「中国一の大富豪」になったとされる馬雲(ジャック・マー)氏は20日、浙江省嘉興桐郷烏鎮鎮で開催されている世界インターネット大会で、アリババ・グループは実は「最も危険な時期」を迎えていると述べた。マー氏は、サービス展開などで人々の期待に応えにくくなっていると述べた。偽商品の問題にも言及した。中国新聞社などが報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供、2月28日撮影、ジャック・マー氏。)

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 自らが設立し、最高経営責任者(CEO)を務めるアリババ・グループのニューヨーク証取での上場に伴い、個人資産総額が204億ドル(約2兆2395億円)の「中国一の大富豪」になったとされる馬雲(ジャック・マー)氏は20日、浙江省嘉興桐郷烏鎮鎮で開催されている世界インターネット大会で、アリババ・グループは実は「最も危険な時期」を迎えていると述べた。マー氏は、サービス展開などで人々の期待に応えにくくなっていると述べた。偽商品の問題にも言及した。中国新聞社などが報じた。

 マー氏によると、上場前には人々のアリババに対する期待は、それほど大きくなかった。マー氏は上場後の状況として、多くの人が「あなたはすばらしい。実にすばらしい。何でもできると聞いている」と言うようになったと説明。しかし「われわれが、そんなに素晴らしいわけではない。かえって現在は「最も危険な時期」という。

 人々の期待が高すぎることは、かえって危険な状態であり、また、人とは「自分がなんでも理解でき、なんでもできると思った時にこそ、対応の難しい困ったことがやってくるものだ」という。

 マー氏は「偽商品の問題」にも言及した。アリババ傘下でCtoCの電子商取引のプラットフォームである陶宝網は、偽商品の撲滅に貢献してきた。今後も貢献を続けるという。アリババとして、偽商品が出品された情報が入れば、ただちに生産者などの情報を警察に通報し、同時に取り引きをできなくするからだ。

 数年前には確かに、偽商品の駆除は難しかった。しかし過去1、2年の間に、中国で電子商取引が猛烈に発展した。偽商品があふれていたら、毎日の取引量が6、70億元という規模のビジネスはできないという。

 マー氏は、偽商品の撲滅が電子商取引の発展というビジネス上の目的にも合致すると説明。同時に、偽商品の撲滅が「おそらく20年後には、われわれが営む電子商取引ビジネスがなした、大きな社会貢献のひとつになるだろう」と述べた。

 マー氏は、国際版・陶宝網を設立する意向を示した。「海外の消費者と海外の消費者」、「海外の消費者と中国の消費者」の売買のシステムを確立するという。(編集担当:如月隼人)(写真は「CNSPHOTO」提供、2月28日撮影、ジャック・マー氏。)

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◆解説◆
 中国人に聞いても、電子商取引などにおける「偽商品」問題は、ここ2、3年でかなり改善されたという。中国最大の電子商取引プラットフォームを運営するアリババを率いるマー氏の「偽商品駆逐に貢献していく」との言葉は、あながち、大言壮語とは言えないだろう。

 マー氏は、道徳観や社会理念にもとづき、「偽商品駆逐」が実現すると主張したわけではない。自らのビジネスを発展させる必要から「偽商品駆逐」に積極的に取り組んでおり、そのことが結果的に「社会貢献」になると説明した。企業人としては、極めて健全は発想と評価することができる。(編集担当:如月隼人)