知っているつもりでも勘違いしている?元プロの教える失敗しないSIMフリースマホ時代のスペック表の読みかた

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最近は家電量販店に足を運ぶと、「SIMフリースマートフォン」(またはSIMロックフリースマートフォン)も店頭に並んでいるようになった。
「SIMフリースマートフォン」の特徴は、利用する電波の周波数帯や通信方式さえ一致すれば、原則どのSIMカードを挿入しても良いこと、つまり月額1,000円未満の格安SIMはもちろんのこと、海外に足を運んだ際に、現地のプリペイドSIMを挿して使う…なんてこともできる。

とても便利な「SIMフリースマートフォン」なのだが、NTTドコモなどの通信キャリアから販売されているスマートフォンとは違い、低性能か高性能まで、スマホ性能のばらつきが非常に大きい。「お、安くていいね」と思い買ってみたら、実際は求める性能にはほど遠く、まさに「安物買いの銭失い」となってしまうケースも少なくない。

そこで今回は、そうならないためのスペック表の読みかたを伝授しよう。

●基本を覚えれば超簡単なスペック表
ここで言うスペック表というのは、「SIMフリースマートフォン」を購入する上で、店頭やWEB上に記載されている性能表のことである。「CPU」「RAM」などと書かれている、アレである。

最近はそのスペックの読み方もなんとなくわかるという人も少しは増えてきたかもしれないが、ドラゴンクエストでいうところの「MP」をマジックポイント(実際はマジックパワー)のように勘違いしている人もまだまだ多いので、注意しよう。

「OS」 … そのスマートフォンの基本となるソフトの部分。現在のSIMフリースマートフォンは大半が「Android」を採用している。ここの数値が4.4であれば最新(2014年10月12日現在)。原則「4」以上であれば多くのアプリが対応するが、「2.3」などの「2」レベルは対応アプリが少なくなっているため、避けたほうが良い。

「CPU」 … スマートフォンの頭脳とも呼べる部分。1.2GHzや2.1GHzなどあり、数値が大きいほど高速に処理ができると思って良い。また、スマートフォンの中に複数のCPUを搭載している場合が多く、その際は「〜〜コア」と表記している。
「シングルコア」→CPU1つ(非力)
「デュアルコア」→CPU2つ(ちょっと非力)
「クアッドコア」→CPU4つ(現在の主流、おすすめ)
「オクタコア」→CPU8つ(クアッドと体感速度はあまりかわらないことも多く、マニア向け)
となる。現在は「クアッドコア」が多く、「〜〜GHz」という数値の大きさとあわせて注目しておきたいポイント。

「RAM」 … スマートフォンが作業する上での広さ。数字が大きいほど複数の処理や負荷の大きい処理がしやすくなる。
「512MB」→「1GB」→「2GB」の順に大きく、アプリ利用の余裕がある。
SIMフリースマートフォンでは「1GB」が多い。「512MB」だと、通話やネット利用が主で、Office文章の利用やゲーム、同時に使えるアプリ数にも制限(少なくなる)ができるので不安。
ネットやSNS、動画、ゲーム、電子書籍など、いろいろなことを買い的に楽しみたいのであれば「1GB」以上が良い。
アプリを沢山利用した人は、2GBは欲しいだろう

「ROM」 … スマートフォンの本体保存容量。これは純粋に数字が大きいほうが良い。しかしながら、外部メモリーカード対応であれば、データをメモリーカードに記録させることができるため、実際は8GB以上あれば良い。メモリーカード非対応モデルでは、やっぱり16GB以上で、大きければ大きいほど良い。

「メモリーカード」 … いわゆる「microSD」のこと。スペック表には対応しているメモリーカードは上限容量の違いで種類あり、対応容量が記載されているので、確認しておこう。最大32GBまでしか対応していないスマートフォンに64GBのメモリーカードを挿入しても使えないということも起きる。

「バッテリー容量」 … 純粋に多ければ多いほど良い。バッテリーは本体サイズに影響されるので、5インチ未満の小型機種だとおおよそ2,000mAh〜2,600mAh、5インチ以上の機種では2,300mAh~3,000mAh超が主流。

「ディスプレイ(画面の大きさ)」 … 画面の対角線上を「インチ」で表している。4.7インチで約12cm。5インチで約12.7cm、5.5インチで約14cm。片手操作がしたい人は4インチ台〜5インチまでがオススメだ。両手操作でも見やすさ重視なら5インチ以上を選択しよう。

「解像度」 … 画面のきめ細かさ。長いほう(数字の大きいほう)が1280であればハイビジョン(HD)クラス、1920であればフルハイビジョン(フルHD)クラス。1280以上あれば、細かい文字もキレイで読みやすくなる。

「通信方式」 … 少しややこしいのがコレ。まず、「3G」のみの記載では高速なモバイルデータ通信ができない。格安SIMを使って高速なモバイルデータ通信を行いたい場合は「LTE」の表記があるモデルを選ぼう。
しかしながら、モデルによっては使えたり使えなかったり(周波数帯の問題)するので厄介だ。
これは、無理せず店頭のスタッフに「これは格安SIMのLTE使えますか」と聞くのが最も簡単でてっとり早い。
※ここでいう高速なモバイルデータ通信とはLTEと比較した場合

「テザリング」 … スマートフォンをモバイルWi-Fiルーターとして利用できる機能。最近は多くのモデルで対応している。

「Bluetooth」 … ほかの機器と無線で接続する規格。Bluetooth対応のイヤホンや外部スピーカー、キーボードなどケーブル無しで利用できる。現在は4.0が主流。これが2.1などでは対応していない機器があるため、避けたほうが良い。

「Wi-Fi」 … 現在、5つの種類がある。「n」や「ac」と書いてあるモデルはWi-Fiで高速通信に対応している。現在の主流は「n」で、大抵の機種は「n」までは対応している。「ac」は最新の規格で最も高速に通信できる。現在、順次移行が進められている。

「カメラ画素数」 … 数字が大きいほどきめ細かい写真が撮影できるようになる。印刷をしないのであれば500万画素以上あれば良い。決して「画素数が多い=綺麗」ではないので注意しよう。

「対応SIM」 … 「通常サイズSIM」「microSIM」「nanoSIM」の3種類のサイズ(大きさ)がある。ここを間違えてしまうと、イザ購入してもSIMが入らないため、よく確認しよう。

主に上記のような内容が記載されているが、画面の大きさ以外は「大きい(数値)のほうがエライ」と漠然と考えてしまって良いだろう。CPUのクロック数が大きいと消費電力が〜などという関係性もあるが、まずは「大きな数字が書いてある方が良い」でOKだ。

●数値でみるオススメのスマホスペックとは
さてここまでで、性能表の読みかたを解説した。しかしながら、「初めてSIMフリースマートフォンを買うけれども、どれを買えばいいの」となるだろう。そこで先ほどの解説に沿ったオススメ性能を元販売のプロである筆者が伝授しよう。

「OS」…4.4を狙いたい。最低でも4.0以上。
「CPU」…クアッドコアと書いてあればそこそこ快適な動作が期待できる。○.○GHzは1.0以上あればOK。
「ROM」…1GB以上のものがあると良い。ゲームをするひとは2GB以上。
「ROM」…メモリーカード対応モデルであれば4GB以上、非対応モデルは16GB以上欲しい。
「メモリーカード」…32GB以上対応していれば良い。
「バッテリー容量」…2,000mAh以上あれば及第点。大きければ大きいほうが良い。
「ディスプレイ(画面の大きさ)」…片手操作がメインという人は5.0インチまでにしておこう。
「解像度」…(数字の大きいほうが)1280以上あれば良い。
「通信方式」…自宅などのWi-Fiメインで使うばあいは「3G」だけでも可。高速モバイルデータ通信をしたい場合は「LTE」対応モデルを。

ここまで記載した性能があれば、スマートフォンとして快適で良い動作が期待できる。まず初めてのSIMフリースマートフォンを買いたい!という場合は上記をチェックしてみよう。
その上で購入すれば、失敗しない買い物になるはずだ。


布施 繁樹