俳優の宇梶剛士が、番組のロケで海外の刑務所を訪問して特別に見学させてもらった。同行したお笑いタレントのドロンズ石本と共に、日本では考えられない刑務所での囚人たちの暮らしぶりに驚く。だが、そんな中でも宇梶は囚人と「優しそうな顔をしてるけど、けっこう強いでしょ!?」などフレンドリーに会話を楽しみ、ついには説教まで始めてしまった。

MCに沢村一樹、進行役に指原莉乃を起用した『世界一周ワンジャンル・ツアー〜ニッポン人が驚いた海外の当たり前〜』(関西テレビ・フジテレビ系)が8月4日に放送された。様々なゲストがジャンルを絞って海外を見学するという企画で、“日本の常識じゃ考えられない!世界の刑務所見学ツアー”に臨んだのが宇梶剛士とドロンズ石本だった。

オーストリア・レオーベンへ向かう前に今回の企画について「なんで刑務所に行くのか?」と問われた宇梶剛士は、「世界中を紹介する番組はあるが、どうしても光の部分ばかりをやってしまう。もう少し闇を見つめる視点も必要なんじゃないかな?」と答えている。彼が芸能界に入る前に暴走族の総長をやっていて少年院入りしたことは知られるが、「ちなみに私、刑務所には行ってませんから! 誤解のないようにお願いします」と補足。スタジオでVTRを見ていた指原莉乃も、「安心、それだけ知りたかった」とホッとしていた。

レオーベン刑務所は2人の想像を超えるものだった。外観は全面がガラス張りというきらびやかなデザインで、美術館かリゾートホテルを思わせる。ただ、柵の上には有刺鉄線が張られていた。同刑務所には強盗、詐欺、麻薬密売などで捕まった205名の受刑者が服役中という。

受刑者には1人1部屋、約5畳の広さの個室が与えられる。テレビ、冷蔵庫、ベッド、机なども備えられており、まるでワンルームマンションのようだ。宇梶が「正直、俺の20代で貧しかった頃よりいい暮らしをしてます。食えない役者や芸人からしたら、こんな暮らしができたら夢のよう」と語ると、ドロンズ石本もうなずく。

その部屋に住むのは20代と思われる若い男性だ。傷害罪で懲役12か月の刑を受ける彼は、「刑務所の外に出られないのは辛いけど、この中での暮らしに不満は無いよ」と穏やかに答えた。

すると、宇梶が突然「顔は優しいけど、けっこう強いんでしょ?」と話を向けた。「ハイ」と彼が返すと、宇梶は「ははははー!」と嬉しそうに胸板に軽くグーパンチをしてみせる。何を言い出すのかとドロンズ石本も固まったように見るしかなかった。

宇梶は「でも、本当に強い人は戦わない。弱い人だけが犬みたいにケンカする。お腹をすかした犬みたいに」と殴る素振りをしながら持論を展開。若者の両腕を掴みながら、「本当に強い人になってください!」と訴えると彼も素直にうなずいた。

ここではグラウンドやフィットネスジム、図書館、システムキッチンなども備えられており、「受刑者のストレスを溜めないように」配慮されている。受刑者が買い物できる刑務所内のスーパーマーケットまである。お菓子類はアイスクリームもあり、ピザ、たばこも揃いなんと成人向け雑誌まで購入できる。さらには電化製品も置いているのだが、それらを購入するために受刑者は軽作業によって報酬を得ている。

その軽作業所では、顔中にタトゥーを入れてピアスをした屈強な男性と対面。傷害罪で服役中の彼は色えんぴつを箱詰めしてパッキングする作業をして働いている。「この色えんぴつで子どもたちが夢のある絵を描くわけですね」と感動した宇梶は、見るからに怖そうなその男性に向かって“This is great job! You are dream maker!”と英語でアピール。彼も嬉しそうに「ハハハ! スゲーだろう!」と笑って答えた。ドロンズ石本がそのやり取りを見て「宇梶さん、全然怖くないんですね!?」と感心すると、「懐かしいっすね」と宇梶もいい笑顔を見せた。

レオーベン刑務所の見学を終えて、宇梶が「もっと、重い刑の人がいる刑務所でもこんなように自由な雰囲気か?」と質問すると、受刑者の人権を大切にしているので同じスタンスだという答えが返ってきた。

それを聞いて宇梶は「悪いことをして捕まって、刑務所に入れられるでしょ。そこでわりと楽だったら、自分なら懲りない気がする」と感想を述べている。刑務所には行っていないが様々な経験をしてきた宇梶剛士だけに、言葉にも重みがあった。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)